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山口県萩市 萩の街並
Hagi downtown,Hagi city,Yamaguchi

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 General
 
保存された歴史の魅力と維新の志士たちの夢が伝わる魅力
 Nature
 
山、川、海の自然環境
 Water   藍場川などの水路 
 Flower
 
街中の夏みかん畑 
 Culture
 
城下町の文化財
 Facility
観光者向け休憩、情報施設が貧弱
 Food
 


April 16, 2015 田中康平

萩城城下町

山口県萩市呉服町・南古萩町 国指定史跡 
指定年月日:1967.01.10(昭和42.01.10) 世界遺産申請中「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」構成資産 江戸時代から残る旧邸も多く、萩城城下町の雰囲気がよく残されている。 道路道幅も当時のままであり今ではクルマの通行、駐車には不適。 国指定文化財等データベース解説文:: 萩城三ノ丸中総門の東外を、東西に通ずる中心路である呉服町の通り(通称御成道)と、その南を東西に走る慶安橋筋の2本の東西路に直交する菊屋横丁・伊勢屋横丁・江戸屋横丁に囲まれた区域(外側を含む)は、萩藩御用達の旧家、幕末に活躍した武家住宅等の面影が残り、その配置状況は、よく城下町の特色ある景観を偲ばせるものとして、昭和42年1月10日史跡に指定した。 昭和53年11月、追加指定する所は、16筆、6441.98平方メートルであり、幕末の蘭医として著名な青木周弼(1803あるいは181301863)の旧宅が含まれている。



 

萩博物館
    

菊屋住宅

高杉晋作生家
          

周辺街並
           



Dec.2010 川村由幸


訪問日:2010.12.09

山ほどの歴史と文化財を抱え込んでいる萩。
でも萩の町は死んでいます。
歴史ある文化財がただそこにあるだけ、もう少し活用するすべはないのでしょうか。
シーンとした昔ながらの町並みを散策することも十分気持ち好いものですが町としての活気が欲しいように感じました。

                               




May 2010 瀧山幸伸 HD video

各地区、施設別に解説しています

  


Dec.2003 瀧山幸伸 

ビデオその1 Preview video 500Kbps High Vision

Dec.2003 ビデオその2 Preview video 500Kbps High Vision


萩の町全体の特徴 
Hagi townscape

 

北前船で栄えた城下町

橋本川と松本川に挟まれた三角州に形成された萩、かつて萩城付近は島であった。毛利氏の城下町であると同時に、北前船の廻船業と漁業で栄えた港町としての性格も併せ持っている。
幕末から明治維新にかけての長州の活躍は、藩が直接支配する北前船交易の莫大な資金が背景にあった。
萩の街並は各地域により特色がある。上級武家の街並である堀内地区、城下の防衛も兼ねた平安子(ひやこ)地区、郊外の藍場川地区、堀内地区から町人街へと続く呉服町地区、松下村塾付近、そして港町の浜崎地区に大別され、地区によって性格は大きく異なる。

 

城下町の街並
Jokamachi

堀内地区
Horiuchi

堀内地区は萩城に近い上級武士の街並である。国の重要伝統的建造物群保存地区に指定され、武家屋敷特有の長屋門、土塀や石垣塀などが修復整備されている。街路は碁盤の目状に走り、街路幅も屋敷割もかなり広い。長屋門が当時の面影を伝えているが、残された住居は福原家、口羽家程度であり、明治以降の屋敷内の土地利用はほとんど夏みかん畑に変貌した。

 

萩城の外堀
Hagi castle
    

旧祖式家長屋
Soshikike nagaya
  
 

  

旧二宮家長屋門
Ninomiyake nagayamon

  

口羽家住宅 主屋と表門が揃って現存する
Kuchibake

     

旧児玉家長屋
Kodamake Nagaya
      
 

