Monthly Web Magazine December 2014

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■■■■■ 庭の松 田中康平

このところ少しは名のある庭園を幾つか回っているが、いつも気になるのは松の木の手入れである。

引っ越した家の庭の松の木は植木屋に頼むと結構物入りだし自分でやるほうが面白そうなので暇を見つけては手入れしている、というか手入れしているというほどの手は入れていないが、むさくるしくなると刈り込んでいる。

当初は初夏に新芽が出たところでこれを摘み取る所謂緑摘みをやればおよそ半年は持つだろうと思っていたのだが、そうはいかない。

夏もたけなわとなるとあちこちから再び元気に芽は伸びだしてくる、手が追いつかなくなる。こうなると小枝が混んできて如何にもむさくるしい姿となる。九州では植物の勢いが違うようだ。

秋口になって、それでは刈り込むか、と構えたがどういう風に切るべきか考えこむ。一体他所の松はどんな風になっているのだろうかと気になってくる。

松の手入れは主にネットで見てのみよう見真似だがnetからではどうにもピッとこない。

そんな訳で有名な庭園を訪れるたびに松はどう刈り込んであるか見ている。

近くでは福岡の松風園、友泉亭、植物園、伊藤伝右衛門邸、御花。。。。遠くは六義園などでも眺めている。

色々見ていると大抵の庭園の松は枝がまばらで松の葉がよく見え風通しがいい。

これに比べ我が家の庭は書割の松のように葉がびっしりしていておよそ風など通らない。これではいけないと切り始める。

1年半前に植木屋が最後に手を入れた時もそう枝は切り込まなかったのを見るとどうやらこの庭はいつも適度に葉が茂るように枝を残してきたと思える。

手がかかるようにしつらえてあって手を抜くと大変なことになるようだ。これでは敵わないと切りすぎるくらいに枝を落としていく。

他所の松を見ていくと結局最後は色々で自分の好きなようにすれば良いとも感じてくる。

こんな手入れは西洋の国では見たことがない。一体いつごろから始まったのだろうか。

盆栽の歴史は国内ではおよそ1000年、それより前にも盆景という形で中国で行われていたというからおそらく庭木の松の手入れそのものは更に古い歴史があるのだろう。

好き勝手にやってみて翌年にその結果が出て、それを繰り返していけば自分の好みのやり方がだんだんわかってくるのだろうがもはや寿命の問題だ。

植物と付き合うと寿命ではるかに負けるのを感じる。勝った負けたではなくて共に生きていく、これしかないと教わるような気がしている。生きていると全てに学ぶことが多い。

(順に、今年夏頃の庭の松、松風園の松、御花の松、伊藤伝右衛門邸の松、六義園の松、刈り込んでみた今の庭の松 較べてみると庭の松の進歩はまだまだ)

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