持続可能都市(サステイナブルシティ)に関する研究

計画完成までのアクションプログラム

瀧山幸伸

Ver Dec.2010 

初稿 June 21 2010 

■ 「サステイナブルシティ」実証プロジェクトの考え方 〜実現しなければ絵に描いた餅

(1) 実証プロジェクトの必要性

A 商品としてのサステイナブルシティの実地検証と宣伝

J-town2010は最も価格性能比の高い都市システムとして輸出できるプラントモデルであり、プラントの生産、施工、運営においてPDCAサイクルの継続的改良が行われる必要(グローバルな物理資源と知的資源を結集する必要)がある。

B イノベーションの具体的行動

「サステイナブルシティ」の理念に賛同し、積極的な行動を起こすイノベータ型の人の受け皿が必要である。自ら行動を起こさない「サイレントマジョリティ」の現実があり、「ゆでガエル」のアナロジーのとおり、多くの人や組織にとって行動変容は難しい。成功例による実証、行動変容へのインセンティブが必要である。

C マーケット規模の検証と次へのステップアップ

このような町を指向する知財産業関連の人々は、人口比率でいえば全人口の1〜2%が対象となるであろう。日本では40万世帯、100万から200万人、町の数にして200から400か所、全国に散在する学術研究拠点に匹敵する規模が対象となるが、世界規模でいえばBOP(Bottom Of the Pyramid)国を含め無限のポテンシャルがあり、このような人々がこれからの世界を変えることに希望を託すことができる。日本においては、10年以内に実証事業として全国10か所程度が創造されることが目標となり、その後20年程度で200か所程度、数十年から百年単位で既存の大都市の創造/改造を目指すこととなろう。同時に、世界規模で新都市の開発と既存都市の改造に適用できるビッグビジネスモデルとなることを次へのステップアップの視野に入れる必要がある。

(2) 実証プロジェクトの候補地と手順 Where and When

A 国内での実証プロジェクト

J-town2010は、現在の都市を改変するのではなく、理想モデルを示すことであるから、モデルの実現は単純なほうが好ましい。5000人の町規模で、町の区域は100Km2(10Km四方)、中心市街地(DID)は1Km2、1500世帯程度の新しい町を創造することの実現性が可能でなくてはならない。その観点から、以下の場所案が考えられる。

・地方の高等教育機関、研究機関の周辺 

知財産業の視点から、地方の高等教育機関、研究機関の周辺は有力候補である。各都道府県毎に数か所の候補地があるが、このような人々は純粋に学術指向が多く、自主独立型の知財産業創出が課題である。

・過疎地、荒廃地、廃鉱山、廃工業団地、災害復興など特別に資本注入が求められている地域

社会的にも経済的にもコミュニティ崩壊が迫っている地域。産業構造の変化に対応できなかったが、知財産業の人材が残っている町。

・環境と資源に優れている地域

日本の典型的農林型町村。 例えば山形県金山町は、イザベラバードが愛した林業の町で、人口6500人、1800世帯、鉄道も無いが人々の心は豊かである。(資料)

・ニューフロンティア 

例えば北海道は開拓地なので、新しい町を創造するというモデルはわかりやすい。洞爺湖サミットを行った北海道伊達市などは本土からの移住を促進している。(資料) あるいは、戦後の食糧難で入植した開拓地など。 現在は農業も牧畜も厳しい状況だが、このような土地は荒野ではあるが広大で、水と森に恵まれている。

・太平洋岸、日本海岸の遊休地、過去の開拓地 

那須野が原(国の試験農場)、安積疎水・牧ノ原周辺(明治の開拓地)、旧軍用地、リゾート地、地方の超大規模商業施設の候補地など、既存集落がなく、まとまった土地は候補である。地方の超大規模商業施設の候補地では、商業単体ではなく、サステイナブルシティの開発が検討されるべきである。

B 海外のBOP国あるいは発展途上国での実証プロジェクト

発展途上国のGDPが上がり、先進国並みのライフスタイルを追及したら、地球は支えきれない。そうならないためにも、新しい価値観に基づいたライフスタイルを目指すサステイナブルシティは地球規模で普及させなければならない。

