JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Feb. 2018

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■ 大授搦(だいじゅがらみ)  田中康平

有明海は干満の差が大きく大潮ともなれば干満の潮位の差は5mを越える。定期的な緩やかな津波といってもいいほどだ。

有明海の北の奥、佐賀空港の西隣に大授搦(だいじゅがらみ)という干潟がある。近頃では大授搦という名より「東与賀 よか公園」の方が一般的なようだが歴史のある場所としては大授搦のほうがカッコよい。

日本で一番干満差の大きい場所が有明海のこのあたりということになっているようで昔から干拓して海を農地に変えることが進められてきた。搦という文字が使われているのは、江戸時代、干拓は杭を打って土を杭にからめとる(搦める)手法で行われていた、その名残のようだ。佐賀藩では搦方がせっせと干拓で平野を広げていき明治に入ってもその勢いは続いたようで、この大授搦は大正期に造られた最後の干拓地ということらしい。

有明海の干拓の歴史の上に諫早湾の干拓も位置付けられるのだが、この干拓だけを佐賀県が糾弾しているのはちょっと身勝手なのかなと歴史的には思えてしまう。

それはともかく、現在はこの地は渡り鳥の集まる干潟として世界的にも認められており、2015年にラムサール条約登録地となっている。

特に冬は北から寒さを逃れてくる冬鳥達に安住の地を提供する役割を果たし、多くの野鳥とそれを観察に全国から来る人々で賑わう。とりわけ大潮の時期は潮が満ちるにしたがって干潟をつついて餌をとる鳥たちが陸地に近づいてきて見やすく格好の観察条件となりバードウオッチャーが数多く集まる。

以下2月上旬の大潮の土曜日に訪れた時の様子を紹介する。

地図

 

潮位

 

この日の潮位は午前11時半頃が満潮でかなり高い。

ハマシギの群れ

       

クロツラヘラサギ

   

ズグロカモメ(白っぽくてくちばしの黒いカモメ)、ミユビシギ(やや小ぶり)、ダイシャクシギ(大型で長いくちばしが下に曲がっている)

   

タイミルセグロカモメ

 

セグロカモメ/オオセグロカモメ

 

ツクシガモ

 

ミヤコドリ

 

干潟全般

  

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