Monthly Web Magazine Feb. 2014

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■■■■■ 冬鳥 田中康平

今年の冬は鳥が少ないと何人かから聞かされた。

確かに去年の冬はレンジャクの群れを福岡市の南にある公園で見たりもしてバラエティに富んだ印象があった。

今年はそんな華やいだ雰囲気が無い。

冬に福岡でよく出現するという頭の黄色いミヤマホオジロもまだしっかりとは見ていない。ツグミも随分少ない。

近くの油山で野鳥観察ボランティアというのをやっているが観察会があって大勢集まっても鳥を探すのが一苦労だ。

しかし今年多い鳥も中にはいる。アトリだ。シベリアで夏を過ごし冬は日本でやり過ごす、所謂冬鳥だ。

あとりという名前は古くからの和名で大群を作ることがあることから集鳥(あつとり)がなまってあとりになったとする説が有力のようだ。

万葉集、日本書紀にも登場している。あとりは多い年と少ない年が波状的に来るような気がしている。

今年は当たり年で近くの油山でも100羽くらいの群れを間近で見たりもしている、綺麗な鳥だ。数年前日光の山中でアトリの大群に出会ったこともある。

まさに雨のように降ってくるアトリに呆然と見入っていた、というよりぼとぼとと地面に降りる音に聞き入っていたというべきかも知れない、見たことも無い大群だった。

今年は自宅近くの日本庭園、松風園でも石灯籠の上でのんびりしているのを見かけたりともかくあちこちで出くわす。

何故年によって鳥によってこうもばらつくのか、定かではないが、多分気温と食物によっているのだろうと思っている。

今年の冬は少なくも1月までは北の北海道では例年より寒さが厳しく南の福岡ではやや暖冬気味だった。

いつも渡って来る場所の気温がいつもとは違うところが多かったのだろう、また、木や草の実の付き具合いも場所によって例年とは違っているのだろう。

冬鳥を見ていると、餌、水、そればかりを必死に探しているように見える。

動き回る鳥を見ているとこれが自然災害を逃れ子孫を残す究極の方法かもしれないと思えてくる。

場所を変えていけば温暖化が進んでも怖いことはない、勿論津波が来ても直ぐに逃げおおせる、環境が変わればそれに応じて転々と生きる場所を変えていけばいい。

恐竜が姿を変えたのが鳥といわれる。今後数億年は続くかもしれない人類の時代も結局は恐竜の末路のようにこだわりの無い生き方に変身しなければ生き残れないのかもしれない。

そんなこともあって人は旅が好きなのだろうか、そうも考えてしまう。冬は続く。

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