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■ 東日本大震災から10年 川村由幸

すべての人工物を呑み込み押し流し駆け上る津波のTV画面を今も忘れることができません。
津波の画面を見ながら、涙が止まらなかったことも鮮明に記憶しています。
人間のそして自分自身の無力さをいやというほど思い知らされた時間でした。
あれから10年が過ぎようとしています。
原発事故の発生した福島県以外は大震災の傷跡も随分と薄れ、問題は残っているものの人間の営みが戻ってきているのが現状なのでしょう。
ただ、復興がもくろみ通り進んでいない事例が多く報道されることは10年前の元の暮らしに戻ることの困難さを象徴しているように感じられます。
この復興に私自身は何ができたのでしょうか。
復興税は負担しました。それ以外では、2011年は宮城県に、2016年を除いて2012~2019間は観桜に福島県に出かけ、ほんの少しのお金を使ってきたことぐらいです。
要するに何もできなかったということです。
しかも、昨年からはコロナ禍で観桜にも出かけられず、それが今年も継続せざるを得ない状況なのは哀しいばかりです。
桜の季節が近づき、なんとなくウキウキとした気分になるのは今年も我慢、せいぜい画像と映像で楽しむだけです。
そんなわけで過去の福島の桜を、私の好きな福島の桜のヘスト5から順に紹介します。

No.5 芹ヶ沢桜  三春町
  
船引三春I.Cの近く、小高い丘の上にある姿の桜です。下の道路から見上げる形となり、姿の良さが一層際立ちます。

No.4 是哉寺の地蔵桜  田村市
  
田村市は福島でもそれほど桜で名高いわけではありませんが、この桜は巨木です。その大きさに感動しました。

No.3 龍ケ岳公園の桜  郡山市
  
残雪の磐梯と安達太良、美しすぎる景色でしょう。この絶景がここの売りです。

No.2 七草木天神桜  三春町
  
畑の中の孤高の巨木、風格を感じる桜です。樹勢もあり枯れた枝等皆無です。

No.1 滝桜  三春町
  
言わずと知れた滝桜、日本一の桜と言って過言でないと思います。昨年に続き、今年も見に来る人のいない春です。
人の営みなど関係なく、それでもこれらの桜はきっと見事に咲き誇るのでしょう。
いつになったら、観桜を楽しめるのでしょうか。来年の春にはこれらの桜に会えると良いのですが。
地震・疫病 次は何が人類に襲いかかるのでしょう。異常気象でしょうか。

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