Monthly Web Magazine Apr. 2016

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■■■■■老舗の飲食店 川村由幸

千代田区神田須田町の一角に風情のある老舗の飲食店がかたまって残っています。
 
全て1945年(昭和20年)以前の建築ですから、戦災で焼けなかった幸運な建造物です。
ここにまとまっているのもこの一帯が戦災被害が小さかったという理由だと推測されます。
先ずは神田で藪蕎麦と並んで有名な蕎麦屋の「まつや」です。1925年築。
   
ビルの谷間に挟まって、正面からカメラを向ける以外撮影のしようがありません。
なんとも苦しそうですが、細長いビルに建て替えられずにこのままずっと残っていてほしいと感じます。

続いて、鳥すき焼きの「ぼたん」です。「ぼたん」は今回撮影した四軒で一番大きな建物で1929年築です。
   
入口にも風情と高級感があって、チョット入りにくい感じです。鳥すき焼き、軽く呑むと一万円を超える価格です。
簡単には入れません。それでも一度はいただいてみたいと思わせる店構えです。

ここの四軒で私が一番好きな建物がこの甘味処「竹むら」です。1930年築で、揚げまんじゅうがお薦めのようです。
引き戸を開けて思わず入りたくなる入口でしょう。
   
でも男一人で甘味処に入る勇気は持ち合わせていませんから、当然撮影しただけ、でもタイムスリップ感はすごいものがあります。絣の着物に髷を結った女性が出てきそうです。

最後があんこう鍋の「いせ源」、1930年築で竹むらの真向かいにあります。
   
ここの看板とショーウィンドはいけてます。ショーウィンドは作り手の意気を感じますし、千客万来の看板の掛かった店など他ではほとんど見かけることがありません。

そして残念なのが、この四軒のすぐそばにある、「神田藪蕎麦」です。2013年2月に火災で焼失。1923年築で今回紹介した四軒と肩を並べる歴史ある建造物を記録することが出来ないのがとても残念です。

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