Monthly Web Magazine Oct. 2016

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■ 滋賀の曳山祭り 中山辰夫

 日リオデジャネイロ五輪・パラリンピックで大活躍したメダリストたちが、東京銀座から日本橋への目抜き通りをパレードしました。さすが東京と思わせるほどの多数の人々が詰めかけ大きな歓声を上げ、選手たちを歓迎しました。奢りの無いメダリストとフアンが一体となった素晴らしい光景が見られ、大きく報道されました。

そのメダリストの中に、パラリンピック水泳で4個のメダルを獲得した木村敬一選手の姿もありました。彼とは同じ町内で、競技日には早朝5時にホールのテレビ前に集まり大声援をおくって応援しました。ほとんどが東京生活で普段は滅多に会えませんが、彼の大活躍でリオをグーと身近に感じることができ、4年後の東京大会が待ち遠しくなりました。滋賀と栗東のアピ−ルにも一役買ってくれた事に感謝です。

ところで、10月に入ると各地で祭りが行われます。滋賀・近江は「祭りの宝庫」で、小さな祭を加えると一千を越すともいわれ、歴史の深さが窺えます。

10月8〜10日に「米原曳山まつり」が行われました。滋賀県選択無形民俗文化財に指定されています。江戸時代後半に端を発しています。

小学1年生から6年生の男児5〜6人が演じる子ども歌舞伎がみものです。

  

今年の出し物は「義経千本桜」でした。約1時間の長きを演じてくれました。色気も感じられた名演技でした。

長浜曳山の後追いとされるようで、「山を見るなら長浜、芸を見るなら米原」を合言葉に、子ども役者が演ずる「芸」においては長浜に引けを取らないと励んだ成果と意気を強く感じました。曳山の面倒をみる各山組の若衆の熱意も心強く感じました。

       

滋賀では各地で曳山祭りが行われます。いずれも長い歴史を有しており、文化の深さを秘めています。

大津曳山祭り

  

今春、国の重要無形文化財に指定されました。今年は大いに燃えたと思います。「からくり戯」が見もので、祭囃子が京都祇園祭りに似ています。

長浜曳山祭り

  

日本三大山車祭の一つで、国の重要無形民俗文化財に指定されていますが、平成28年秋、【長浜曳山まつりを含む全国32の「山・鉾・屋台行事」】がユネスコ無形文化遺産に登録されました。豪華絢爛な子供歌舞伎が有名です。

日野祭

  

滋賀県無形民俗文化財に指定されています。日野商人の活躍に合わせて発展してきました。江戸時代末期が最隆盛でした。

水口祭

  

1725年に端を発しています。宿場の雰囲気を伝えています。

他に、大溝祭(高島市)や浅小井(近江八幡市)があります。

曳山祭りの大きな見どころに屋台の装飾があります。幕類と屋根裏にあたる天井板の装飾が見事です。見送り幕や胴幕、水引などには重要文化財指定のものも含まれています。反面、それらの維持管理が大変です。米原の曳山1基を動かすのに500万余かかるとも聞きます。継続に動く保存会の役割は大変の様です。

各地の祭りの内容・形式は千差万別ですが、そのほとんどが五穀豊穣・無病息災・集落安全などの庶民の祈りを込めたもので、集落・地域の年中行事として重要な位置を占め、地域のまとまりの大きな柱となっています。しかし伝統を引継ぐ悩みは何処も共通しているようです。