Monthly Web Magazine Nov. 2016

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■ 水質調査船「湖水守(コスモ)」前回(10月)の続き 酒井英樹

 琵琶湖水質調査に同乗した。長浜港での任務を無事遂げて、船は長浜港出港して一路南郷港へと向かう

 

 後ろ姿の長浜大仏

 

 木造の長浜ドーム

 

再度長浜城の遠望

 

 多景島(たけしま)

島内に竹が多く自生していることから「竹島」といっていたが江戸時代に荒神山から土を運び植林した。木が成育すると島を眺める方向によって多様な景色に見えることから多景島と呼ばれている。島全体が日蓮宗見塔寺の境内となっている。

     

 当日は住職不在及び時間の制約から上陸できず。

 題目岩

 高さ約6間(10.8m)、幅約4間(7.2m)の岩に「南無妙法蓮華経」の文字が彫られている。元禄5年(1692年)に、命綱にぶら下がりながら三年の歳月をかけて日靖上人によって刻まれた。 題字は京都妙顕寺・勝光院日曜上人の筆で、一文字に米一俵が入ると言われている。

     

 日蓮像

 

 題目岩(中央右)と日蓮像(中央左)

 

・誓いの御柱

   

 沖の白石(おきのしらいし)

大岩1つと小岩3つで形成される。大岩は水面から20mの岩礁だが、周辺の水深は約80mあるため、大岩の全長が100m前後と推定される。

日没時に岩が太陽光で白く変化することが名称の由来とされている。

 ・沖の白石遠景

   

さらに進み南湖へと入る。風景とともに湖の様子も明らかに異なってくる。

北湖の航跡 透明感のある青色の水 

 

南湖の航跡 濁った緑色がかった水

 

富栄養化が進む琵琶湖南湖はアオコと呼ばれる藍藻類が増殖して水質を悪化させている。

 さらに外来種の水草が大量発生している

魚群探知機

水深3.8mの湖底に水草(赤色部分)が覆い尽くしていることが分かる

船舶航行の支障、漁業にも影響を与え始めている。

 

外来種の水草(オオバナミズキンバイ)が水面まで繁茂し、水鳥たちの止まり木となっている。

        

富栄養化を抑えるため30年前からリン系の洗剤を排除してきた滋賀県だが、琵琶湖のリンの濃度はこの間全く減少していない。

外来の水草はすでに完全に駆除するには手遅れの段階で、現状の対策としては地道に駆除していくしかないとのことだそうだ。

 しかし、繁殖の根本原因は人の手によるものであった。水草の生えていない南湖の湖底を貝などの底生生物が好むように水草を植えたのが始まりであった。

繁茂したことで光が届かなくなった湖底は水草が枯れ、貧酸素状況となり底生生物が激減している。しかも、ここ数年間で一気に進行した。

 流れに沿って、琵琶湖から唯一流れ出る瀬田川にもこの現象は続いている。

 流れ着いた岸に繁茂し花を咲かす外来植物

 

 石山寺門前で名物になっている「しじみ」が壊滅状態に陥っていて漁業が成り立たないとさえ言われているほど深刻な状況だ。自らまねいた結果ではあるが、良かれとしたことが残念なことに最悪の方向へと向かっている。

 瀬田川の風景と大学漕艇部のボート

  

 瀬田川・南湖を周遊する観光船が停泊している

   

 川魚料理を売りにしている旅館

   

 電光標示している溶存酸素量は正常値だが・・川底では???

 

 一見平和に見えるのだが、まさに水面下ではエイリアン(外来種)の侵略が日々進んでいる。見えないところで密かに進む今の状況は、まさに今そこにある危機だといえる。

 現状を憂いながらも船は進み、重い気持ちを曳きづりながら船は南郷の船着き場に到着した。