旧周布家長屋門 
Suuke Nagayamon
江戸中期の代表的な武家屋敷長屋の様式
    

旧繁沢家長屋門
Hanzawake nagayamon
   

旧益田家物見矢倉 
Masudake monomiyagura

増田家は萩藩家老 矢倉は見張りに使われたと言われている
  

旧厚狭毛利家萩屋敷長屋
Asa Mourike Hagi yashiki nagaya
  


萩城跡
Hagi castle
   


堀内地区の評価 
Asessment
 この地区は典型的な城下町の上級武家地の特徴を備えており、よく整備されている。周辺の自然環境に恵まれ道路幅も広いため、地区全体が落ち着いた印象を与える。
 汽水の川の水質は日本中どこへ行っても一般的に良くないが、この地域では比較的良好に保たれている。水の清冽さはその街の人々の環境に対する価値観を知る良い尺度である。
 随所に見られる夏みかん畑は、明治以後武家の窮状を救うために産業として発達したものであるが、柑橘類の花は香りが良く、アロマテラピーにも利用されるようにヒーリングの効果があり、果実は色が美しく長持ちするなど、町に潤いを与えている。古くはギリシアで隆盛し地中海沿岸に広く見られるオーチャード(果樹園)付き住宅の造園様式を連想させる。カリフォルニアやフロリダでは至る所にオレンジが見られ、美しい景観を醸し出している。
 東京でも夏みかんは問題なく丈夫に育つ。都市型の地域開発において、街路や広場が夏みかんなどの果樹で埋め尽くされた街では、美しさだけでなく幸福感を感じるのはなぜだろうか。飯田のりんご街路樹、諏訪のかりん街路樹、そして外国のぶどう棚街路など、見てほっとするだけではなく、果樹が発散するポリフェノールなどの効果があるのかもしれない。
 地方の街に調査に出かけ、木や竹の葉が風に擦れる音、水音や鳥のさえずりに癒されることは多い。地方では都会のようにハシブトガラスの鳴き声に悩まされることは少ない。逆説的だが、通過交通が比較的少ないので、かえって車やバイクの騒音が耳につき収録に悩まされることが多い。この地区は町の周辺部で通過交通が少なく、比較的静かである。

詳細アセスメント表 萩 堀内地区 総合得点 17点 

自然地理的(自然科学的)要素
+1萩城の展望、 +1周囲の山の展望、 +2汽水の川と水質、 +2汽水の川と水辺の景観、 +1水鳥、 +1 城山の植生

人文地理的(人文科学的)要素
-1電柱、-1道路舗装、-1 広告看板、+1幅広の道路、+1塀の連続景観、+2長屋門などの歴史的建築物、+2夏みかん畑、+2城跡、+1萩焼の店舗、+1文化財案内看板、+1規模(1km四方程度の広い範囲)

景観シミュレーション

 電柱を撤去すると景観がどのように変わるか、電柱が露出していない地点の美しさを見ればその差は歴然としているが、念のため同じ地点でのシミュレーションを行なった。明確にわかるが、景観の魅力がかなり高まる。地区の長い歴史において電柱が出現したのはここ100年であろう。今後の100年を考え、遅かれ早かれ地下埋設するのであれば、このように景観が重視される地域においては早期に地下埋設することを検討して欲しい。
 試みに、道路の材質も本来の材質に近いものに変更してみた。萩の山の土壌は赤みを帯びた花崗岩風化土であるから、当時はこれを利用したのではなかろうか。無機質な灰色アスファルトとは異なる美しさがあったはずであり、四季、天候、朝昼夕毎に情景の変化が見られ、道路と土塀と建物とが良く調和していたのではなかろうか。
 本来のシミュレーションは、写真景観だけのシミュレーションではなく、このような情景の変化を全て追わなければならないだろうし、音や匂い、車や歩行者のシミュレーションまで行わなければならないが、それを実施するのは難しい。

代表地点の現況
 

景観評価シミュレーション(電柱の撤去)
 

景観評価シミュレーション(電柱の撤去及び舗装に地域特有の花崗岩風化土を利用した場合)
 

平安子(ひやこ)地区
Hiyako

 平安子地区は橋本川沿いの城下周辺部に位置する中級武家地であった。坪井九右衛門旧宅を中心に重要伝統的建造物群保存地区に指定され、武家地景観が保全されている。規模は小さい。

