JAPAN GEOGRAPHIC

Mar.2004 瀧山幸伸

東京都台東区 上野谷中界隈

  田端から西日暮里へ

Mar 2004 散策  source movie

Apr. 2004 散策  source movie

田端駅上の喫茶店 モッコウバラ
 

向稜稲荷坂
 

ひぐらし坂
  
 

西日暮里付近

道灌山公園
  
  
 

第一日暮里小学校入口の坂
 

諏訪神社
  
  
 

浄光寺 江戸六地蔵 
 桧枝岐の六地蔵には間引きの悲話があるせいか悲しいが、江戸六地蔵は明るい。
  
  
 

富士見坂下の小道に沿ってさんさき坂へ

富士見坂
 この坂は無機質なアスファルト舗装ではなく石畳だ。せっかく石畳にするのであれば伝統的な材質や張り方なども検討してもらいたかった。石畳は数百年続くだろうから、長年続いた伝統的な方式は無視できない。近隣住民の意見なども取り入れればさらに良かろう。住民も長期的視点で石畳に合った建築や植栽を考えるであろう。
  
  

南泉寺 禅宗の静かな寺院。本堂の意匠が美しい。
  
  
  

南泉寺向かいのアトリエ 
 建物の外壁は濃鼠で、周辺環境に合っている。内部は前衛的なアトリエ・ギャラリーだが、展示物は自然を活かしたものである。モバイルが風に揺らぐ姿が心地好い。これも「和風」の要素であろう。そもそも和風を生み出す風土とは何であろうか。和辻哲郎は、風土とは、単に気候や土地の豊かさ貧しさのことのみを指すのではなく、そうした環境の中で生まれ育った人間に染みついた民俗性のようなものを含めると言っている。他の多くの哲学者や宗教家が言っているように、自然を征服する西洋文化と異なり、自然との一体感が日本文化の原点であろう。清少納言の四季観や花鳥風月のみならず、風にそよぐ風鈴の姿と音など、五感に訴える要素を忘れてはならないだろう。現代のテレビ映画などのマスメディア文明はコマーシャリズム優先であるから、このような一見退屈な自然観のほとんどを否定しているように思う。NHKの自然番組でさえ不必要なナレーションやBGMや演出映像が入ってしまう。見る側は人工物の中毒になってしまう。それは衣食住全てに言えることだが。
 

谷中の路地 好き嫌いはその人の生まれ育った環境で異なるであろうが、静かな小宇宙だ。
  
  

やなか銀座とゆうやけだんだん
  
 

道沿いの寺と花
  
  
  
 

岡倉天心旧居跡
  
 

よみせ通りの旅館
 外壁の素材と色、玄関周りの意匠がモダンな和風であり、清楚な印象を与える。外人の宿泊が多いのもうなづける。なぜ外国の貴賓が旅館に泊まったり居酒屋に行ったりしたいのか、「和風」は気配りのサービスも「ミステリアス」であり、それが外人には付加価値だと認識される。
 

中華天外天
 

千駄木の街並

 千駄木には美しい和風住宅が多いが、ほとんどが高い塀で覆われている。生垣に変われば見違えるような美しい街になるだろう。景観だけではなく、生垣は見直されるべきであろう。昨今、防犯には高い塀は役立たない。生垣は通気性も良いし、震災で倒壊する危険も無い。常緑樹の生垣は意外と延焼を防止する効果も高い。メンテナンスのコストはかかるが、一戸建ての庭の一部であるから庭の手入れの延長だ。生垣の主張はそこの住人のアイデンティティとして重要な要素だと思う。通り沿いの生垣のシーケンスはなおすばらしい。知覧や出水、飫肥は生垣を非常に大切にしている。須藤公園 元の屋敷跡。山水式庭園様式である。崖線に沿っているので若干の湧水が見られる。この崖沿いの湧水は、北区の名主の滝まで点々と存在するが、枯渇の危機に直面している。
  
 

須藤公園上付近の和風建築
  

旧安田邸付近の和風建築 
  

高村光雲・豊周 遺宅
 風にそよぐ竹がすばらしい。塀が変わればさらにすばらしくなるであろう。
  

千駄木の路地 
 千駄木の道は細い。どこに抜けられるかわからないような細路が縦横に走っている。通過交通がほとんど無いので静かで楽しい散策が可能だ。車の騒音は苛立たしく、恐怖心も与える。都会ではほとんどの人が静かな夜を忘れ去ってしまったのではないだろうか。車世代に生まれ育った人は最初からそのようなものを知らないだろう。葉擦れの音や虫の声が聞こえる静かな夜、鳥の声で目覚める快適な朝を知らずに、車の騒音を無意識に避けるためにテレビやゲームのボリュームを上げて育っているのだろう。都心部で環境測定をしてみればわかる。都会の騒音は、車やエアコンの室外機などでかなりのデシベルとなる。田舎の音もかなりのデシベルかもしれないが、その質は全く異なる。
   All rights reserved 無断転用禁止 登録ユーザ募集中