JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine July 2021

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■ アオバズクが 田中康平

春の渡りが一段落するこの時期の野鳥で見ておかなくてはと思うのは幾つもあるが何故か今年は外れが多い。
6月はアカショウビンを求めて英彦山深倉峡まで出向いたが空振りだった。サンコウチョウも福岡市内のよく出現するポイントに訪れてみるが観れない。コアジサシも海の中道に行ってみたが数羽が飛び交うだけで営巣はみれない。梅雨入りが例年になく早かったせいもあるのだろうか、いつもソ少し違う。
せめてもとアオバズクを求めて那珂川市の古い神社、現人神社に出向いた。アオバズクが来るという神社は幾つかあるが確実に毎年見れているのはここくらいだ、他は居るのは判っているが見つけるのが難しいところが多い。糸島の博物館前の並木にも来ていたが去年博物館に電話するとセンダンの木が切られてしまってもう来てくれないですよとあり期待できないようだ。

アオバズク(学名:Ninox japonica)は東南アジアで冬を過ごし夏は東アジア一帯で繁殖し生まれた子供を連れて冬また東南アジアに戻る、これを毎年繰り返している。類似の種としてインドを中心に生息するNinox scutulataとフィリッピンを中心に生息するNinox randiの種が世界的にはあるとされているが( IOC World Bird List )、見た目で区別するのは難しいらしい。沖縄にはリュウキュウアオバズクと呼ばれる渡りをしないアオバズクがいるがこれはNinox japonicaの亜種とみなされているようだ。

出かけてみると、親鳥(恐らくオス)があたりを見張りように高い枝に止まっている、ヒナはまだ姿がない。ヒナが生まれ少し育つと親に並んで枝に止まるようになり7月の終わり頃にはこの地を離れる。ゆっくり南へと島伝いに戻っていくのだろう。
アオバズクの多くが決まった古い神社の大木に毎年現れることから世代を継ぎながら同じ木に子孫が渡り続けているようにみえる、生きた文化財のような気がしてくる。


写真はアオバズク、最後は神社の風車。

       

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