           

平安子地区の評価
Asessment
 鈎曲がりの道路と高い土塀、石垣塀で敵の侵入を防ぐ目的を備えた城砦的な街並である。松の古木が川沿いに並び、屋敷内の松が塀越しに張り出し、土塀の質感色合いとも調和し、さらに借景の山と川を反映して、美しい景観を醸し出している。
 高い塀は大人が歩いていてもかなりの仰角でスカイラインを遮り、平和な今となっては圧迫感、閉鎖感があるが、それが当時の姿のままであれば保存する価値がある。 同じ城下町でも、鹿児島の知覧、出水などの生垣の街並と比べてこれほどの差を生じさせたのは興味深い。薩摩と長州とでは当時の戦略的軍事的背景が異なるのでやむをえないが、このことから現代の街づくりのヒントが得られる。
 現代の都市では、塀や外壁などによる街路と敷地の分離についてはさらに圧迫感や閉鎖性があるのでこの比ではない。パブリックへの開放感を保全しつつプライバシーを確保する方策を検討すべきだ。アメリカなどの郊外住宅には塀は無い。銃で防衛する国民性であるにもかかわらず。

詳細アセスメント表 萩 平安子地区 総合得点 5点 

自然地理的(自然科学的)要素
+1周囲の山の展望、+1川、水質

人文地理的(人文科学的)要素
-1電柱、-1道路舗装、+1鈎曲がりの道路意匠、+2塀の連続景観、土塀の材質、色合い、 -1塀の高さ、圧迫感、スカイラインの分断、+1歴史的建造物、+2河岸と屋敷内の松、+1通過交通が無く静か

景観シミュレーション

景観の評価と対策について、一般論を述べてみたい。 これからの都市開発において非常に重要な分野だと考える。
・ スカイライン(空と陸の仕切り線、いわゆる山並み、街並)を硬質なエッジで遮らないような緩和策(ミティゲーション)の工夫。良い借景が得られない都市においては、人工物の鋭角なエッジが心理的な違和感や緊張感を与える。植栽による修景が最も一般的である。
・ 仰角を下げ圧迫感を抑える工夫。子供や車椅子(約1m)のアイポイントからスカイラインまでの仰角が高いと心理的な圧迫感を与える。仰角の低い手前位置に見切り線や注目点を設ける。視点がそこへ向けられ、遠方が気にならなくなる。
・ 歩きながらの連続景観(シーケンス)の変化で楽しさを演出する工夫。有名な坂道、緑道、街並の美しさは、景観としては同じモチーフでもそれが微妙に変化する、シーケンスの流れやゆらぎなどの心理的快適さが工夫されている。音楽のテーマとバリエーションと同様の考え方である。

 景観は国民の文化レベルを象徴し、非常に重要である。防犯やプライバシーや管理の容易さを理由に切り捨てられることではないと考える。これらの景観要素が考慮されていない街づくりがほとんどであるのはなぜだろうか。単にシミュレーションスキルやその予算がないからであろうか。文明開化以後のあわただしい時代風潮に日本独特の景観意識やイマジネーションが文化として忘れ去られているからでは無かろうか。和風の家に住むことを忘れたからではないだろうか。池泉回遊式庭園や山水式庭園と共に暮らすことができないので、このようになってしまったのであろうか。そうであれば、住職や神主に都市のマスタープランを依頼すべきかもしれない。きっと数千年栄える町ができることだろう。

代表地点の現況
 

景観評価シミュレーション(塀の高さを切り詰めた場合)
 

 

呉服町地区
Gofukumachi

 堀内地区を外れ、悲しいほど水質が汚れた水路を渡ると呉服町となり、この付近から東が城下の商人町である。菊屋家の正面の大通りは当時御成道であり、菊屋横丁、伊勢屋横丁、江戸屋横丁の3本の小路に交差している。地区でひときわ目立つ菊屋家住宅はかつての豪商であり、国の重要文化財となっている。菊屋横丁には高杉晋作旧居、江戸屋横丁には木戸孝允、青木周弼の旧居が保存されている。

