JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Jan. 2019

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■回顧 2018年 川村由幸

年の初めは毎年過ぎた年の回顧です。

近隣に未取材の文化財が少なくなってしまったことも原因の一つではありますが、ともかく取材行が激減したのが2018年でした。

ファインダーから覗く文化財に魅力も感じていますし、シャッターを押すことが楽しいのも変わりません。

突き詰めれば、取材の時間を作り出すことができなかった自分自身の怠慢だけのように思っています。

そんな2018年もいくつか記憶に残る取材をしています。

古民家好きの私にとって印象深いのは三か所の古民家展示施設です。

最初は日本民家園、川崎にあるこの施設の訪問は初めてでした。

   

20棟を超える古民家が移築・展示され、8棟の重要文化財も含まれており、とても充実した内容の展示にとても楽しい時を過ごしたと記憶しています。

古民家好きと自称しながら今まで足を踏み入れていなかったことを恥じ入るばかりです。

次は江戸東京たてもの園です。中央線武蔵小金井駅から歩いて訪問しました。

日本民家園同様初めての訪問です。東京近郊の車移動はどうしても時間がかかり苦痛が伴います。

電車ですのでカメラが重い、この時は小型カメラを持参しての電車行でした。

   

ここは日本民家園よりも新しい時代の民家が多く展示されています。展示建造物は復元ですが、文化的価値の高い失われたものを残してゆくことに大きな意味があると思います。

敷地も広く、建造物の数も多いため、じっくり見学すると一日仕事になります。

古民家の最後は福島民家園。入場無料なのに驚きました。

   

観桜のついでの訪問でしたが、すべての展示物の維持・管理が徹底して実施されていることに関心しました。

ここで見たいくつかの古民家に土間に筵をひき、そこが居住スペースとして利用されていて驚いたのを記憶しています。

しかし、福島県は太っ腹ですね。

ついででない観桜でも昨年は新しい発見がありました。昨年はともかく桜の開花が早くて福島でも予定した日程ではほとんどの桜が盛りを過ぎていました。

そんなとき、助けてくれたのが田村市の桜達でした。しかも巨木でみごとな桜がいくつも存在しているのです。

   

その上、他の観桜人が少なくてゆっくりと我儘に桜が楽しめたのです。

開花が遅い理由は田村市の標高が他より高いためのようですが、確実ではありません。

ここを知ったおかげで、福島の桜は開花後、G.W前まで楽しむすべを手に入れたことになります。

最後が真夏に訪問した田母沢御用邸です。日光には何度も出かけているのに過去に訪問していませんでした。

大正天皇の別荘として造営されたみごとな建造物なのに、世界遺産の日光の寺や神社ばかりが目立ち、あまり光が当たったことがない建造物です。

   

2018年の夏は記録的に暑く、全く涼しくない日光で大汗をかいての撮影でした。

庭に一本大きな枝垂れ桜があり、これが咲いている時期にまた来てみたいと感じたのを記憶しています。

残念ながら、充実したとは言い難い2018年でした。

2019年は多くの取材にと抱負を語りたいのですが、70才を迎える今年、気力・体力・知力の全てが低下するばかり。

高い目標を掲げても実現できる元手がありません。

panasonicのフルサイズでも購入して勢いをつけ、昨年より一件でも多くの文化財を訪ねたいと思うばかりです。

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