JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Dec. 2019


■  冬鳥が  田中康平

もう12月に入って秋も終盤を迎えてきた。福岡市の自宅周辺に飛来する冬鳥もだいぶ顔をそろえるようになってきて冬らしい鳥の風景が展開している。

水鳥ではハシビロガモやマガモ、コガモ、ヒドリガモなどが次々に渡ってきて近くの溜池を遊弋している。渡ってすぐは警戒心が強くて人の気配に敏感に反応するが少し経つと慣れてきて見やすくなってきた。渡ってきた当初はカモ類のオスはエクリプス羽から変わり切っていないのもあって色々な模様が見られて面白いところもあったがこの頃になるとオスはオスらしく綺麗になってきた。カモは真冬に繁殖用の羽に変わるのが面白い、冬が来れば直ぐに春になる、準備をしなくては、と気がせくのだろうか。

カモメの仲間ではセグロカモメが冬鳥として飛来し始めた。セグロカモメは北極海で夏を過ごし冬は南下するのだが種類が多く判別には悩まされる。カモメがすぐにわかる人は鳥仲間でも尊敬されるような気がしている。先月は大濠公園でタイミルセグロカモメらしいカモメを見たがどうにも自信がない。そんなものだ。

陸の鳥もジョウビタキはだいぶ慣れてきて近くで観れるようになってきたが、シロハラはまだ敏感で声はすれども姿はちらちら見せてくれるくらいだ。ツグミはかなりの集団が到着したのかこのところ急に数が増えてきた。アトリも大きな群れにあたるとあきれるほどの数が見れることもあるが今年は未だそんな場面には遭遇していない、しかし数は増えてきた。ホオジロ類ではホオジロは留鳥だが頭の黄色いミヤマホオジロや腹の白いカシラダカは冬鳥としてシベリア方面から飛来する。これも近くの油山などで姿を現してきた。今年はカシラダカが多いようだ。

渡り鳥ではないが近くの蓮池にはウグイスが冬は山から下りてくる。時々姿を見せ始めてこれもまだ落ち着かないがじきに見慣れた冬の風景になっていくだろう。いい季節だ。

(写真は順に1.ハシビロガモ、2.マガモ、3.コガモ、4.ヒドリガモ(エクリプス羽から転換中)、5.ヒドリガモ(転換終了した繁殖羽)、6.タイミルセグロカモメか、7.ジョウビタキ、8.シロハラ、9.ツグミ、10.アトリ、11.ミヤマホオジロ、12.カシラダカ、13.ウグイス いずれも福岡市近郊で今秋冬撮影)

             

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