菊屋横丁
Kikuya yokocho
    

伊勢屋横丁
Iseya yokocho
     

菊屋家住宅と長屋門付近
Kikuyake
      
      
 

江戸屋横丁と木戸孝允旧居
Edoya yokocho and Kido Takayoshi kyukyo

      
      
      
  

総合評価
Asessment

 地区の白壁と木造建築とのコントラストが見事な街並を形成している。木戸孝允旧居から坂下に続く景観のシーケンスは、一歩進む毎に微妙に変化し絶妙である。
菊屋家住宅の壮大さは格別であり、大きいだけではなく細部の意匠が美しい。両住宅とも当時の建築図面を公開しているので参考になる。菊屋家住宅の周辺にある電柱と電柱巻看板、菊屋家の入口看板が景観を損ねているのが残念だ。漆喰の白壁は朝晩と日中と夜間照明とで印象が大きく異なる。

詳細アセスメント表 呉服町地区 総合得点 11点 

自然地理的(自然科学的)要素 なし

人文地理的(人文科学的)要素
-1電柱、-1道路舗装、-1広告看板、+2路地の建築、塀、植栽の調和、+2路地の連続景観、+2歴史的建築物、+2武家屋敷(桂小五郎、高杉晋作など)の保存公開、+2商家(菊屋家)の保存公開、+4人物(桂小五郎、高杉晋作、青木周弼など)

シミュレーション

代表地点の現況

 

景観評価シミュレーション(電柱と看板と工事シートの撤去)

 

藍場川地区
Aibagawa

 藍場川はもともと灌漑用に開削され、その後一時は藍染で濁ったこともあったが、現在は鯉や小魚が棲む清冽な小川である。 藍場川 の最上流、橋本川と松本川の分岐付近には城下町郊外の雰囲気が良く残っており、地域住民の環境意識(自然を大切にする気持ち)と非商業主義が高得点につながった。 かつての舟運にあわせて湾曲した石橋が架けられており、その景観が美しい。

      
    

藍場川地区の評価
Asessment
 「水と緑」は日本の都市再生のキーワードではないだろうか。手間がかかると敬遠されてきたが、水と在来種の緑があれば四季も感じられるし野鳥も訪れる。自然に触れ合いながら暮らすための必須環境であると考える。
 今後さらに終点の平安子まで整備されれば、点に分断された萩市内の美しい街並が環状の線でつながり、周遊コースとして国内でも秀逸な散策路となるであろう。もちろん通過交通は極力排除してほしい。

詳細アセスメント表 対象案件 藍場川地区 総合得点 17点 

自然地理的(自然科学的)要素
+1周囲の山の展望、+1 大川の展望、+2水路の水質、+1 鯉、+1在来魚

人文地理的(人文科学的)要素
+1石橋、+1塀、+1石垣護岸、+1竹で覆った配管、-1 道路舗装、-1電柱、+2散策路としてのシーケンス(蛇行)、+2 生垣、+1水路内の植栽鉢、+1水の音、+1桂太郎旧居、+1ウォーキングに最適

地域の人と社会活動(社会科学的)要素
+1川が終点の平安子まで続くので、全体が整備されればなお良い


松下村塾付近
Shokasonjuku

松下村塾と松陰幽囚の旧宅

            
   

伊藤博文生誕の家
Iot Hirohumi home

   

松下村塾付近の評価 
Asessment

松陰神社境内及び隣接の伊藤博文旧居付近は裏山が近く自然が豊富で非常に静かな環境である。この地域は 松陰の意志を学び取る文化的価値が大きい。その分野の評価は個人の人生観により大きく異なるであろう。

詳細アセスメント表 対象案件 松下村塾付近 総合得点 13点 

自然地理的(自然科学的)要素
+1周囲の山の展望、+2 境内林

人文地理的(人文科学的)要素
+1境内周辺の生垣、+1境内の水質、+1交通規制、+3松下村塾、+2松陰旧居、+2伊藤博文旧居


港町の街並

浜崎地区
Hamasaki

この地区は城下町形成以前から存在していた港町である。江戸時代の西回り航路の重要寄港地として大いに賑わった。

      

