福井県越前市 ぜんまい桜
Zenmaisakura,Echizen city,Fukui
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Apr.5,2016 中山辰夫
越前市大滝町
大滝町の大瀧神社奥の院へのぼる参道の途中の山中にある。
遠望
説明の代わりに、水上 勉氏-日本の風景をあるく-「近江・大和 」より引用する。 2000(平成12)年初版発行
粟田部から、紙すき村の岡本村に行ったが、ここでも巨桜にめぐりあった。この村の古い酒造家に立ち寄って桜の話をしたところ、「粟田部の桜に負けないような一本がございます」と酒造家がいった。
「この村の大滝神社の奥にまいりますと、周囲一丈五尺の大桜があります。村のものはぜんまい桜と呼んでおりますが、惜しいことに、この桜は、隔年にしか咲きません」 ぜんまい桜というのは、村人がぜんまいを摘みにゆく道すがら、いつもこの山桜をみて帰るから、そう呼ぶのであって、やはり、粟田部の淡墨桜と同種であるという。
「さあ、誰が植えられたものか知りませんが、とにかく怪物のような大桜でございまして・・・山は神社の所有になっていますんで…お守りすると言っても、下枝を伐るくらいで、放つたらかしてありますよ」
・・・・・「花をごらんになったことがありますか」 「ええ、私は、二年目二年目に眺めています。ほんとうに淡墨をながしたように美しい花で…わたしらは、どこへ行って花見をしても、うちの村のぜんまい桜ほどきれいな桜をみたことはございません」と酒造家はしきりに自慢した。 ああ、ここにも、庶民が育ててきた巨桜が一本かくれているなと、私は思った。・・・
水上氏は春になったら必ず見物に来ると約束されて帰られたとあるが、4年後に逝去された。はたしてご覧になったか分かりません。
地元の方々のお世話によると思いますが、水上氏の死後、26年後の今現在も元気に花を咲かせていました。2年毎と言われます。今年は咲く年だったのでしょうか。ラッキー!
注)粟田部の淡墨桜=花筐公園頂上部にあります。
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