JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine June 2019

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真壁 ビフォー and アフター 川村由幸

先月は佐原でしたから真壁の今も見ておく必要があると思い出かけました。佐原ほど完璧ではないものの、真壁の東日本大震災からの復興もほぼ完了でしょうか。比較的最近になって震災の傷が癒えた建造物を震災のダメージが残る画像と比較して紹介します。

まずは駐車場のすぐそばにある平井家です。

   

前回、2018年6月の訪問時には修繕が完成していました。赤い自販機のみ変化がなく、他は震災の被害をを感じさせなくなりました。今後いくらかの風雪が建物に風格を加えてくれたら言うことがありません。平井家の近くの土谷家の蔵も見事に修繕が終了しています。

   

この蔵は修繕着手が遅く、2018.06月も工事途中でした。小型ですが雰囲気の良い蔵でしたから、元の姿に修復され我が事のように嬉しいです。この土谷家、一時住んでいる人がいない時期があったようで、住民が戻って修復工事も進み今に至っているように思えます。続けて蔵です。塚本茶舗の脇蔵です。とてもひどい被害を受けていました。

   

屋根の葺き替えが完了しています。足場がありませんから、漆喰の壁このままということなのでしょうか。内部の骨組みが露出しているところもあり、このままでは劣化が進むのではと危惧を感じます。壁の剥離も進んでおりもう少し手を加えるべきではと感じるのは私だけでしょうか。この蔵の側に修復が完全に完了した建物があります。木村家です。

   

もともとは種苗屋というか花屋というか焦点でありましたが、修復が完了してみると人の気配がありません。家はやはり人が住んで価値のあるもの、無住で外観のみ残ってもいささか寂しい気持になってしまいます。佐原にも無住になってしまった古民家があります。住宅から暮らしを無くしてしまったら住宅と呼べなくなってしまいます。最後は真壁伝承館から見える蔵です。

   

大きな蔵で文化財の指定はないようです。ここは外壁が完璧に修復されています。今回の真壁訪問では、震災前に戻ったなと強く感じました。ただ、村井醸造は未だに工事中です。

   

登録文化財ではないようですが、修繕の手が全くはいっていない建物も残されています。

  

いくつかの課題は残されているとは言え、重伝建を散策するのには十分な修復が完了しています。

これを将来とも維持してゆくためには、やはり観光収入しかないのでしょうか。

この日も朝は早めでしたが、誰一人として観光客には出会いませんでした。

観光での維持も簡単てはないようです。

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