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山形県米沢市 上杉家廟所

Uesugi graveyard Yonezawa city,Yamagata

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June 23,2015 柚原君子

上杉家廟所(米沢藩主上杉家墓所)

所在地:山形県米沢市御廟1丁目5-32

御廟所は樹齢400年を越す老杉に囲まれた森閑とした中にあります。家紋入りの幕がかけられた鳥居が正面に見えています。家紋は竹と雀。片方の雀は口をあけて、もう片方の雀の口は閉じられて、阿吽の形がとられている珍しいものです。

通称上杉家廟所の正式名は「米沢藩主上杉家墓所」。米沢市民からは御霊屋(おたまや)とも呼ばれています。拝観料は300円。説明をしてくださる方がいらっしゃいます。

初代米沢藩主となった上杉景勝【1555(弘治元)年〜1623(元和9)年】が死去すると当地が御廟所に定められます。以後、12代上杉斉定公までの歴代当主が埋葬されることになります。左右交互に一つ一つの社を構えての墓所となっています。廟屋は、上杉景勝公から8代藩主までが入母屋造り(日本では、古来より最も格式の高い形式として重んじられているもの)、9代藩主から11代藩主までが宝形造り(屋根の各面が頂点の一点に集まって、その頂に宝珠が乗せられたもの)と時代により建て方に変化があります。

また、まっすぐに見える参道ですが、御廟所入り口に対しては少しずれています。初代米沢藩主上杉景勝の御廟所を造ったのがそもそもの始まりですので、家紋の下がる鳥居からまっすぐの箇所には、上杉景勝公のお墓が有ります。

ウィキペディアの資料には、『戦国武将の中でも聖将として名高い上杉謙信は、その死後も上杉家の精神的支えとして大切に祀られてきた。 遺骸は甲冑を身に纏った姿で甕に納められ、甕には漆を流し込んで固めてあるという。上杉景勝が越後から会津に移動の際も春日山城不識庵より謙信の霊柩を移動させ、その周囲にある一片の土も運ばせたと伝えられる。さらに越後より会津そして米沢に至る上杉家の領国代えの時も謙信の霊柩は選ばれた僧侶その他の者により厳重に守られ運ばれた。米沢入りを果たしてからは、米沢城の本丸の高台に御堂(霊廟)を建立して、中央に謙信霊柩その左右に善光寺如来像と泥足毘沙門天像を共に安置した』とあります。

領国替えの折々大切に運ばれてきた遺骸は米沢城に長くありましたが、米沢城解体にともなって1876(明治9)年、この上杉家廟所に移されました。現在、正面(の様に見える)にあるのが上杉謙信公の墓所です。

石段、木柵、簡素な門、屋根の形以外は文様の似通った歴代の祠堂が並ぶ様は、質素であるがゆえに神聖な雰囲気があり、質実に藩政を行ってこられた藩主たちの気概が現されているようで見ごたえがありました。灯籠の並びも美しく、どこから見ても見事な配置でした。廟所の前には小さな小川も流れていて、おたまじゃくしがいました。耳を澄ますと、蛙の鳴き声もします。荘厳な静寂の中の御廟所でした。

近世の大名墓所の代表例として昭和59年に国の重要な史跡(※1)指定を受けています(平成6年から平成20年にかけて保存修理済)。

ちなみに上杉家は米沢上杉家のほかに山内上杉家・深谷上杉家・新田上杉家と4家がそれぞれ今日に至って存続しています。米沢上杉家は現在17代目で、東京大学工学部航空学科宇宙コース卒業後、文部省宇宙科学研究所教授を経て、宇宙航空研究開発機構の発足に伴い、同機構宇宙科学研究本部教授となられて、ハレー探査機「さきがけ」・月衛星「ひてん」の打ち上げを担当、惑星探査機「はやぶさ」プロジェクトチームの一員に携わられるなど、輝かしい功績を残されています(2006年:定年退官)。

現在の17代目のご活躍をiPhoneで確かめながら、深い森の中で静かに眠られている米沢藩藩主の御霊屋を後にしました。冬になると深い雪の中になるそうです。その頃にまた来てみたいと思いました。

※1

史跡(しせき、非常用漢字:史蹟)とは貝塚、集落跡、城跡、古墳などの遺跡のうち歴史・学術上価値の高いものを指し、国や自治体によって指定される。この語は一般には遺跡全般と同義で現在においてもその意味で使用される場合も多いが、日本においては1919年の史蹟名勝天然紀念物保存法以降、特に法律で指定保護されている遺跡を指すようになり、現在では狭義の「史跡」は文化財の種別の一つとして文化財保護法第109条第1項に規定されている。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア』

                                                                      


Aug.9,2014 瀧山幸伸 source movie

                                    

B camera

                                                            

         


Oct.2005 瀧山幸伸 source movie

            

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