MONTHLY WEB MAGAZINE Nov. 2013

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■■■■■ シチメンソウと佐賀バルーンフェステバル 田中康平

秋の佐賀平野で繰り広げられるバルーンフェステバルに心惹かれるものがあって出かけたが気象に敏感な競技なので競技が成立するかどうかその日暮らしの雰囲気がある。

気象予測計算のデータを見る限り11月1日が風の弱い晴れパターンに入っていて平日でもある。

クルマで行くならここかと この日の午後の競技を見ることにした。

晴れた午後は対流が活発となってガストが出やすいが競技はまあできるだろうし、とにかくのんびり行ける。

それにしても早目に着いて午後の競技開始時間にはゆとりがあるので近くの大授搦で干潟の鳥でも見ようとそちらへ周る。

行くとシチメンソウが見ごろとあり、シチメンソウ祭りと銘うって出店も幾つか出ている。

そういえばそんなことも聞いたことがある。シチメンソウはアッケシソウなどとも同じ仲間で、塩水湿地に生息して秋に真っ赤に紅葉する珍しい草だ。

干潟の公園にはウイークデイというのにクルマが多い。見ると堤防の外側には遊歩道に囲まれてシチメンソウが赤くなっている。

自生地ではあるが周りを舗装された歩道で囲まれては自然の印象が薄れてここで栽培しているように見えてしまう、でも自生らしい。

手厚く保護されているということなのだろうが少々痛々しい。有明海では他に諫早湾でも大群落が見られたが今は堤防が締め切られて消滅したといわれる。

環境省カテゴリ絶滅危惧Ⅱ類でレッドデータブックに記載されていて有明海沿岸のみに生息しているがここでこの位だからもう本当に絶滅に向っているようにも思える。

細かく見ると変な植物だ。色が変わっていく様がシチメンチョウに似ているとしてこう名付けられたらしい。

天然記念物でもよさそうだが本当に珍しいものは存在が危うすぎて天然記念物にさえならないのかもしれない。

干潟の方は干潮になっていて鳥は遠くて見辛い。

直ぐそばで動き回るムツゴロウが楽しい。

有名だが見るのは初めてのような気がする。

大小様々でバッタのように時々ジャンプし、眼が飛び出していてひょうきんだ。

干潟ではカニの横歩きも含めて泥まみれの愉快な眺めが展開する。

シチメンソウ見学のと思しき小学生の一団もムツゴロウばかり見ている。そうだよな。

鳥は遠いがスコープでかなり拡大するとシロチドリやイソシギやハマシギそれにアオサギくらいが見える。

もっと遠くにはまだいろいろいそうだが能力を超えていて見えない。

シロチドリの愉快な早歩きを見たり鳥も一応楽しんで食事の後バルーン会場へ向う。

干潟は面白くてまた満潮に時間を合わせてきてみたくなる。

バルーン競技の方は期待通り一応GOとなった。

ただ北よりの風がややあるのでメイン会場での一斉離陸はなく、メイン会場をゴールとして市内各所の適当な田んぼや空き地から離陸することとなった。

競技に参加しないフリーフライトの離陸を会場で見ることはできるが競技の真剣な離陸は見れない。

各チームは風を読んでこれという空き地や田から離陸するのだが不時着ならぬ不時離陸だ。

当初やや東よりだった風が次第にやや西よりに変わってこれを読みきれなかったバルーンが次々にコースを逸れたんぼや空き地に不時着していく。

しかし中には風の変化を読みきったバルーンもあってチェッカー模様の一基が高度を上下させながらコースを微妙に調整して会場の上に見事到達しマーカーをターゲットに向けて投下する。

他にもターゲットに近づけたバルーンも出てきて競技が盛り上がる。

風の読みが勝敗を分ける、話には聞いていたがこれは面白い。

一斉離陸は映像としては良さそうだが競技を楽しむならこんな形のほうが面白い。

秋は忙しい、唐津の秋祭り唐津くんちも見てみたい、その後は紅葉だ。

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