実証プロジェクトは、地球上の最も過酷な条件の場で実証されることが重要だ。例えばサハラ砂漠のオアシスや中国西域などであろう。

C 長期戦略 既存大都市での応用などの都市改造

実証プロジェクトに比べはるかに時間はかかるだろうが、数万人規模の都市モデル、百万人以上の大都市モデルとして、モデルユニットのクラスター複合応用も実証研究する必要があるし、既存都市の改造プランもこの理念に基づいて作成実践される必要がある。建物もインフラも百年以内に朽ちる。22世紀には日本の全て、世界のほとんどがサステイナブルシティのJ-town2010に置き換わっていることを目標に据えてマイルストーンを設置して行きたい。

・都市のデモグラフィック的安定は22世紀、2100年(今生まれてくる子供たちが死ぬころ)を目指す。

・まず10か所程度、パイロットモデルとして推進(日本発の持続型都市モデルとして)、その後都市インフラの寿命に応じ恒常的に都市の新陳代謝を行う。

・まず既存自治体の一角で中心市街地部分(2Km四方程度)を開発し、住民が入居した時点で新自治体として分離独立する。自治体として独立することが最も重要である。徐々に周囲の耕作放棄地・荒廃山林等を新自治体が取得し、自律的な運営(大規模農場等)ができる程度に行政区域を広げる。

D フィジビリティスタディ

J-town2010の費用対効果が検証されることが重要である。具体的には、 

・ライフサイクルコストの検証

・計画案のアセスメントと完成後のモニタリング手法検討 社会的指標(労働生産性、コミュニケーション密度、幸福度、文化度など)も含めたアセスメントとモニタリング

・モデル候補地周辺の従来型都市との比較検証

・社会からのフィードバック 形式的な公聴会や委員会ではなく、モデル案を幅広く社会に問い検証してもらうことが重要だ。

E イニシアチブタスクフォース

 

・全総と同等の国策化 政財界などから理念賛同者を募り具体的検証を行う。

・産学官民連携部分などは1案件複数参加者を募り、競争とイノベーションを促す。 

・協賛企業等募集 カレッジ、ライブラリ、ミュージアム部分など。例として立命館大学の別府APUなどが挙げられる。

町のアイデンティティ 国策として推進するためにも国際的なアイデンティティが必要

プレマーケティング

・開発運営収支の確度が高まってから事業開始 

・入居希望者を集めてから1年程度で開発竣工、町開き

 例:ハワードの田園都市レッチワース

補足 

日本国内でのパイロットプロジェクト問題 〜目の前の障害をどう克服するか

既存勢力の妨害や国の諸規制等などにより、特区や特別立法などを利用してもうまく推進できない場合をボトムラインとして考慮しておかなければならない。J-town2010は理念先行型の都市計画なので、当然ながら既存権力組織や社会で利権を得ていた人々との軋轢が生じる。その対策手段として、以下のような日本人にとっては一見過激だが国際的歴史的には十分ありえる「非常手段」をとることも考えられる。

・国連関連プロジェクトとする。UNDP、UNEP等の傘下に入りその特別プロジェクトとなれば、治外法権を活用して国内法規制のバリアがクリアできる。青山の国連大学敷地内が治外法権であることと同様である。 

・パラオ国のような新日国、あるいはナウル国等の水没や資源枯渇が懸念される小国の在外施設となる。そうなれば同じく治外法権である。

・J-town2010として新設された町が小国として独立する。独立することは国際慣習上可能である。そうすれば理念に沿った法整備と運営を行える。理念に賛同する複数のJ-town2010型新自治体が飛び地的にその新独立国に参加し、将来的には「新日本国」が日本全土を統一することが理想である。ただし、既存勢力が間違いなく迫害するであろうから、アメリカの南北戦争や東西ベルリン、世界各地の内紛のような悲劇に陥らない方策が必要である。日本においてもかつてそのような町は自治を行っていたあった。高野山は中央権力から離れており防衛の自然条件に恵まれていたため今でも独立した町として自治が継続している。あるいは、今井も自治都市としての歴史がある。詳しくは事例検証のページを参照してほしい。

参考資料

・金山町 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E5%B1%B1%E7%94%BA_(%E5%B1%B1%E5%BD%A2%E7%9C%8C)

・ 『日本奥地紀行』 イザベラ・バード 平凡社

・北海道伊達市 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E9%81%94%E5%B8%82_(%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93)

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