Monthly Web Magazine Nov. 2016

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■ おばちゃんカメラマンが行く 北方縄文の《なんじゃこれ〜》   事務局

@青森県青森市 青森郷土館

雨で撮影ができず、青森郷土館へ

ざっくり青森の歴史・文化に触れることができる。

縄文時代の遺跡からの出土品も展示されていたが、一番楽しみにしていた‘オッパイ土偶‘にお目にかかれず、ちょっと消化不良の一日だったが、たまたま《なんじゃこれ〜》と思われる逸品に出会うことができた。

オシラ信仰やイタコ、マタギのさんすけなどは有名だが、子供の工作か出来の良い案山子のような藁人形は興味深い。

ボノカミとかボウノカミ(ホウ=疫病)と言われている。

病追や虫追など悪魔を退散させる行事で、各家から供出された藁で人形を作り家を回りながら村境まで連れていくというものである。

体には串に刺した餅がいくつも刺さっており、悪者ではなく悪魔を追い払ってくれるヒーローのような感じである。

ボノカミ、オシラさま、さんすけ

   

このボノカミ信仰、いまだに目にすることができるのがもっと驚きだ。

秋田県湯沢市雄勝の村境に同様のものに出会うことができた。鹿島様と呼ばれ疫病(腸チフス)を追い払うための行事だ。

家内安全、無病息災、五穀豊穣を願い現在でも続き各家を周りお供え餅を腹に刺してもらい、村境まで送られるそうだ。

たまたま秋田で発見したが、青森でも同様に発見できるところがあるに違いない。

 

@青森県八戸市 是川縄文館

縄文時代の出土品には《なんじゃこれ〜》と思われる物が多数ある。

土偶展のイベントで青森郷土館から貸し出されていたオッパイ土偶に会いに行く。

是川縄文館には有名な国宝「合掌土偶」様が展示されているが、とりあえずお目当ての土偶を拝見する。

八日町遺跡から出土した遮光器土偶で、つんと突き出たオッパイと丸みのあるお腹からやはり妊婦を想像させる。

顔が幾分可愛いらしいのも魅力の一つである。

写真では撮りにくいが、後ろの鏡越しに肛門のような穴まで見ることができる。

県重文ではあるが、両足が揃っていたらさぞかし土偶ファンの人気を集めたことだろう。

ちなみにオッパイ土偶は正式愛称ではありません。

 

是川縄文館のコレクションは数だけではなく質も素晴らしく展示室の趣向も凝っている。時間を忘れて堪能することができる。

展示の最後まで引っ張る国宝 合掌土偶室へ。

風張遺跡の長芋畑から出土したそうだが、さすが本物だ。

ついつい青森郷土館にあったレプリカと比べてしまう。

これをオーラとかパワーと言うのか訴えかけるものがあるように感じる。

何かしらの祭事に使われたはずで当然だが、透明の箱の中で幾分息苦しそうである。

五郎丸のポーズとかで、一時話題になったが、寄りかからなければ自立できない事と女性器があることから座産のポーズともいわれている。

オッパイがなく、お腹が平らなので妊婦かどうかは私的には納得できないところもある。

体に赤色顔料が残っていたことから、当時は真っ赤で、欠けた部分をアスファルトで修復した跡があることから、かなり大切に扱われていたようである。

約3500年前のものらしいが斬新で現代アートに通じるものがあり、別れが惜しい。

なめるように撮影したり、のぞき込んだりしていたので、館員さんがはらはらしながらこちらを凝視していた視線が痛かった。

 

@岩手県一戸町 御所野縄文博物館

《なんじゃこれ〜》とどめは

御所野遺跡縄文博物館の鼻曲り土面だ。

御所野遺跡より1000年から1500年ぐらい新しい蒔前遺跡から出土した土面で国の重文だ。

頬に赤色顔料が残っていたことから当時は真っ赤だったと想像できる。

サイドの穴を利用してお面にしたり祭事で使っていたらしい。

お産の苦しみを表しているのではという説もあるが、悪臭を嗅いだならともかくお産ではこんな顔にはならないだろうとあれこれ思い出してみる。

 

この博物館の売店で鼻曲り土面クッキーを発見《なんじゃこれ〜》

アマランサス入りで1枚150円で買える。

蛇足だがアマランサスとは雑穀の一種で最近ダイエットのためのスーパーフードとして人気がある。

博物館も財政的に厳しいのか試行錯誤の毎日に頭が下がる。

クッキーでレプリカ化した土面もこんなところでお役に立てて、鼻が曲がりながらも微笑んでいるに違いない。

口元が欠損しているのが残念だ。