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京都府京都市 京都の六斎念仏
Romusainenbutsu, Kyoto city

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Sep.2011 大野木康夫

Aug.2011 撮影

口に念仏や和讃などを唱え、鉦、太鼓、瓢などを打ちならしながら踊躍歓喜する「念仏踊」は、全国各地にいろいろの型が伝承されている。
その中でも「京都の六斎念仏」は、これらの念仏系の芸能のみならず、能楽系、歌舞伎系の芸能をも多く取り入れながら発達してきたものである。
これらは京都を中心として生まれた地域的特色が顕著な念仏踊であるので、これを重要無形民俗文化財に指定し、その保存をはかる。
六斎念仏は京都内十五か所で伝承されている芸能である。
六斎とは仏教でいう月の八、十四、十五、二十三、二十九、三十の六日の斎日の意で、これらの日には悪鬼が出て来て人命を奪う不吉の日とされ、この日には身を慎んで、仏の功徳を修し、鬼神に回向し、悪行から遠離し、善心を発起せしめるべき日とされている。
この日には、念仏、和讃などを唱え、鉦、太鼓などで囃す。
曲目は念仏系(発願、回向唄、弥陀願唱、念仏、結願など)、能楽系(道成寺、鉄輪、頼光、八島、石橋、安達が原など)、歌舞伎系(和唐内、手習子など)の系統に分けられる。
また、このほか祇園囃子、四ッ太鼓などもあり内容は多種多様である。
六斎念仏の起源については、いろいろな説があるが明確ではない。
また、この六斎念仏は空也堂(極楽院)と干菜寺(光福寺)の二つの系統からなっている。
(国指定文化財等データベースより)

国の重要無形民俗文化財「京都の六斎念仏」の保護団体として指定されているのは、
京都六斎念仏保存団体連合会
北区 小山郷六斎保存会,西方寺六斎念仏保存会(西賀茂)
上京区 千本六斎会
東山区 ※六波羅蜜寺空也踊躍念仏保存会
下京区 中堂寺六斎会,壬生六斎念仏講中
南区 吉祥院六斎保存会、久世六斎保存会,※上鳥羽橋上鉦講中,
右京区 梅津六斎保存会、※空也念仏郡保存会(西京極郡、休止中)、西院六斎念仏保存会、嵯峨野六斎念仏保存会,※円覚寺六斎念仏講(嵯峨水尾)
西京区 桂六斎念仏保存会(休止中)
(※は念仏六斎、他は芸能六斎)
の15団体+連合会です。
8月を中心に、他の季節に奉納公演等も行われています。
いずれの団体も、少子高齢化の余波で人数が減少し、演目が少なくなる傾向がありますが、地元の小学校の六斎クラブなどの活動を通じで地道に伝統を伝えようと努力されています。

2011年に撮影したのは8月7日の清水寺盂蘭盆奉納公演(上鳥羽橋上鉦講中、中堂寺六斎念仏)と、8月25日、南区吉祥院天満宮夏期大祭祭礼奉納(吉祥院六斎念仏)の3団体の公演です。



2011.8.7 上鳥羽橋上鉦講中(清水寺盂蘭盆奉納) source movie

上鳥羽橋上鉦講中は、かつて六斎がさかんであった南区の上鳥羽で唯一残っている保護団体です。
芸能六斎は戦前に途絶え、現在は念仏六斎のみが行われています。
地元の公演は地蔵盆の8月22日の夜、六地蔵詣りで賑わう上鳥羽地蔵浄禅寺で行われます。
今年の奉納公演は、東日本大震災の犠牲者の慰霊を兼ねて行われたため、普段の浴衣ではなく青い着物姿で行われました。
奉納場所は国宝本堂の外陣です。

