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Monthly Web Magazine (Feb. 2010)

■■■ 「綱神社に思うこと」 川村由幸

昨年の年末に、栃木県益子市に取材にでかけました。

このときの目的は益子市にある国指定の重要文化財を記録に収めようと考えていました。

西明寺の楼門と三重塔の取材を終え、車でひと山こえて綱神社に向かいました。

綱神社は室町時代の様式を残した茅葺の小さな神社、もちろん国指定の重要文化財です。

同じ境内にある綱神社の摂社である大倉神社も同様に国指定の重要文化財です。

ところが、鳥居をくぐり歩いてゆくと神社の青い屋根が見え始めたのです。

国指定の重要文化財です。このようなことがあるとは信じられず、とても悲しい気持ちになりました。

帰宅して調べてみると、なんと2009年の2月から雨漏りが発見されこのような状態のままということがわかりました。 

私が訪れたのが2009年末ですから、その時点すでに10ケ月間雨漏りのする状態でブルーシートは懸けられていますが、放置されていたわけです。

隣の大倉神社も茅葺屋根に雑草が生え激しく傷んでいます。

実は、最初に取材した西明寺の楼門の茅葺屋根も素人見にも傷みが進んでいるように見えます。(上画像右)

茅葺屋根の修繕が簡単でないのは材料の調達も含め、誰でもが承知しています。

しかしながら、大切な文化財がこのように扱われていることを目の当たりにすると、怒りよりも悲しみが先行します。

文化財のメンテナンス費用はどこが負担するのでしょう?

昨年、興福寺の阿修羅像が東京に来たのも、一昨年薬師寺の月光・日光がきたのも寺の修繕費調達が主目的と聞きました。

子供手当てが不要だと言うつもりはありませんが、将来の日本人に過去の日本人の文化遺産をきちんと残してゆくこともとても重要なことと考えます。

残念ながら、この綱神社と大倉神社の取材画像はJapan GeographicにはUPしません。

早く修繕していただき、雨漏りのしない綱神社を再度取材してUPしたいと思っています。

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