JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Aug. 2020

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■ 夏場の野鳥   田中康平

夏場は野鳥を見るなら標高の高いところか北海道などの北の大地が好適とされる。平地では暑いばかりで今一つのところがある。
しかし自宅のある福岡市の近くの公園でも、ぐっと増えたスズメの幼鳥のしぐさやムクドリ、バンの子育てなどそれなりに楽しめたりもするし、カラスも若い鳥が多くなってやたらガーガー騒ぎたがったりもする。そのあたりは人間と大して変わらない感じがして結構面白い。
また、マガモは冬鳥で基本的には夏は北へ帰るのだが、中には体調が良くないのか帰るのをやめそのまま居座って日本の暑い夏を耐え忍ぶのもいる。朝鮮半島を北に上がればそれこそカモが来たとばかりに捕まえられ食べられてしまう危険が増大しているのを察知しているのかもしれない。
夏の平地の鳥で見栄えがいいのがカワセミだ。留鳥だからいつでもいるのだが冬鳥が去った後の平地の水辺ではひときわ目立つ。ヒスイと同じく翡翠と書くだけあって美しい。
この季節はカワセミも子雛を孵して幼鳥がデビューしてくる。胸のあたりが黒っぽいのと色の鮮やかさが今一つなので幼鳥と解る。
近くの公園にも7月の末からカワセミの幼鳥が現れ始めたが、他の鳥と同様幼鳥は動きがなれてない風が見れて面白い。親鳥が遠巻きに見守っているのも他の鳥と同じだ、これも人間と同じなのだろう。

カワセミはヨーロッパからアフリカ、インド・ユーラシアに広く分布しているが、南北アメリカ、オーストラリアには、アメリカヤマセミなどの近隣種はいるものの Common Kingfisher と呼ばれる本種はいない。大陸移動でパンゲアから南北アメリカなどが切り離された時期(およそ1億5000年前)の後に旧大陸側に現れた種で、熱帯起源の鳥故に極地近くを経由しての移動はやる気がしなかったのだろう。カワセミの中にも現生人類の歴史をはるかに超える時の流れが伝わっていると思うと綺麗な鳥以上の感慨深いものを感じてしまう。

コロナの暑い夏が過ぎていく。鳥や虫や花を見ながら過ごす時間が長くなっているが、つくづく人間と全ての生き物は同等なのだと感じてしまう。DNAのサイズをとってみても人間より大きいサイズの生き物はいくらもいる。温暖化もコロナも謙虚な態度でしのいでいくしかないのだろう。

写真は順に、

1.スズメの幼鳥(くちばしの根元が黄色い)、2.親に餌をもらうムクドリの幼鳥、3.親に餌を求めるバンの幼鳥、4.夏を越すマガモのオス(非繁殖羽根になってメスに似ているがくちばしが黄色いのでオスとわかる)、5.カワセミの幼鳥、6.公園の池で小魚を狙うカワセミ、7.ポーズするカワセミ。

       

 

 

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