MONTHLY WEB MAGAZINE May.2011

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■ 今年のさくら決算 川村由幸

2011年4月もいくつかのさくらを取材しました。

今年は昨年同様に寒い春でさくらの開花がいささか遅れました。

最初に取材に出かけたのが千葉県山武市、長光寺のしだれ桜。

天然記念物に指定されているみごとなしだれ桜でした。千葉県にも見応えのある桜が存在していることを実感できるしだれ桜です。

この長光寺の近くに妙宣寺という小さな寺があり、ここもしだれ桜がきれいでした。

長光寺のそれのように巨木という桜ではありませんが、桜の数が多く咲き競う様はなかなかに見応えがあります。

平日に訪れたのですが、カメラをかまえる人が結構おられ、それなりに知られたさくらのようです。

さくらは春を代表する花木。さくらを見るといくらかでも心が華やぎます。厳しい現実に立ち向かう力がちょっぴりですが湧いてくる気がしました。

次は山梨県のさくらです。4月13日に訪問しました。

取材というよりも観光主体で、家内と友人計4人で観桜小旅行というところです。

まず、山高神代桜です。三春滝桜、、根尾谷淡墨桜と並んで日本三大桜の一つです。

神代桜は樹勢がとても弱くなっています。いつまでいまの姿を保てるか大変に不安な状況です。

それでも神代桜の周辺にはたくさんの桜が咲き誇っており、雪の残る山々との風景はとても美しいものです。

根尾谷淡墨桜もその樹勢の衰えを隠すことはできません。三春滝桜だけが隆々と力強い姿を見せています。

早晩、三大桜のリストに変更が起こることも十分考えられます。

興味のおありの方は、早目の取材をすべきだと考えます。とは言え、来年の春を待たねばなりませんが。

韮崎のわに塚の桜は平日にもかかわらず、カメラマンで一杯でした。孤高のさくらは確かに姿の良い美しい桜です。

ただ、逆から見ると送電線の鉄塔が重なります。

八ヶ岳とわに塚の桜、絵になります。カメラマンが殺到するのも当然と思えます。

日本は美しい国だと改めて実感した瞬間でした。そして東北にもこの美しい日本を取り戻さなければならないと思います。

甲州市ではいと桜を愛でました。いままでいと桜がしだれ桜の別名とは理解していませんでした。

確かに、姿をみればしだれ桜です。いと桜という種類があるものだとばかり思い込んでいました。

そして、慈雲寺のいと桜は勢いのあるみごとなしだれ桜です。

慈雲寺近くの周林禅寺のいと桜も慈雲寺のそれに比べれば小ぶりですが、姿の美しさは上回っています。

地面に届きそうなまでに垂れ下がった桜花、枝の内側に入るとまるで桜花のカーテンです。見物の人もほとんどおらず、静かにさくらを楽しむことができました。

甲州のさくらは天候にも恵まれて、本当に美しい姿を見せてくれました。全ての桜が満開、美しさに心が洗われました。

今年、最後のさくらが自宅から30kmほど離れた印西市(旧印旛村)にある吉高の大桜です。

開花期の短いヤマサクラで、なかなか満開を見られません。訪問した4/17は運よく満開。平日の早朝でしたが大勢の見物客で賑わっていました。

この桜は畑の真ん中にぽつんと咲く大桜、早朝のため、陽が当らず肉眼の美しさが伝わらない画像しか撮影できませんでしたが、姿も大きさも申し分のない大桜でした。

千葉県人の私としては、是非守り続け、育て続けていただきたい千葉県の桜です。

当初、福島に出かけてさくらを愛でる予定でしたが、今回の震災で断念。今年は千葉県と山梨県のさくらの取材となりました。

来年の春には、是非にも福島のさくらを取材したいと考えています。

 なぜ、日本人はこんなにもさくらの花が好きなのでしょう?

 季節を知らせてくれるからでしょうか?

 さくらの花が人をワクワクさせるからでしょうか?

 パッと咲いて、パッと散る、いさぎよささでしょうか?

ともかく、来年も日本中で美しいさくらが咲くはずです。そしてまた、そのさくらを愛でたいと思います。

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