JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Apr. 2017

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■雪崩の話 田中康平

那須岳でなだれ遭難事故が発生して久し振りに春の那須の風景をテレビで見ている。どこかなつかしいものがある。

もう20年位前のことになってしまったが、春に一人で那須岳に山スキーに出かけることが何度かあったのを思い出していた。那須マウントジーンズスキー場の最上部のリフト降り場からシールをつけてスキーで登って行って行けるところまでいって滑って降りる、というお手軽山スキーだったが、ゲレンデの雪がグサグサになってしまう春では、こちらの方がはるかに楽しくすべりやすかった記憶がある。勿論怖いのはなだれで、天気を慎重に選んで雪が緩みそうな日は決して出かけない様にしていた。登ると北の赤面山方面から無木のいかにも雪崩れそうな雪面をトラバースしてくる人もいてよくやる、と思っていた。昔から無茶な人はたくさんいた。

一人だから雪崩ビーコン、ゾンデ棒、スノーショベルの3点セットはいずれも持っていなかった、ショベル位はあるべきかなとは思っていたが結局買わずじまいで雪山から遠ざかってしまった。何かまずいことが起これば事件だったのだろう。

那須ファミリースキー場から登るルートもあったが、あまり魅力を感じなかった、なだれやすいと何かで読んだ気もする。春で怖いのは底雪崩だが、時期を慎重に選べばある程度避けられる。今回のように凍った雪面に新雪が大量に降った後では表層雪崩がいかにも危ない、ともかく安全第一で天候を選ぶことを最優先にしていた。そうではあるが途中からとんでもない強風に会ってほうほうの体で退散したこともあった、風の通り道となっている那須の天気変化は難しい。今回のようにスケジュールが決まった行事は山の場合、特に春と秋は外れるときついことに遭遇するような気がしている。絶対安全な雪山なんてあり得ないことだ。

そのころの写真を探してみるが引っ越しでどこかへ散逸してしまったようでホームページにアップしたものくらいしか見つからない。アナログ写真時代の写真はしっかり整理しておかないと探すのが大変だ。プリントした写真のなだれも怖いものがある。こちらも備えが肝心の様だ。