演目は「焼香太鼓」、約30分かかります。
調書(位牌に正対している真ん中の人)が念仏を唱え、他の人が唱和します。

鉦をたたいて念仏を唱えます。

左右に3人ずつ立っている人が、鉦の代わりに金銀太鼓を持ちます。

念仏に合わせて太鼓をたたきます。

最後に太鼓を置いて、合掌して念仏を唱えます。

年末に見させてもらった六波羅蜜寺の空也踊躍念仏(撮影できません)と同様、おごそかな雰囲気でした。




吉祥院六斎念仏 source movie

2011.8.25 撮影 

南区の吉祥院天満宮夏季大祭で奉納された吉祥院六斎念仏を見に行きました。
吉祥院は菅原道真の曾祖父土師古人が桓武天皇から賜り、屋敷を構えた場所で、菅原家が吉祥天を信仰していたことから吉祥院と呼ばれるようになったそうです。
一説には道真誕生の地と言われており、その縁から天満宮が鎮座しています。
吉祥院では、かつては八つの字すべてに六斎講があり、競い合って腕を磨いていたそうですが、現在は菅原のみが残っており、吉祥院六斎念仏とは菅原のものを指します。
市内でも屈指の技術を誇る団体ですが、近年は担い手不足により、かつては2時間半かかっていた一山打ち(通し公演)も、演目が減って今では1時間程度になってしまったそうです。
近年は、菅原町在住者に限っていたメンバーを広く一般から募集するなど、存続に工夫をしています。

天満宮は、JR西大路駅から約10分ほど南に行ったところにある西大路十条の交差点近くにあります。
当日は祭で賑わっていました。

吉祥院六斎は境内の舞台で行われます。
午後8時開演ですが、7時過ぎに行ったら、最前列の一角から見ることができました。
なお、舞台の高さが高いため、近づきすぎると却って見にくくなるので、一定下がったところが最前列になります。
最後の土蜘蛛の糸を取るため、舞台近くに子どもが入ってくることも考慮する必要があります。
今年は天満宮の記録のため、前面の柵を外して行われることとなり、見やすくなっていました。
吉祥院音頭が奉納され、六斎の準備が行われます。

寄せ太鼓

発願

つづいて、朝野

豆太鼓の掛け合いです。

安達ヶ原

おかめとひょっとこの掛けあいです。

四つ太鼓

子どもたちや女子が参加し、熱演します。

岩見重太郎の妖怪退治

講談からの創作劇と思われます。

大文字

中堂寺六斎の「猿廻し」に近いですが、すべて大人で演じられます。

祇園囃子

太鼓の妙技

獅子舞

頭が緑、胴が赤です。
アクロバティックな演技ですが、
特に、獅子が連続してとんぼを切るところは絶妙で、京都有数の技術といわれたこともうなずけます。

獅子と土蜘蛛

吉祥院では、田畑を踏み荒らす獅子を、仏さまの化身である土蜘蛛が退治するという、他の六斎とは逆の位置づけになっています。
最後に土蜘蛛が、観客に向けて糸を投げるサービスがあります。
糸は他の六斎同様、金運を上げる縁起物です。

結願はいつあったか分かりにくかったです。

日頃の練習の積み重ねで、芸能としてはよく完成されたものとなっています。
獅子の中に入る人が、腰を痛めやすく、長く勤められる人が少ないそうです。
春季大祭(4月25日)にも奉納されます。




中堂寺六斎念仏 source movie

2011.8.7 撮影 

場所 清水寺本堂舞台

清水寺盂蘭盆会奉納公演

中堂寺六斎念仏は、下京区中堂寺(丹波口、四条西新道近辺)に古くから伝わる六斎念仏で、多様な芸能を取り入れた、いわゆる「芸能六斎」と呼ばれる娯楽性が高いものです。
隣接する壬生寺に伝わる壬生狂言は、戦前、約60年に亘って中堂寺村の庄屋神先家を中心とした中堂寺六斎によって行われていたため、現在の演目や様式にその名残りが見られます。

