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Monthly Web Magazine Dec. 2016

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■ 富士の絶景も楽しめる城跡史跡 瀧山幸伸

史跡に指定されている城跡のほとんどは、アクセスが悪かったり整備が悪かったりと、よほどの歴史好き城好きでもない限り一般観光には不向きです。

歴史的な価値が高く、アクセスも整備も良くて、富士と駿河湾の絶景も楽しめるという、三拍子揃った史跡を紹介しましょう。

伊豆旅行などの機会にぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

絶景も楽しめる城跡の一つは、三島市の、箱根旧街道に隣接した山中城跡です。

箱根旧街道と言えば箱根関所から箱根湯本までの杉並木と石畳が知られていますが、反対側の箱根峠から三島までの旧東海道も史跡に指定されており、こちら側を歩けば富士と駿河湾の絶景が楽しめます。

山中城跡は、北条軍が出先で守っていましたが、17倍の兵力を持つ豊臣方の前に半日で落城した城です。

しかしながら、城の縄張り(設計施工)は強固で、石や水をほとんど使わないにも関わらず、障子堀と呼ばれる防御構造で護った堅固な城でした。その城の構造が保存復元整備され、散歩程度の簡易さで周回できるのです。

城跡から望む富士は、少し下流に位置する大吊橋で見る富士よりも、戦国ロマンが加わるからか、無機質な構造物が無いからか、とても美しく感じます。しかも、入場無料です。

  

もう一つの絶景城跡の史跡は、長浜城跡です。沼津市の駿河湾沿い、内浦長浜にあり、かつての島が陸と繋がった、軍艦のような城です。

こちらは北条水軍の拠点で、駿河に勢力を伸ばした武田水軍と戦いました。どちらの側にも戦勝を誇る資料があり、勝負の真相はわかりません。

水軍とはいえ、構成員は近郷の漁民や商船の乗組員が雇われていたのでしょうから、お互い顔見知り、表面はいざ知らず、本音はまじめに戦わなかったのではないでしょうか。

太古から近年まで、死人が出るほどの漁場争いをしていた瀬戸内の水軍や漁民の縄張り争いとは異なっていたのでしょう。

城は小島の頂上に構築されましたから、四方を絶壁と海に囲まれ、アルカトラズのような要塞です。道路からほんの数分登るだけで城の遺構と絶景が楽しめる、本当にお手軽なスポットです。