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Monthly Web Magazine Feb. 2017

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■ 中古DVDで映画を楽しむ  野崎順次

10年位前までは、自宅から10分歩いて電車で16分、それから10分歩くと会社に着いた。ところが、自宅近くの停留所からバスに乗ると、25分で別の駅に着き、12分乗ると会社直下の駅に着くことが分かった。バスの便は少なく時間は少しかかるが、歩く距離は大幅短縮して楽である。半時間弱のバスの中ではノートパソコンでDVDの映画を見ることにした。2時間ものなら、大体、往復3日で見ることができる。日本映画は面白くないからほとんど見ない。英米映画の方が質が高いし、仕事(貿易)上、英語に親しんでおける。でも、英語版をそのままヒアリングする能力はないので、音は英語、字幕は日本語というのが標準である。最初はケーブルテレビの映画専門チャンネルを録画したものを見ていた。家内が名作を録画してDVD(CPRM対応)に入れてくれるのである。ところが、CPRM対応のものはなぜかパソコンで長時間見れない。15分くらいでとぎれて再起動する必要がある。そこで、普通のDVDを優先的に見るようになった。

主な購入先は、大阪駅前第1ビルのB2のアダルトビデオ(AV)屋である。その店頭に(AVではない)普通の映画の中古DVDが3枚900円(後に980円に値上げ)で売っているのである。見たことのない映画がほとんどである。そういえば、40年以上映画館に行っていないし、20年以上、レンタルビデオ店にも行っていない。

     

レジは店内の入り口にあるので、中に入らねばならない。アダルトビデオを買っているように見えるが、そういうことを気にする年でもない。

この1年間に120枚以上の中古DVDを買った。時には、見ず知らずの客が、これとこれは面白いよと勧めてくれる。若いころ好きだったB級ホラーやB級SFは退屈な作品が多い。やはり、お金をかけて撮影技術を駆使した大手作品が面白い。見終わると、身内か友達にただであげようとするのだが、あまり喜んでもらえない。みんな手持ちのDVDがあふれているようである。捨てるのも抵抗があるので、そのアダルトビデオ屋に買い戻してもらうことにした。まとめて持っていくのが重たいし、1枚当たり20〜30円しかならないが、気分的には納得する。

面白かったのは、しばらく手元に残しておく。今のところ、こんなのがある。順番は at random である。

1992年米 ドラキュラ(Bram Stoker's Drachula)

2010年米 ウルフマン(The Wolfman)

2004年仏 ゴッド・ディーバ(Immortel, ad vitam)

2009年米 マイケル・ジャクソン This is it (Michael Jackson's This Is It)

2007年米 デスプルーフ in グランドハウス(Death Proof)

2006年米 ラッキーナンバー7(Lucky Number Slevin)

1962年米 マーズ・アタック!(Mars Attacks!)

2008年米 バーン・アフター・リーディング(Burn After Reading)

2005年スペイン あなたになら言える秘密のこと(The Secret Life of Words)

2004年米 チーム★アメリカ/ワールドポリス(Team America: World Police)

2002年米 ボウリング・フォー・コロンバイン(Bowling for Columbine)

それから、

1952年米 宇宙戦争(The War of the Worlds)

2002年米 クリスティーナの好きなコト(The Sweetest Thing)

2000年米 スナッチ(snatch)

2004年米 レディ・キラーズ(The Lady Killers)

2004年米 マイ・ボディガード(Man on Fire)

などである。

話は変わるが、新品DVDで大切に残しているものは、スティーブ・マックイーンの出世作「拳銃無宿(Wanted dead or alive)全7巻」。1958から1961年のテレビドラマシリーズで、威勢のいい賞金稼ぎ(ジョッシュ・ランダル)が活躍する西部劇である。当時、中学生だった私たちは夢中になったものだが、今見てもワクワクする。独特の改造銃(ランダル・カスタム)が登場し、50年後の現在でも、そのモデルガンが売られている。