 

浜崎地区の評価
Asessment

この地区の民家は切妻瓦葺、平入りである。虫籠窓を用いた典型的な商家建築である。屋根の鬼瓦、2階部分の塗籠壁や窓などに当時の繁栄の面影が偲ばれる。現在では港町の交易の活気は無く、静かな環境である。

詳細アセスメント表 対象案件 浜崎地区 総合得点 3点 

自然地理的(自然科学的)要素
+1海岸、河口への近接

人文地理的(人文科学的)要素
-1道路舗装、+1魚市場、+2港の商人町屋の街並

まとめ

【個性ある人物の魅力】 
歴史書やテレビに登場し、以前は津和野とともに若い女性の旅行目的地として大ブームを巻き起こした萩。この街の魅力は、良く保存された街並と人物ゆかりの施設、そこに生まれ育った多くの志士たちの個性ある熱い思いが脈々と亡霊のごとく訪問者をひきつけている、まさに「個人の魅惑の力」のゆえではないだろうか。地域の人々も伝統の価値を認識し、誇りを持っている。木戸孝允の旧居や吉田松陰の松下村塾を訪ねると、彼らが隣から話しかけてくるような臨場感があるのは、当時に近い状態で各地域の環境が保存されているからであろうか。静的な街並の印象だが、さらに多くの施設が公開され動態保存されたり道標などに配慮すれば、歴史の街を訪問する臨場感が増すだろう。

【地区を結ぶ周遊の工夫を】
川越と同様、各地区は一定距離を置いてばらばらに存在しているが、実は隣接しあっており、スマートな情報掲示と休憩施設と歩行者に配慮したプロムナードがあれば楽しい周遊が可能となる潜在力を持っている。自分が今いる場所と、次に行く場所がわかり、通りごとに説明板やスタンプ、ピクチャースポットなどがあれば退屈せず歩けるものであるし、萩のようにスケール大きく歩き回れる街は多くはない。ゴルフ場では10キロ以上歩くのであるから、健康のためにも、興味を持って歩ける工夫をすることが大切ではなかろうか。

【照明への配慮】

照明について考えてみよう。水銀灯や蛍光灯の照明は寒々とした印象を与え、全く夜間景観を損なっている。ほとんどの海外都市の街路照明は温かみのあるナトリウム灯であり、夜景が見事である。ハワイのタンタラスの丘の夜景を見たことのある人はその差を認識できる筈だ。水銀灯の下のベンチに並んで好きな人から愛を告白されても、血の気の失せたような顔を見ると百年の恋が冷めてしまうかもしれない。照明に気を使わない街はドラマに登場する美しいデートスポットにはならない。
 水銀灯よりも悲惨な照明の町もある。一風変わった街灯は青森県の日本海に面した小さな漁村の商店街にあった。街灯カバーは全て濃い緑色のガラスで作られ、怪しい光線が道行く人の顔をカエル色に変えていた。

【色への配慮 】

 建築の仮設工事について考えてみたい。日本の街並の美しさの原点には、白壁と木の白黒コントラストがもたらす墨絵的な美しさがある。そこに異質な色、例えば建築中の青いビニールシートなどが入り込むと大きな違和感が生じる。多くの美しい町が保存復元工事を推進していることに異論は無いが、工事中の音や仮設素材、工事車両の駐車や騒音などは考慮が必要だと考える。
 赤い旧式の郵便ポストは議論のあるところであろう。旧式ポストのデザインと色は、日本古来の「朱」になぞらえれば、鳥居など寺社建築と同様違和感を持たないし、「懐かしさ」を醸し出す景観要素だと考える。しかしながら街並形成当時の復元を考えれば無いほうが好ましい。江戸時代の人が見れば「懐かしい」とは感じないはずである。

現地調査 Field work Dec. 2003 

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