JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Aug. 2017

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■星を写す 田中康平

福岡に戻ってきて、これはあきらめかなと感じることがいくつかあるがその一つが星があまり見えないことだ。都会の都心に近く夜空が明るいということもあるが、そもそもからりと晴れるということが少ない。関東の特に冬は凍てつくような寒さもあるが乾いた夜空が美しかった。こちらは対馬海流の暖流のおかげと思うが冬でも湿っていてカラカラに晴れるということが殆ど無い、晴れてもどこか薄雲を感じる。

そんな訳で天体写真を撮ろうかという気になるのは月食位なものだったが、最近ふとしたことで赤道儀機能が簡単にカメラに付加できる装置というのがペンタックス用に売られているのに気付いた。2011年に発売されているからもう6年もたっている。ペンタックスの手ぶれ防止機能を利用して5分間位天空の回転を追従して星を静止状態で撮り続けることができる、GPS搭載でどこでも空にカメラを向けさえすれば自動的に計算して追従してくれるというものだという。弱い星の光でも時間をかければ捕らえられるかもしれない。

手持ちのK-5カメラには問題なく適合するようだし気になる価格も2万円以下でカメラの機器としては高くない。早速ネットで発注すると3日ほどで届いた。O-GPS1アストロトレーサーという。

曇りの日が続いたがどうにか雲が切れた夜、早速試してみた。西の空に向けるが時々薄い雲が横切ったり街の明かりが明るかったりで目視ではほとんど星など見えない、かろうじて木星が沈みかけているのが解るくらいだ。三脚にO-GPS1を付けたカメラをセットして120秒解放で作動させる。ISO100,F5.6,レンズは18mmとした。写せた写真を少し画質調整してトリミングしたのが添付写真だ。星座表と突き合わせると「かんむり座」と「へび座」あたりが撮れていて、星座図にある一番小さな6等星よりもさらに小さい星も写っている。こんなに星が見えていたんだと再認識させられる。

いままで手が届かないと思っていた世界がここにあったかと思わさしめる。条件が良ければ天の川も写せるかもしれない。これはなかなかの代物だ。

技術の進歩は手の届く世界を明らかに拡大している、そう思うことが目に付くようになってきたこの頃だ、長生きせねば。

O-GPS1をカメラの上部に取り付けた状態 

 

星空撮影結果(6等星以下の星も写っている)

 

撮影領域に対応する星座図、最小は6等星