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静岡県焼津市 花沢 
Hanazawa,Yaizu city,Shizuoka

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山間にひっそりとある桃源郷
 Nature
 
 
 Water
 
 
 Flower
 
 
 Culture
 
 
 Facility
 
 Food
 

Mar.2012 瀧山幸伸 HD video

花沢の里 

万葉の古道にひっそりと佇む素朴な街並。

静岡と焼津を結ぶ日本坂。この付近の情景は、万葉集に「やきつべに我行きしかば駿河なる阿部の市道に逢いし児らはも」と詠まれている。
今では鉄道も道路もトンネルであっという間に通り過ぎるが、いにしえの東海道はこの地の急峻な山を越えていた。
平安時代、焼津の小川駅が廃止されたことに伴い、東海道はずっと北の山間を超える宇津ノ谷の蔦の細道へと移った。

忘れ去られた街道の峠道、その焼津側の麓の谷間に隠れるようにひっそりと佇む花沢の里。
鉄道の音も道路の音も全く聞こえず、せせらぎの水音と鳥の声が谷間を満たす。その小川には水車が勢いよく回り、傍らの三界萬霊石塔がかつての街道の名残を今に伝える。
谷筋の細い道と小川を挟んで、片側には均整のとれた石垣にせり出すように黒板張りのなつかしい民家が並ぶ。かつてミカン栽培で潤った時代の長屋門造りが多い。
花沢は周囲360度のパノラマが楽しめる万山峰へのハイキングコースともなっており、好天の日中はそれなりに人が往来するようだが、雨天や夕暮れ時には人影が見当たらない。
手作りケーキ、野菜、ミカンなどの無人販売の品が所在無げに留守番している。同じものが道の駅でも売られているそうだが、なぜか価値が違って見える。民家のカフェも存在を主張しない。
家並の反対側には急峻な山が迫るが、よく手入れされている。草花が家と石垣のモノトーンに映え、道路の勾配も絶妙で、全体の景観はこよなく美しい。
美しい生け花を撮影していたら、奥から主の奥山さんが出てこられた。
今の時期は椿の赤だが、もうすぐ咲くハクモクレンが灯火に浮かび上がる姿は幽玄そのものだという。
その後順々に桜、ヤマブキ、アジサイ、モミジなど、年中花の風情を楽しんでもらえるように頻繁に山の手入れを行っているそうだ。
時の経つのも忘れ長話に耽る。ここにはほっとする情景があり、立ち去りがたい郷愁が漂う土地だ。


A camera
                                     

B camera
                                  






June 2004 瀧山幸伸 Preview video 500Kbps HD(1280x720) Video FAQ

花沢の街並は焼津の山影にひっそりとたたずむ。素朴だが、どこにでもある農村風景とは少し生い立ちが違う。
ここを奈良時代の東海道古道が通り、日本坂を超えて静岡につながっていた。だが、今は宿場の面影は見られない。
明治から近年にかけてはミカン農村として生業を維持していた。そのため、今の建築は他所から泊まりがけで集まってきた農作業労働者に対応するためのものだそうだ。
谷筋の小川に沿った一本道。その道に沿って石垣と板塀の街並がゆるい傾斜と湾曲で連続する。
ここには派手な看板も幟もない。訪問日は雨。雨と小川の音が都会の喧騒を流し去る。
雨傘を持ち道行く少女。ゆっくりと歩く老婦人。
ダークグレイの道路、石垣、建物、周囲の緑、それらに色を添えるのは、アジサイであったり、赤い轍であったり、瓢箪であったりと、控え目な空気が古き良き日本人の精神構造を具現化しているようだ。
すっかり俗化してしまった大内宿には無いが、個人ハイカーに調和する街の安らぎが赤沢やここにはある。
団体観光の目的地としては小さすぎるからかもしれないが、近くには有名な団体旅行者向け魚市場もあり、将来への不安がよぎる。
団体の喧噪を持ち込まないでほしい、お店も増えないでほしい、人生の忘れ物を探しにやってくるところとして今のままであってほしいと願うのは私だけだろうか。

                           

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