JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Oct. 2019

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■ おばちゃんカメラマンが行く ヒグマに遭遇@北海道  JG事務局

年に数回北海道を訪れ大自然に触れたいと思うが、最近は気軽に楽しむことがなかなかできないようだ。

大雪高原沼はヒグマ対策のレクチャーを受ければ、個人で沼巡りをすることができるが、午後3時までにゲートまで戻らなくてはいけない。

時間になると、レンジャーの方が下山するようにと各チェックポイントで登山者に確認する。

知床五湖もフィールドハウスでレクチャーを受けた後5湖をめぐることができるが、コースは決められている。ヒグマ活動期はガイドツアー限定となる。

それもこれもヒグマが頻繁に現れるためだ。

知床には多いのか少ないのかわからないが、550頭のヒグマが確認されている。ナキウサギやクマゲラなど希少な動物には遭ったことがあるが、未だにヒグマだけは舟以外から遭遇したことがなかった。夏に訪れた時は、ヒグマが居そうな山奥の方まで行ったが会うことはできなかった。

しかし今回は、知床五胡で大ループコースを散策中、ヒグマが現れたという情報があり、やむなくコースを引き返したり、岩尾別川の河口でヒグマが鮭の遡上を狙ってハンティングをしているのを目撃したりと、何となくヒグマを感じることはできた。

林道を奥に入って何やら動物を観察しようと思っても容易に遭遇するのは難しいのだが、期待しないところに出没するようだ。

阿寒のオンネトーに訪問した後、夕暮れの帰りがけ、自動車道の横の森の中に何やら薄茶色い丸い物体を発見し、まさかと思って一度通り過ぎたところを引き返すと、ヒグマがいるではないか。

空腹なのかひたすら草むらを物色している。こちらの気配を感じているのだろうが、驚く様子もなく、うろうろしたり木に体をこすったりしている。

しばらく撮影して、ヒグマがこんなに観光客が多いところにいるかと思うと、少し恐ろしくも感じた。

知床のフィールドハウスのレンジャーが厳しく入場規制しているのもわかるような気がした。

北海道には、人を警戒し音を出せば逃げていくヒグマと、里に下り農作物を食べたりゴミをあさったりする人慣れ熊がいるそうだ。

札幌の市街地で連日住宅街に出没するヒグマは後者の熊らしい。

観光客が車を停めて外に出て撮影したりエサを与えたりすると、人間に対する警戒心がなくなり、人慣れしてしまう可能性もある。

結果、人間に危害を加えることにつながるのだ。レンジャーの方は「ヒグマの住処に人間がお邪魔している」と思って共存してほしいと何度も繰り返す。

思わず貴重なヒグマに出会えて、もちろん車内から撮影をしたが、野生動物に対する観光客のマナーについて考えさせられた。

今月のニャンコ

北海道では珍しいカルルス温泉の地域ネコ

つかの間の日向ぼっこ

「 今年も冬がやってくる。憂鬱にゃん。」

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