Japan Geographic

看板考 柚原君子


「アカンで!」 

所在地:大阪府 道頓堀商店街

2014年の流行語大賞は日本エレキテル連合の「だめよ、だめだめ」に決まりました。「だめよ、だめだめ」は、ちょっとHポイおじさんが「おしゃべりワイフシリーズ 未亡人朱美ちゃん3号」に語りかける時の返答の言葉です。このコントは卑猥な所も少しありますから、子どもと一緒に見ている時の我が家は、TVのリモコンを持っていてボリュームをさっと絞ったりします(笑)。「だめよ、だめだめ」は日常的に意味深でなく、つい使ってしまって苦笑することもありますから、大賞に選ばれたのも納得できます。

この「だめよ、だめだめ」は関西弁で言うと「あかんよ あかんあかん」となるので、この看板でも「アカンで!」と呼びかけているのでしょうね。

「あかん」の語源はとなると、広辞苑では「埒(らち)明かぬ。の略」とあります。岐阜県や石川県などに見られる駄目を表す方言の「だちゃかん」などは、この流れの様な気がしますが、埒は囲い(馬場などの囲いも含む)のことで、さらに仕切りや句切りも表していますから、仕切りや句切りが出来ないこと、つまりけじめが無いことから「駄目」という所に持って行く論理でしょうが、何だか少しの無理があるような気がします。

他の国語辞典では「いけん・いかん」が「いかぬ」から「いかん・あかん」に変化した、という記載があります。「いかん・あかん」は愛媛県や福岡県、山口県の方言にも見られるそうで、関西の「あかん」はこの流れでは?と私もこちらに賛成です。

駄目押しとして、「いかぬ」が「あかん」に変化した説を肯定形から詮索すると、駄目の反対は良いで、良いということを「いける」とも言いますので、いける→いかん、の「いかん」が「あかん」に変化した方が自然と思えますが、どうでしょうか。

ともあれ、素人の勝手な考察はこの辺にします。

さてさて、看板は大阪の道頓堀商店街に堂々と垂れ下がっていました。アカンで!だけでも面白かったのですが、チャリンコが堂々と文字になっているのも面白く、さすが関西!と人の流れに押されながらも見上げてしまいました。自転車がチャリンコになった流れは解りませんが、自転車で行く、ということをチャリチャリで行く!と使うこともありますので、レンジをチーンして来て、という「音」からくるチャリにかわいらしく子を付けたのではなかろうかと推察できます。

道頓堀商店街の看板に書かれてある様に、商店街の人混みが多い中は、自転車を降りて押して歩くのは常識の範囲だと思いますが、看板があるにもかかわらず、けっこう強引グマイウェイーの方々がいらっしゃいましたよ(笑)。

道路交通法によると自転車は車両ですが、全国の行政上であいまいな扱いを永年に渡って受けている上に免許制でもないので、乗り手を一律に教育する機会もなく、車道、歩道のどちらを走っても白い目で見られる状態になっています。道路交通法に沿って実際に車道を走ってみたことがありますが、トラックなどに寄ってこられたり、違法駐車をよけて道路の真ん中に出なければならなかったり、また排ガスを直接受けて命がけで走らなければならなかったりするのが現状です。ましてママチャリで幼児を乗せて車道を行くとなると一家全滅も覚悟の上という意識がいります。

チャリチャリとかチリチリとか鳴らせるベルを標準搭載している我自転車ですが、歩道を歩く人の迷惑にならないように、決して「そこどけ!そこどけ!」のベルだけは鳴らしたらアカンと肝に銘じて乗っています。運転免許書はゴールド。自転車は模範運転!最近威張ることが少なくなったので、ここは威張っておきます!

 


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