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沖縄県渡名喜島
Tonakijima,Okinawa

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General
伝統的な沖縄の街並と素朴な島人
Nature
豊かな自然、フクギ
Water
白い珊瑚礁
Sound/Noise
 
Atmosphere
 
Flower
 
Culture
 
Facility

 
Food
 

リゾート開発を免れた沖縄の楽園





国土地理院地図を元に作成

渡名喜島と入砂島





地図: 国土地理院


世に沖縄好きは多いが沖縄の離島好きは多くはない。沖縄の離島は、都市文明に慣れた高級リゾート指向の人には何も無く不便極まりないところなのだが、秘島や秘境が好きな人には人間らしい生活を取り戻せる小宇宙であり天国である。

 沖縄の西の果て与那国島は、ドラマ「Dr.コトー診療所」の舞台となった。ドラマ放映後、静かな島に一気に観光客が押し寄せたそうだ。残念ながら与那国島には沖縄本島と同様の殺風景なコンクリート造りの家と屋上給水タンクが並び、伝統的な沖縄の街並は見られない。 一方、伝統的な街並で有名な竹富島は美しいのだが、アクセスが良いため観光テーマパークの島と化してしまい、素朴さを失って久しい。
 渡名喜島の街並は、独特な地勢と建築様式のため、昔のままほとんど変わらない。港湾と公共施設が近代化され電気が通り電柱が立ったこと以外は。また、競合する離島と比べ空港が無く交通不便で、特筆すべき名所も無いが故に観光化の洗礼を受けなかった。
 「日本には暗い場所が無くなった」と、街灯やライトアップによる夜景の情緒破壊を嘆いた民俗学者がいたが、この島は暗いがゆえに満天の星空を堪能できる、 究極の離島とも言える。時空を超えた悠久の島は、次世代にとっておきたい「沖縄最後の楽園」と言っても過言ではないだろう。

 その渡名喜島とはいったいどのような島なのだろうか。 島は那覇の北西約60Km、久米島と慶良間諸島と粟国島のほぼ中間に位置する。隣接する無人島の 入砂島は、NHKの連続ドラマ「ちゅらさん」のオープニングが撮影された島だが、残念なことに射撃訓練地なので近寄れない。これら二つの島が渡名喜村を形 成し、面積3.74平方Kmと日本で二番目に小さい自治体である。


島へ渡るには、那覇から久米島行きフェリーで2時間15分。近くは無いが日帰りも可能だ。生活物資満載のフェリーは離島に向かう哀愁を漂わせる。船の大部 屋は島人のごろ寝で埋まり、よそ者の入る隙間も無い。南洋の人々のスローライフにあわせ、時の流れも島時間に切り替わる。


Sep 2007 DVD quality video AVCHD Video No.1 AVCHD Video No.2 AVCHD video補遺 Video FAQ

那覇 泊港 出発風景




島が近づき、坊主頭の少年が船から身を乗り出す。「島ちゃび」と言われる離島苦に耐えかねて、暫し那覇で都会の空気を吸ってきたのだろうか。




この島の集落は、南北の二つの丘に挟まれた平野部、東の浜と西の浜との間、幅約600mに集中する。台風時には、二つの丘に狭められた特異な地形のため、 この集落の真上を強風がさらに加速されて通り抜ける。このような環境に対処するために以下のような独特な街並が形成された。この街並を主とする独特の景観 21.4haは平成12年(2000年)、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。



集落内には共同井戸や祭祀の場となる殿屋敷(とぅんやしき)が点在する。
商店は看板を出す必要もないので街並景観が乱されることもない。




昔の渡名喜
港以外はほとんど昔のまま。公共などの近代的施設を街並に調和させることができれば、なお素晴らしい島になるだろう。


渡名喜の花
この島は、ほぼ全域が沖縄県の自然公園に指定されているほどの景勝地で、四季折々咲き誇る野生植物が楽しめる。



風土に対応した街並の特徴

随所に島特有の風除けの工夫が凝らされている。敷地を道路よりも低く掘り下げ平屋建てとし、家屋の屋根を極力低くしている。正面入り口の壁は目隠し目的が主だが、風除けにも役立つ。





フクギ
常緑広葉樹のフクギが屋敷防風林に採用され、台風対策のみならず、通常時のプライバシー確保、通風、緑陰など、生活環境の改善に貢献している。フクギの街路樹を持つ道は微妙に湾曲し、食い違い交差しており、街路景観にゆらぎを与えている。


新築中の民家 
この島は近年の台風で大きな被害を蒙ったが、通常の被害対策と、重要伝統的建造物群保存地区の補助事業により、伝統的な街並がよく保存復元されている。








門塀、石垣は重要な景観要素となっている。主に使用されているのは珊瑚。海から運び上げたばかりの柔らかいサンゴ石を削って石垣に仕上げる。地上で年月が経つと硬化するとのこと、雨に含まれる炭酸と反応するのだろう。サンゴ石は今となっては贅沢な資材だ。


敷地内は、主屋を中心に、前の屋(納屋倉)、フール(石造の豚舎)、井戸など沖縄独特の民家配置を形成する。
建物は伝統的な木造平屋で琉球赤瓦葺き。主屋の表側は居住スペースで、裏側が食料等の収納スペースとなっている。
南と東に縁側があるため屋内と屋外が連続し、環境と一体化した生活スタイルが楽しめる。島特有のそよ風が肌に気持ち良く、珊瑚礁の浜辺に寄せる波の音や鳥の声、フクギの葉擦れの音が耳に心地良い。



魔除けのシーサーが屋根から見張る。それぞれの家のシーサーに個性がある。









門上のシーサー 




渡名喜里遺跡付近からの眺望。 村全体がフクギの防風林に覆われている。












東浜
ビーチフロントでのんびり過ごす旅人を数名見かけるだけの静かな浜辺。






レンタル電気自動車 
排ガスが無く騒音も少ない環境配慮型の交通機関であり、このような街並にふさわしい。色やデザインが街並に調和する工夫は必要だが。


街並は基本的にフクギの緑一色。それ故、数少ないハイビスカスやブーゲンビレアが街路にアクセントを添える。






ドラマに出てくる以上に人なつっこい子供たち。閉じられた小宇宙では知らない人に気をつけるような教育をする必要もないのだ。伝統的な「朝掃き会」があり、子供たちが街路の掃除をする。不便だけれど「安全な島」でのびのび育つことの幸せを感じる。








Feb. .2006 撮影:さちおさん



石造の豚舎 フール




北側の丘に立つ渡名喜里遺跡




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