JAPAN GEOGRAPHIC

奈良県平群町 金勝寺

(Kinshoji Temple, Heguri Town,Nara Pref.)

Category
Rating
Comment
  General
 
村の暮らしになじんだ石造物
  Nature
  
 
  Water    
  Flower
 
  Culture
 
 
  Facility
 
  Food
 


August 22, 2020 野崎順次 source movie

奈良県生駒郡平群町平群町椣原53
真言宗室生寺派
椣原山 金勝寺


生駒山脈と矢田丘陵に狭まれた谷あいに、生駒・王寺間を結ぶローカル線の元山上駅に近い椣原の里に金勝寺がある。金勝寺附近から南が平群村。金勝寺は谷あいを流れる平群川にのぞんで建つ。縁起によると、天平十八年(746)行基菩薩によって開かれたと伝える。境内に竜王神・雨師大明神をまつっていて、平群川の川岸にある所から、雨乞い、水難を祈願する寺院でもあるようだ。
本堂の前を過ぎ、奥に進むと、小さな池に接して切立った岩壁に、地蔵・阿弥陀・錫杖をもたない矢田型地蔵、高さ1.5mの不動線彫など十数体の磨崖仏が彫られている。康正二年(1456)、天正十四年(1586)など、室町時代の年号願文が刻まれて、その時代に随時彫られていったもの。
境内にはそのほかにも、鎌倉後期の十三重塔、五輪塔、役行者石像(江戸時代)がある。
(清水俊明「大和の石仏、昭和49年」より)

現地案内板
    


山門、本堂、鐘楼
                

町文 金勝寺磨崖仏  鎌倉時代後期~江戸時代前期
本堂より奥の岩壁に14体の磨崖仏(室町時代中期)が刻まれている。
  


上部の宝篋印塔(室町時代、高さ約90cm)と阿弥陀磨崖仏(高さ45cm)
  


茶々逆修 天正十四年(1586)
    

下部の地蔵磨崖仏 室町時代中期 康正二年(1456)など
         


金勝寺五輪塔(鎌倉時代後期、花崗岩、高さ180cm)
本堂西側に立ち、四面無地で形のいい鎌倉後期の五輪塔
 


金勝寺十三重石塔(鎌倉時代後期、花崗岩、高さ 300cm)
    


その他石造物
    


境内の高い木(杉かな)とシオカラトンボ
          


寺を出て椣原墓地に向かう。途中の石造物など
        


寺を出て、近鉄線の踏切りを越え、左手の山手に登って椣原墓地をたずねると、ここにも室町時代の石仏が多い。東向いて並ぶ等身大の六地蔵のうちで、五体は江戸時代の造立であり、南端の一体は、室町時代の作である。
それらと並んで、高さ1.73mの十三仏が一基立っている。県下では二番目に大きく優秀な十三仏。天文二十二年(1553)の年号と、「為造新三郎逆修道阿弥妙泉 乃至法界普利」とあって、室町末期の造立。右下の不動(初七日)に初まり、上列の阿弥陀(三年)、大日(七年)、阿閾(十三年)をつとめ、頂上の虚空蔵(三十三年)に至るまでの忌仏。各尊の肩脇に尊名を刻んでいて、仏像の特微がよくわかる。
覆堂内の等身大の地蔵は、頭上には弥勒の梵字「ユ」を刻み、弥勒浄土への導きをあらわしたものであるようだ。
(清水俊明「大和の石仏、昭和49年」より)
                    


町文 椣原墓地十三重石塔 鎌倉時代後期、花崗岩、高さ約400cm
     


その他
    


竜田川に掛けられた勧請縄。村に疫病や悪人が入らぬようにする結界で、平群町ではこの椣原を含めて6ヶ所ある。
  


参考資料
河合哲雄「石仏と石塔!」ウェブサイト

   All rights reserved 無断転用禁止 登録ユーザ募集中