Monthly Web Magazine June. 2015

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■■■■■ 梅雨の晴れ間に 田中康平 source movie

梅雨に入った。平年並みかやや早いくらいの入梅だが、少しばかりおやと思う。

今年はエルニーニョ現象が高まりつつありメリハリの無い梅雨を予想していた。

エルニーニョではペルー沖の赤道付近の海水温が上昇するが、これはフィリピン沖のいつもは温度の高い海水がたまたま起こる西風で東へ吹き寄せられるため起こるためと説明されており、このため日本の南の海域の海水温が例年よりやや低くなり、南から押し寄せる暖かい大気の勢いが弱まり、梅雨前線が北上しにくくなり勝ちとなるはず、という長たらしい連鎖を普通は予測することになるのだが、今回はどうやらそうでもなさそうだ。

日本の南の海水温は大して下がっていない。やはり南の海がやや温暖化してきているのだろうかと思う。原因はなんであれだ。

ともかく北の大気は冷たいままだからぶつかり合う日本上空の梅雨前線付近では雨の降り方が強くなりがちで陽性の梅雨となりそうだ。

梅雨の時期は晴れ間を縫って出かけると、かえってすがすがしい五月晴れに出会える。

6月の初めの、これは間違いの無い晴という晴れ間に唐津の七ツ釜あたりを巡ってみた。福岡からは1時間半くらいで到達できる。

呼子、七ツ釜、加部島と一渡り廻って名物の呼子のイカも堪能して、もう一箇所くらいと波戸岬に向かった。名護屋城のある半島部の突先の岬だ。

海中を見ることの出来る玄海海中展望塔というのがあるというのがやや気になっていた。

気持ちのいい岬の草原の端に海中展望塔はあった。

陸地からコンクリートの橋のような部分を歩いて塔を降りるようになっている。

陸地の入り口に切符売り場があって女性が一人居るだけであとは施設があるだけだ。エレベータもない。

ふーん、大してものでもないか、少しは魚もいるかなと思って階段を降りていく。水面下7mくらいの海底部らしい所に着く。

平日とあって他に客は居ない。底には楕円形のしっかりした覗き窓がぐるりと廻っている。

みると驚くばかりの魚が窓の向こうに見える。

クロダイや何やら名前は良くは解らないが堂々たる魚がどの窓からも見える。水族館より明らかに多い。

勿論施設としては海の中の塔だけで廻りに魚を囲う仕掛けがあるわけでもなんでもない。

見ていると次第に魚から見られていると感じ始める。

魚にしてみれば狭い部屋の中に閉じこもった人間を面白がってぐるぐる廻りながら眺めているということになるのだろう。

魚にとっての”人間園”となっているのだろう。

魚世界の観光名所になっているのかもしれない。

緑の地球に共に生きている、と実感させる。

動物園や水族館などは出来るだけ止めて自然にある地球の仲間としての生き物を普通に眺める施設が本当は望ましいのだと感じさせるし、それは実現可能なのだとも思わせる。

動物園や水族館でいつも感じる痛々しさがここには無い。

見世物となって生涯を終える生き物を見るのはつらい。

地上へ戻るとあちこちから元気のいいホオジロの声が聞こえる。

のんびりしたハート型の草原から前に広がる晴れ渡った玄界灘の眺めが心地いい。

陽性の梅雨はその晴れ間が楽しい。いい季節というべきなのだろう。地球を楽しむべきなのだろう。

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