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福島県天栄村 ブリティッシュヒルズ

British hills Tenei village,Fukushima

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Oct.31,2018 瀧山幸伸

   


Feb.2011柴田由紀江


Nov.2009 撮影/文 柴田由紀江

ブリティッシュヒルズ(中世英国を再現した文化空間)

福島県岩瀬郡天栄村大字田良尾字芝草1-8

羽鳥自然公園の林道を上っていき、羽鳥湖・レジーナの森を越えて林の中を進むと、突然タイムスリップしたかのように重厚な鉄製の門が現れました。

駐車場に車を停め、横の案内板を頼りに歩き始めると、そこは中世の英国でした。

歩道の両脇に大きな屋敷が並び、それぞれがスチュワート様式・ヨーマン様式・チューダー様式・ハーフティンバー様式を忠実に再現して建てられており、それらの貫録ある建物の窓から、大きな声で英語を話す外国人講師たちの講義が聞こえてきました。

ここまで本格的に作られたレプリカ建築は初めて拝見しました。12世紀から19世紀まで、時代別に建築様式を再現していて、それぞれの棟にはその時代のテーマに沿った絵画が飾られています。

ここは神田外語学院・神田外語大学で知られる学校法人佐野学園によって、1994年に設立された英語教育研究施設です。数年前からホテルとしての営業も始まり、広く一般の宿泊客も受け入れています。

敷地内の公用語は英語で、ブリティッシュポンドという専用通貨を使用します。スタッフは教員も接客部門も常時30人以上の英語圏出身者で、ネイティブなスピードの英会話が堪能出来ます。

建築物・インテリア・家具・調度品の全てが時代考証に基づき、中世の英国様式を忠実に再現されているそうで、その迫力ある空間は映画のセットのような完成度です。

73,000坪の広大な敷地の一番奥に、城塞のようなマナーハウス(英国荘園領主の館)が建っていました。今日はこちらの建物の詳細をご案内します。

まずホテルのフロントであるレセプションはひときわ豪華に、落ち着いた焦げ茶色の調度に囲まれたソファに腰をかけると、視界に入る物の全てに目を奪われる空間でした。

こちらも勿論、設計から建築資材まですべて英国のもので、館内の天井や壁面に飾られたテラコッタは全てウェッジウッド社製だそうです。

重さ2トンのシャンデリアが飾られた階段ホールです。執事が認めた者以外は登れなかったという階段の親柱の上には、領主を守る想像上の動物のような像が、上にも下にもついています。

階段から2階のホールへ。中央に敷かれた絨毯は数百年前のアンティークで、オークションでは1億円の値がついたこともあるそうです。

壁の彫刻は一つ一つが英国の物語のワンシーンで、マホガニーの一枚板を彫って作られています。

広い館の廊下はこんな感じでした。英国大使館や王室に縁のある絵画などが展示されています。

こちらはクィーンズルームという名前の、荘園領主の夫人の部屋です。Her Majesty(女王陛下)と書かれた扉を入ると、豪華絢爛な天井飾りが印象的な大きなワンルームでした。ベッドなどステンシルの描かれたカントリー調の家具や、英国ならではのチェック柄のファブリックもありました。

日当たりのよい窓辺に置かれたティーテーブルの存在感が、紅茶好きの英国らしさを物語っています。

そしてクィーンズルームの中の扉から隣のキングズルームへ。中世英国の邸宅では、寝室は2階にあり、いつ命を狙われるか分からないことから、剣などの武器も置かれていたそうです。

エリザベス様式の天蓋付きベッドに、ロココ調の家具類は見事です。そして英国貴族の間ではアジアの調度品の収集が流行していたそうで、ここにも幾つか見られました。

領主の部屋の机は両側に引き出しがついており、客人を自分と同等に扱う意志の表れだそうです。

特にこの部屋のインテリアは素晴らしく、暖炉を挟んでシンメトリーに配置されたチェストの曲線など、優雅な時代が見事に再現されています。

中世英国の邸宅には居間として図書室が作られていることが多く、ここにも本物のアンティークの書物が並ぶライブラリーがありました。確かに深めのソファなど、寛いで読書を楽しめる空間に成っています。

この部屋の隅に、S字型のソファが置かれていました。男尊女卑の時代に、男女は並んで椅子に腰かける事が許されなかったそうで、後ろ向きに座った女性と顔を近づけて親密に会話の出来るこうした形状の椅子が流行ったそうです。

我が国の近代建築の館にも見られるように、ここにもビリヤード場が有りました。ビリヤードの原型となった英国の伝統的なキュースポーツであるSnooker(スヌーカー)を楽しむ為の部屋でした。大胆な梁と、随所に真鍮をあしらったバーカウンターが素敵でした。

そして最も感動的だった空間はここ、Refectory(ダイニングホール)です。オックスフォードの建築様式で作られたこの食堂は、まるでファンタジー映画の有名な場面のようです。高く抜けた天井、各都市の紋章入りの旗、アイアンワークの美しいシャンデリア。夜間の撮影が出来なかったのが残念です。奥の2階席は実際に大使館などからのVIP用に使われているそうです。

その他にも、プール・ジャグジー・サウナなどのクア施設があり、冒頭で紹介した別棟の建物はそれぞれが客室と研修室として使われています。また、宿泊客専用の豪華なエグゼクティブラウンジでは、シングルモルトやカクテルも楽しめます。

最後に、このマナーハウスの館内にあるチャペルや歴代大使の写真の飾られたアンバサダーズホール(研修室)、中研修室の様子です。

驚いてばかりのブリティッシュヒルズでした。

ここはもう、英国です。

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