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滋賀県近江八幡市 円満寺
Oumihachiman Enmanji

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Jan.2010 撮影/文:中山辰夫


近江八幡市多賀754

臨済宗

日牟禮八幡宮境内の稲荷道を東へ徒歩3分後。向かいは幸福稲荷神社である。

貞治6年(1367)永源寺の僧寂室が草創したとされる。
寂室は円応禅師で、永源寺を開山した。
願成就寺所蔵の大般若経奥書中に永徳元年(1381)3月円満寺にて書冩したと記されていることからも、古刹といえる。
以後、兵乱により衰亡したが、江戸時代になって中興された。
境内に石造地蔵菩薩を安置している。
この像より経筒がでて、中に古経三巻と歯三個が入っていた。
本尊十一面観音菩薩は明治42年(1909)国重要文化財に指定された。
この十一面観音菩薩は、井上靖「星と祭」にも記述がある。
当時、檀家数は6軒しかないとのこと。
現在は管理上拝観はできない。
その十一面観音菩薩像の和やかなお顔は訪れる人を慰めるといわれる。

当寺には木造千石舟模型や絵馬松前船額がある。
近江商人の松前貿易に活躍した遺品として当時の人々の雄飛が偲ばれる。
表門の二層も珍しい。
外観から受ける堂宇の彫刻が素晴らしい。
本堂、観音堂、金剛堂、庫裏、水屋が立ち並ぶ。

表門
一間三尺×一間二尺
安永9年(1780)の頃修築と増築を行った。

本堂
三間四方
宝暦7年(1757)の再建 

十一面観音菩薩

《星と祭》 井上 靖 角川文庫 昭和50年(1975)初版発行

・・・・・くるまは堅田へで、琵琶湖大橋を渡り、守山、野洲といった町を経て、近江八幡の村に入り町を抜け、再び田野の中に道を取る。・・・
やがて、くるまは八幡山という山に突き当たり、その山の裾を回って行くと、小さい集落がありその集落の入口に円満寺という寺はあった。門をくぐると正面に本堂があり、それに庫裏がくっついている。
門は小さいが二層である。
・・・・庫裏から本堂にはいる。本堂は外陣にあたるところには十六枚の畳が敷かれその奥の内陣は板の間になっていて、左右には八体ずつの羅漢像が置かれている。
正面には腰ぐらいの高さの須弥壇が設けられ、その上に小さい厨子が載っていて、その厨子の左右にはたくさんの小さい仏像が置かれている。
厨子は小さい仏像で取り巻かれている感じである。
外陣の、表からの入口は硝子戸になっていて、光線はそこからはいってくる。
正面の厨子の前に行って、その内部に収められてある十一面観音像の前に立つ。
「像高80cm、二尺七寸五分、昭和25年に重文の指定を受けております。一木彫りで、藤原時代の作だそうです。
夫人が説明してくれた。総体にまっ黒に古びてしまって、顔かたちもはっきりしなくなっている。
頭に戴いている十一個の仏面は小さく、頭飾りのかげに隠れて見えにくい。
「古い感じがよく出ていて、結構ですね」 架山は言った。
これまでに湖畔で拝んだ何体かの十一面観音像の中で、この小さい観音さまが一番古さを素直に身に付けているかも知れない。
言い方をかえれば、それだけ、この観音像が経てきた過去の歳月というものは容易ならぬものであるかも知れなかった。
・・・・ 架山はもう一度小さい十一面観音像に眼を当てた。
いかなる顔立ちであるかはっきりしていないが何とも言えず静かで、いい感じである。自分の過去にどれだけの時間が降り積んでいるか知らない。
何事が起ったのか、いかなる事があったか、いっさい知らない。自分はただこうしてひとりで立っていただけである。
−―――――小さい十一面観音像はそう言っているかのようである。
・・・・・・・

小説「星と祭」に記載されている琵琶湖周辺の十一面観音
01 高月町 渡岸寺の観音さん 国宝 向源寺の管理下
02 木の本町 石道の観音さん 石道寺(しゃくどうじ)
03 高月町唐川 唐川の観音さん 日吉神社境内 赤後寺(しゃくごじ)
04 高月町 充満寺の観音さま 薬師堂の中
05 木の本町大見 医王寺の十一面観音 明治時代に長浜の鋳物屋から
06 山門(やまかど) 善隆寺の十一面観音 集落の和蔵講で管理
07 梅津 弓光山宗正寺の観音 25年に一度
08 木の本町 鶏足寺の十一面観音 収蔵庫 (巳高山(こたかみやま)の寺院
09 近江八幡市多賀 円満寺の十一面観音
10 近江八幡市 長命寺の十一面観音
11 中主町 蓮長寺の十一面観音
12 大津市坂本 盛安寺の観音堂
13 守山市 福林寺の十一面観音 収蔵庫

国宝指定の十一面観音
01 奈良 室生寺の十一面観音
02 法華寺の十一面情報
03 聖林寺の十一面観音
04 滋賀 渡岸寺の十一面観音
05 京都府田辺市 観音寺の十一面観音
06 大阪府藤井寺市 道明寺の十一面観音

参考資料《近江蒲生郡志、近江八幡町史、星と祭》

 

 

幸福稲荷神社
近江八幡市多賀町

祭神:稲倉魂命

円満寺とは道を挟んで並んで建っている。
当社は往時三ケ村という多賀の東部、今の森の宮にあったといわれる。
徳川時代に信仰者の希望で里山興隆寺に迎え維新の際に現在の地に正遷し、明治41年(1908)社殿を新築した。

近江商人の中でも一番早くから活躍していた八幡商人達が商売繁盛を祈願した神社である。
内容は不詳であるが社殿の彫刻が素晴らしい。

社殿:桁行四尺五寸
拝殿:桁行九尺、梁行九尺、明治41年新築
鳥居:柱直一丈、高一丈二尺
中門:桁行七尺五寸、梁行七尺、明治41年新築

写真IMG_100〜103、104〜106、107〜110、111〜114、115〜117、118〜121、122〜

参考資料《近江蒲生郡志、近江八幡町史》





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