本番公演は8月16日、送り火の夜の9時から壬生寺本堂前の特設会場で行われますが、伏見稲荷、清水寺、竹林寺、立木観音でも奉納公演を行っています。
しかしながら、他の団体と同様、少子高齢化や子どもの多忙化で、出演者を集めるのが難しくなっているそうです。

清水寺盂蘭盆奉納は、午後3時30分から行われ、明るいうちに六斎の「一山打ち」(通し公演)が見られる数少ない公演です。

準備風景

寄せ太鼓

公演の開始を告げます。

発願

公演の開始に当たって、豆太鼓をたたきながら念仏を唱えます。

六段

筝曲「六段」を取り入れたもので、豆太鼓と笛によるおとなしい曲です。
豆太鼓は、かつては瓢箪をたたいていた名残だそうです。

すがらき(素雅楽)

少しテンポが上がります。
豆太鼓の相打ちです。

さっきょ(石橋)

長唄から取りいれられたものです。

発願からさっきょまでは一連の流れで行われます。

橋弁慶

もともと壬生狂言の演目で、かつて壬生狂言を担っていた中堂寺六斎独自のものです。
弁慶の面は壬生寺から贈られたものです。
牛若丸役の子どもは、将来を嘱望された子どもが演じるそうです。

越後獅子、さらし

大道芸の角兵衛獅子をとりいれたものです。
後半には三味線の曲弾きを取り入れた「さらし」入れ、小学生がうちわに長い白布を付けた「さらし」を振ります。
中堂寺六斎では越後獅子の太鼓、さらしの豆太鼓と振り手のすべてを女子が行います。
他の六斎では、女子は四つ太鼓のみの参加なので、中堂寺独自のものとなっています。

四つ太鼓

六斎の基本は太鼓なので、太鼓の技術の練習になる四つ太鼓はすべての芸能六斎で行われています。
一本打ち(いっぽんぶち)、二本打ち(にほんぶち)と、初心者から順に行われます。
最後を務める上級者は、他の六斎も含めて有数の腕前です。
子どもたちの真剣な演技がいい感じです。

祇園囃子

祇園祭の囃子を取り入れたものです。
六斎風のアレンジが入っており、テンポが速くなっています。
原曲は月鉾や函谷鉾のものですが、太鼓の振りは綾傘鉾の棒振り踊に近いものです。
終盤の棒振りは、壬生狂言の棒振りということですが、元は傘鉾のものかもしれません。

猿廻し

太鼓の上打ちの周りを子どもたちが豆太鼓を打ちながら回ります。

獅子舞い

芸能六斎がメインの演目とするアクロバティックなもので、中堂寺六斎の場合は、六段重ねの碁盤の上で逆立ちを行い、3段を取り外して下りていくというものです。
獅子の演じ手が不足する中、戦前は門外不出であった獅子の中(「ふくろ」というそうです。)がどうなっているかを、連合会などで見せ合うなど、技術交流が行われているようです。

獅子と土蜘蛛

正義の象徴である獅子に悪の象徴である土蜘蛛の精が襲いかかります。
最後は獅子が勝ちます。
中堂寺六斎の土蜘蛛は、壬生狂言の名残で面を付けているのが特徴です。
土蜘蛛が投げる糸の先の錘を持ち帰り、神棚に上げてから財布に入れると金運が上がると言われています。

攻め太鼓、結願

土蜘蛛との戦いで疲れた獅子を太鼓で励まします。
その後、念仏を唱えて一山打ちが終了します。

オフショット

中堂寺六斎は他の六斎よりも子どもが多く参加しており、合間に微笑ましい光景が見られます。

公演終了後、舞台の上はいつもどおり観光客で埋まります。

公演は、開演前に行けば、ほぼ近くで見ることができます。
私は位置取りに失敗しましたが、獅子舞いの碁盤は目の前で見ることができました。
公演は舞台の西側で行われますが、かぶり付きではなく正面少し離れたところから見るほうが見やすいと思います。


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