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勝山 平泉寺
Katsuyama Heisenji

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Sep. 2009 文:中山辰夫 撮影Oct.2006

平泉寺 大宗教都市の遺跡―僧兵たちの夢の跡 

最盛期の室町時代には48社、36堂、6千坊を数え、僧兵の数、実に8千人が詰めていたという大宗教都市だった平泉寺白山神社。
霊峰白山(標高2702メートル)の登山口に開かれたこの山岳寺院は、福井県勝山市市街から約4キロメートル離れたところにある。
ここは白山信仰の開祖泰燈大師が養老元年(717年)、白山に入山する際に創建された寺院。
平安時代後期に比叡山延暦寺の末寺となり、その勢力をさらに拡大したが、戦国時代の天正2年(1574年)に起こった一向一揆によって全山が焼失し壊滅した。
豊臣時代から徳川時代にかけて再興したが焼失以前の規模には及ばず、明治に神仏分離令に基づいて神社として残った。
勝山駅(えちぜん鉄道勝山永平寺線)からバスに乗って「平泉寺荘前」で下車。
少し歩くと菩提林(ぼだいはやし)という森となり、参道は樹齢数百年の老杉が両側を囲み、昼でも暗い。
参道は二本に分かれ、右が中世から続く石畳道。左は大正初めに開通した2間幅の自動車道となる。
この自動車道、石畳の参道の一段下にあった細い人・馬道を拡幅したもの。
この道は幅約3メートル、長さは700メートルあまりで、道幅一杯にぎっしりと敷き詰めた石は並大抵の量ではない。
大半が、丸みがかった比較的小ぶりな石で、扁平面を表にして縦横に並べている。
九頭竜川の支流である女神川(おながみがわ)の河原石を、僧兵や民が手送りで運んだと伝える。
鬱蒼とした木立の中、厚い苔に覆われた石の表面は種々の色彩を描き、木漏れ日に浮かんで輝き、どっしり大地に納まった石がその重さを感じさせる。
鎌倉時代のはじめ、源義経主従らも通ったとされるこの石畳の参道は、昭和61年に日本の道百選に選ばれた。

新旧参道の眺め写真


 「平泉白山神社」の石標がある精進坂は、道幅約10メ−トル。
その中央部は幅3〜4メ−トルの石段の道。
緩い勾配が続く82段の石段は、蹴上げ高、約10センチメ−トル、奥行約60センチメ−トルの敷石でできていて小石で縁取りし、その両側を苔が覆う。
ゆたりとした幅広い参道は厳粛で、威厳を感じさせる雰囲気を醸し出す。
この先の参道もほぼ同様の造りとなっている。
そして一と二の鳥居、拝殿、本社、三之宮と堂宇が続き、参道の両側を仕切る古色蒼然とした石積が奥へと人々を導く。

苔に覆われた石垣と石段写真 



しばらく進むと境内は薄緑色の静寂な世界へと変わる。
目に写るものすべてが苔で覆われ、池の水から老杉、礎石置石、石段、石垣、木の根、そして白木の建物などが苔と調和し、その景色が実に素晴らしい。
さらに木漏れ日が重なり、陰と陽の世界を織りなす。
平泉寺の自然条件が長い年月をかけて創り上げたドラマティックな舞台を見るようで、ただただ見入るばかり。
境内を出発点とする白山への参詣道・越前禅定道(ぜんじようどう)は長く、これまでの道はほんの僅かしか歩いたに過ぎない。
険路な登山道がこの先30キロメートルほど続き、二泊三日という時間をかけて辿ることになる。

仏閣の痕跡を留める礎石が石組みのようにも見える光景写真



平成元年から始まった平和泉寺6千坊の発掘調査では、石畳道(南北横道や東西縦道)、側溝、坊院跡の堀切や石橋などの遺構が検出された。
暴れ川・九頭竜から運んだ石でできた宗教都市の出現である。
もちろん、主役は河原石や山石だが、ビッシリと積まれた石の遺跡に圧倒され、人と石の厳しい関りを改めて確認できた。
ここは、平成九年に境内のほとんどが国の史跡に指定された。
対象となる集落には区割りの石垣・石積が頭を出し、昔の名残を留めている。
かつて36の諸堂と6000もの坊を結んでいた主要路の石畳石を使って自然と共存した人々の知恵と戦いの様相が今後の調査でさらに明らかになることだろう。

排水の側溝に架かる石橋も自然石を活用・石畳、石垣だけでなく橋も側溝もすべて自然石・石垣と石畳だけが衰亡の歴史を見届けてきた。



春季と秋季の一日、村人総出で境内の清掃に参加することがこの部落の決まりごとになっているようだ。
雪や台風で飛ばされた木片や落ち葉を一つ一つ苔の間から拾い出す世話の焼ける作業だ。
この労苦を蜿蜒と続けて頂いている。
平泉宮司のお考えをきっちり受け止めた地域の人たちのつながりが、この神社を、苔を、自然をいつまでも守り続けていく大きな力になっているんだと有難く思った。



Sep.2009 HD video 撮影:瀧山幸伸




参道





旧玄成院庭園






御手洗池


拝殿、本殿





勝山城跡
Katsuyama castle





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