Monthly Web Magazine Nov. 2016
■ 自宅近くの古民家 川村由幸
自宅から20km圏内に5件の古民家があります。
この内、滝田家住宅は旧の文字がついていない通り、現在も居住されている珍しい重要文化財です。
住んでおられる住宅の取材はやはり尻込みをします。従って近いにもかかわらず訪問の「実績なし」です。
最も近いのは、漢字の住所が自宅と同じ旧吉田家住宅ですが、ここは近いためか幾度も出かけています。
間宮林蔵生家は狭い空間に移築されていて、撮影が思うように出来ないのです。
そんなわけで今回は、旧花野井家住宅と旧井上家住宅を取材しました。
11月3日朝9時過ぎの旧花野井家住宅です。
上の画像をご覧いただいてもお分かりの通り、ここは建造物のメンテナンスも完璧で、前回訪問した201年8月から薬医門も含め屋根の茅葺が葺き替えられていました。
建物周囲の芝生の手入れも行き届いており、とても気持ち良く撮影することができました。
私が到着した時も管理されている方が薬医門に続く道に箒目を立てられていました。
この花野井家は小金牧の牧士で元々は流山市にあったものを1971年にここに移築しています。
牧士といえば、柏市の吉田家も牧士の家系で幕府直轄の小金牧に育てられた旧家という点で共通しています。
この後、旧井上家住宅に向かい、到着は10時過ぎでした。
ここは少し前まで持ち主が相島芸術文化村というNPO法人を運営していましたが、土地・建物を我孫子市に寄贈し今我孫子市が建造物の整備中で一部公開という形で見学できるようになっています。
現在も二番土蔵が改修中で青いシートに覆われています。薬医門や外塀など修繕補修が済んだ建物もありますが、赤い屋根の母屋はすぐにでも修繕が必要と思われる個所がいくつも見受けられ、早く早くとただの見学者の私も急いた気持ちになってしまいました。
井上家は江戸の商人で手賀沼の干拓事業に参入してこの地に根付きました。この干拓事業は昭和26年まで続きこの事業を中心となって推進した家系です。
母屋の内部まで整備され、見学ができるようになれば、是非再訪したいと思います。
11月3日文化の日の午前中に二つの古民家を巡り、地域の歴史にほんの少し触れてみました。
ここ東葛地区はあまり歴史の香りのしない地域ではありますが、歴史がないわけではありません。