JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Mar. 2022


■太宰府の飛梅を見たり  田中康平

ようやく春めいてきた。
庭の白梅が10日ほど前に満開になって春の到来を告げてくれたが、梅といえばここらでは太宰府天満宮の梅が定番だ、梅が枝餅でも食べるかと2月の終わり頃に出かけた。確か由緒のある太宰府の飛梅と我が家の白梅はほぼ同じころ満開になっていたはずとの記憶がある。
九州国立博物館にクルマを止めて専用通路で太宰府天満宮に入る。トンネルを出たところの菖蒲池の梅は全体には3-5分くらいでまだ早い、時には満開の木もあって写真には困らない。太鼓橋から楼門へと進むが梅の開花は似たようなものでまだ早い。楼門をくぐると見えてくる本殿前の飛梅は予想通り丁度満開だ。菅原道眞の時代から何世代もひこばえを使って命を繋いできた梅と云われている。よく手入れされていて見事だ。
参拝の列には並ばず横参りして本殿の裏手に回り先へ行く。天開稲荷に向かう梅林も咲きぶりは同じような感じだが、花は盛りに、との古人の言葉もある、こんな風情も悪くはない。
梅林の一番奥でここから天開稲荷の上りというところにお石茶屋という茶屋がある。戦前から戦後の時期 筑前三美人の一人といわれたお石さんが店主をしていた茶屋でその美貌ゆえに高松宮殿下、野口雨情、吉井勇、犬養毅、緒方竹虎、松岡洋右、松永安左衛門、麻生太吉(麻生太郎の曾祖父)、佐藤栄作 等、時の有力者、有名人が通ったといわれている。特に麻生太吉は熱心でお石さんが自宅から店に通うのに便利なようにとすぐそばにお石トンネルと呼ばれるトンネルまで造ってしまったとの話が伝わっている。お石茶屋もお石トンネルも現存しており、太宰府の現代史が生きてここにあるように思えてくる。

ここまできて太宰府の梅見は終点になる、梅の季節のルーティーンなのだろう。

写真は順に1:自宅白梅 2:太宰府菖蒲池 3:同枝垂れ梅 4:太鼓橋付近 5:本殿 6:飛梅 7:本殿裏手の梅林 8:お石茶屋 9:お石トンネル

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