MONTHLY WEB MAGAZINE Sep.2011

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■となり町散歩 −印西市編− 川村由幸

先月の野田市に続いて、柏市に隣接する印西市の文化財を紹介します。

印西市はもともとの印西市に印旛村と本埜村が昨年の3月に合併し、現在の印西市となっています。

今回紹介するのは、重要文化財の小仏堂(三間堂)が3件で、旧印旛村と本埜村にあったものが各1件、

もともとの印西市のものが1件です。

千葉県には今回紹介するのと同様の重要文化財の小仏堂が7件あり、その内の3件が印西市に残されています。

印西市は、吉高の大桜でも一度紹介しています。これも旧印旛村です。

それでは小仏堂を取材した順に紹介します。

まず、泉福寺観音堂(旧印旛村)からです。

とても細い道を入った小学校の裏手にそのお堂はありました。

一見して取手竜禅寺の三仏堂が頭に浮かびました。

建造もともに室町時代後期ということで、時代背景も建築様式も同一のもので、似ていて当然と言えるのでしょう。

傍の小さなお堂にも花が手向けられており、いまも近隣の信仰を集めていることを想像させます。

栄福寺薬師堂(旧本埜村)は北総線の印西牧の原駅の先をほんの少し南に下ったところにあります。

ここも狭い道をどんどんと進み、発見できずに不安になったころ、突然視界が開け、赤いお堂が目に飛び込んできます。

このお堂は室町時代中期の建造で千葉県では建立時代の明確な最古の木造建築物です。

正面の向拝は江戸時代に後から付け足されたもののようです。朱に塗られている所が他のお堂との最も異なる外観の特徴です。

境内も人の手が常に入っているようで清掃も行き届いており、気持ちよく参拝することができました。

最後が宝珠院観音堂です。ここが最も迷いました。

先に紹介した二つのお堂は、ともかく路が細くともお堂の近くまで車でいけました。ところがこのお堂は

なかなか発見できず、結局近くのお寺に車を置かせてもらい徒歩で探してやっと目的のお堂にたどり着きました。

栄福寺薬師堂にもありましたが、お堂の正面に立つ柱はなんなのでしょう。

徒歩でないと境内に近づけない場所にあり、いまでも幽玄さが十分に保たれています。観音杉と名づけられた大木もあり、

心静かに、室町のお堂と向き合うのも心落ち着くものでした。

今回、印西市の三つの重要文化財のお堂を紹介しましたが、関心しましたのはいずれのお堂もきちんとメンテナンスされ、

保存の状態がとても良好だったこと。そして近隣の住民の信仰心が深いためか周囲の環境も清潔でとても気持ち良く

取材ができたことです。

ただひとつ残念に感じましたのは、土曜日の午前中の取材でしたが私以外の見学者・参拝者には会うことがなかったことでしょうか。


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