JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Aug. 2019

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■ 房総のむら 川村由幸

いささか前になりますが、雨で途中で切り上げていた房総のむらの残りの取材をしてきました。

残っていたのは「ふるさとの技体験エリア」です。

このエリアの建造物は再現されたもので、歴史的な価値のあるものではありません。

しかしながら、武家屋敷、上総の農家、下総の農家、安房の農家に商家の街並みを加えた建造物は畑や森の中に囲まれて趣もあり、カメラを構えて十分に楽しむことができます。

でも、ここも集客に苦しんでいるのでしょう。入口手前にしたの画像の看板が。

少し前にコスプレイヤーが撮影に集まっているとテレビか新聞のニュースで見た記憶があります。

文化施設はほぼ全てその運営費用に悩みを持っているようです。

今回は千葉県の昔の国割に従った農家を紹介します。

最も入口近くにある上総の農家からです。

  

立派な長屋門を持つ、大きな農家です。畑の中をぬけてその門に向かう造りでタイムスリップしているような感覚です。

母屋の茅葺屋根が切れたところは中二階になっているという複雑な構造をしています。

新しい建物でありますが、十分に風格が感じられ、古民家好きの私を満足させてくれる茅葺屋根でした。

  

次は下総の農家です。ちなみに私の故郷はこの下総です。

敷地内に6棟もの建造物がある大農家です。子供のころ近所でこんな母屋を見たことがあるような記憶があります。

風通しの良さそうな母屋は住み心地も良さそうです。時間がゆっくりと流れているような気がします。

最後は安房の農家です。私は房総のむらの中ではこの建造物が一番好きです。

  

とても特徴のある形状の母屋は右側の別棟にだいどころと中二階がある不思議な建物です。上総、下総の農家と比べるとずっとコンバクトにまとまっていて、庶民には親しみを覚えます。

何と言っても面白いのが「蟹殻掛け」いう厄除け、タカアシガニの甲羅に顔が描かれています。

この日は猛暑の真っ只中、朝のうちにと出かけましたが、熱くて暑くてたまりません。

もう一度「風土記の丘」エリアの撮影をと考えなくはなかったのですが、安房の農家が終わったところで終了。

もうすぐ70歳、熱中症で倒れるわけにはゆかず、帰宅しました。

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