JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Nov. 2022


■ 世界遺産の二つの城  川村由幸


仕事で姫路に出かける機会があり、約束より早く姫路入りして姫路城を見学してきました。
仕事が済んだ後、京都に一泊して二条城も見学しました。
二つともに世界遺産の城です。日本には5つの世界遺産の城or城跡があり、残り三つはすべて沖縄にあります。
この姫路城と二条城、同じ城でもその様子は随分と異なります。比べてみましょう。
まずは門からです。
    
左の二つが姫路城、右が二条城の門です。姫路城は質実剛健、二条城は豪華絢爛と形容できる門構えです。
これは、その成り立ちに起因しているのでしょう。
姫路城は池田輝政が城主になって以後、徳川幕府の西の守りの拠点、戦のための城でした。
それに対して、二条城は京都御所の守護&将軍の宿泊所、すなわち外交色の強い成り立ちであったからでしょうか。
同じ世界遺産でも姫路城は単独で世界遺産、二条城は古都京都の文化財の一部としての登録です。
だからと言って価値に差があるわけではありませんが。
    
姫路城と言えば、なんといってもその大天守でその存在感は威圧的で日本一の天守閣と言っても過言てはないでしょう。
そしていたるところに存在する狭間や石落としなどの敵を攻撃するための仕掛け。
まさしく戦争のための建造物そのものです。
    
対して、二条城は城らしい建造物は上の画像の左端、東南隅櫓ぐらいで二の丸は御殿、二の丸庭園は小堀遠州の手が入った優美なものでとても戦争を感じさせるものではありません。天守閣跡は残るものの、やはり城というより御殿と呼ぶのがふさわしい建造物でしょう。
文化財としての価値は双方とも高く、日本の歴史においても大きな存在感のある建造物なのは間違いありません。
そんな日本の城を二つ続けて見学して感じたのは、見学者の多いことです。コロナ禍からなんとか抜け出しかけている今、未だ慎重な行動を取る人々が多いと思っておりました。世の中、私が考えていた以上にコロナ禍に寛容になっていたようです。

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