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茨城県常陸大宮市 歴史民俗資料館

History Museum,Hitachiomiya City,Ibaraki 

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Mar.27,2024 瀧山幸伸 

泉坂下遺跡の出土物などが展示されている。

 

泉坂下遺跡出土物について

泉坂下遺跡は久慈川の右岸、標高約二十メートルの低位段丘上に立地する遺跡である。
 平成十八年(二〇〇六)、この地で学術調査が行われ、その結果弥生時代の再葬墓が多数存在していることが確認された。この調査では、三十六平方メートルの調査区から七基の再葬墓が確認され、人面付壺形土器をはじめとした多数の遺物が出土し、以降平成二十七年(二〇一五)まで、四次にわたる確認調査が行われた。 本件は、この再葬墓群からの出土遺物を主体とした一括で、人面付壺形土器一点、壺形土器五十三点、甕形土器残欠二点、滑石玉(かつせきたま)五点、総数六十一点の資料から構成される。
これらの中で、注目されるのは高さ七十七・七センチメートルを測る、大形の人面付壺形土器である。特異なのはその造形で、縦長の壺形土器の口縁部直下に斜め上方を向いた人の頭部が作られ、顎は張り出すように中空、両眼と口の周囲は沈線で囲まれ、入れ墨を思わせる表現をとる。また僅かに赤色顔料の痕跡ものこる。この土器は、大形の土坑に他の三点の壺形土器と共に横臥させた状態で埋納されていた。
 その他の壺形土器は、比較的遺存状態が良好な個体が五十三点あり、壺形土器を多数埋納する再葬墓のあり方を良く示す。また、滑石玉五点も壺形土器の内部から出土したもので、副葬品と考えられる。
 以上本件は、東日本における弥生時代に特有な、再葬墓のあり方を理解するうえで良好な資料である。とりわけ大形で、独特な造形及び表現がある人面付壺形土器が共伴する事例は希であり、その学術的価値はきわめて高い。(文化財データベース)

 

 

                                                                        

                        

 

 

 

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