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JAPAN GEOGRAPHICMonthly Web Magazine Mar. 2017
■懸想文(けそうぶみ)売り ユニークな節分行事−須賀神社(京都市) 中山辰夫
2月の2〜3日、全国の神社仏閣で節分に因んだイベントが行われました。その内容は様々ですが、聖護院から約100mの所にある須賀神社のイベントも独特のものです。
須賀神社は平安時代初期に創建された古社で、縁結びや安産にご利益があるとされ、安全を守る交通神社も同じ境内に祀られています。
この神社の節分に行われるユニークな行事は、平安装束の烏帽子に水干姿、布で顔を隠した覆面の二人組の懸想文(けそうぶみ)売りが梅の枝を担ぎ、境内で「懸想文(恋文)」を売り歩くことです。
縣想文は、相手への気持ちを綴ったラブレターに相当するものです。節分の恒例行事になったのは1947(昭和22)年以降のこと。
起源は不詳で、一説には平安時代に、位の低い貴族が小遣い稼ぎに恋文を代筆したのが始まりとされています。江戸時代に、京都では懸想文を売っていた風習があったともいわれていますが定かでないようです。懸想文の内容は毎年変るようです。(引用:日本経済新聞)
境内には特設テントの専用売り場が設けられ、市内は勿論、大阪・神戸から女性が買いに訪れます。1枚1000円の懸想文は、2日間で約1千枚売れるとか。
初日の早い時間に訪れたので参拝者の姿はまばらでしたが午後には増えるようです。
「結果的には満足している」と話す女性や、「昨年は宝くじがよく当たった」とほほ笑む男性など、買う人の中にリピーターも多いようです。買ってる人、買って帰る人の表情がとても嬉しそうに見えました。
2日間のみ限定販売の「須賀多餅」も手に入れて足早に帰る人、きっと一年間大事なお守りとなるのでしょう。
“ラブレター”…淡い若干の思い出が残っておりますが、今の時代は忘れられた存在でしょうか。
『意』を伝える手段は色々あるのでしょうが、悩み・難しさだけは共通して残っているようですね。