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福井県美浜町

Mihama Town,Fukui


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June 11,2019 瀧山幸伸 source movie

早瀬

       

日向(ひるが)湖と日向漁港

                                                      

 

 


Jan.21,2018  中山辰夫

福井県三方郡美浜日向

日向(ひるが)

三方五湖の一つ、日向湖畔に帯状に集落を形成しており、日向湖と若狭湾は運河で結ばれている。往古から漁業を生業としている。

三方郡の海岸線とともに若狭国定公園に一部をなし、北方を三方五湖レインボーラインが通る。又東岸にはほぼ南北に国道27号線が走る。

三方五湖の日向湖は塩水湖で、若狭湾ともつながっているため、村全体で漁を営む "村張り定置網" を中心とした漁師町を形成している。

村張り定置網とは、日向地区に住むほとんどの住人が共同で出資をして船や網などを買い、村の共同体として運営している定置網漁業の事。

村の住民同士の連帯意識は強く、ベテラン漁師が若手漁師の育成をしつつ壮大なスケールの漁を行っている。

年間を通して漁に絡むお祭り行事が継承されており、その最たるものが「水中綱引き」の奇祭で、集落あげての行事である。

   

日向の集落は、1985(昭和60)年に公開された日本映画・高倉 健主演の「夜叉」の舞台となったが、今はその影が微塵もない。

日向湖は三方五湖の一つ。三方五湖は、福井県三方郡美浜町と同県三方上中郡若狭町にまたがって 位置する5つの湖の総称。

国指定の名勝で、若狭湾国定公園に属する。2005年11月8 日付でラムサール条約指定湿地に登録されている。

  

日向湖のみが塩水湖で、久々子・菅・水月・三方の四湖は淡水または汽水湖である。日向湖の塩水は若狭湾と運河で通じていることによる。

    

陥没で成る日向湖は周囲を急峻な山に囲まれており、湖岸の狭い地域に漁村の集落を連ねている。湖は良好な船溜りで、運河をでると日向漁港である。

日向浦の地名は平安期に遡るとされる歴史深い漁村で、漁業を生業にする人たちが主である。

日向湖は面積:0.92?、水深38.5m、周囲:4㎞。運河(日向川)で日本海と水の行き来があり水深は五湖の中では最も深い。

運河(日向川)と太鼓橋

小浜藩主酒井忠勝が村の願い出により日向湖を天然の舟溜りにしようと1635(寛永12)年に若狭湾と日向湖を結ぶ水路を開削し運河を造ったのが始まりで、以来重要な役目を果たしている。

        

橋上から見た日向湖と日向漁港付近

    

日向湖周辺散策

  

周囲約4㎞の日向湖には湖岸道路が配されており車でも一周できる。周囲は漁村らしい生活風景が見られる。

集落の家並みの前は、湖にコンクリートをせりだして造った岸壁で整備され、広々とした舟溜りとなっている。家並前の白線までが旧来の湖岸道路であった。

 

集落は運河を中心にして東・西の湖岸に細長く広がっている。太鼓橋(日向橋)の東側・西側を「西ン所」・「東ン所」と通称しており、それぞれ約100戸の漁師宅を主に、釣り人相手の旅館・漁師宿が並ぶ。

 

両地区に共通しているのは、家屋が後方の山の崖ぶちに建ち、軽自動車もすれ違い出来そうにない生活路を挟んで家屋が向き合って建ち並んでいる。

西ン所を散策する。

    

集落の入口に構えている日向の氏神「稲荷大明神」—住民の拠り所である。

    

家並み

         

生活景観

          

釣り堀

日向湖にある釣り堀は桟橋型の釣り堀。波静かで船酔いの心配もなし。水深が深いのが特長で、マダイやブリ、カンパチ、ヒラマサ、シマアジなど大物とのやり取りが存分にタン能できるとされる。

東ン所を散策する 西ン所と大きくは違わない。旅館・民宿が目立つ。

          

家並み

           

生活景観

          

釣舟

早朝に出かけてお昼に戻ってきました。日向漁場での舟釣りで、大漁です。

          

漁師は、『ひるが寒ぶり』の美味しさの秘密4つ—「活け越し」「徹底血抜き」「神経締め」「熟成」の技法でブリをテキパキと扱い、釣り人に最高の土産とします。

  

漁師は次の客を乗せて出航してゆきました。

日向漁港

日向漁港は若狭湾と日向湖に臨み、水域面積56万6500㎡、第2種漁港。防波堤、導流堤、などを設けた人口の泊地である。

12月から2月は「寒ブリ」のシーズン。

福井県下最大の寒ブリ漁が行われているのが日向漁港である。村全体で漁を営む"村張り定置網—大敷網漁"が行われ、賑わいを見せる。

日向の大敷網は、水揚げ、網の大きさともに、福井県一の規模を誇っている。

ブリは出世魚の代表で、2キロくらいまでをハマチ、5キロくらいまでをワラサ、それ以上をブリという。北陸産で10キロ前後、1メートルものがおいしいブリの条件だとか。冬にとれるブリは脂がよくのり、寒ブリとして珍重されている。

ブランド「ひゅうが寒ブリ」を生み出す「活け越し」「徹底血抜き」「神経締め」「熟成」という日向の技法の一端を見せて頂いた。

日向漁港は、日向湖の運河の北側出口にある港。ブリやサワラをはじめとした豊富な魚種が獲れる漁場とされる。

     

日本海「若狭湾」に向けて広がる

       

日向海水浴場—小石の海岸のため余り利用されていな

    

いけすの釣堀—日向漁連運営 ハマチ、タイ、タコが釣れると評判

        

漁連からの差し入れが人気

      

日向漁業センター内で作業が行われていた。でも後始末に近い作業時間帯であった。

    

 日向の漁師の技と工夫

「活け越し」

   

日向の定置網で漁獲される寒ぶりは、魚が痛まないよう小さな網で丁寧に水揚げされる。その後漁港の生簀に数日間放って落ち着かせる。

水揚げの際にかかった魚のストレスが減り、旨味成分がアップするといわれる。

「徹底血抜」

   

数日活け越した寒ぶりを生簀から上げ、丁寧な血抜きを行う。身から血の味が抜けてぶり本来の味と香りが引き出されるという。

「神経締め」

        

特殊な道具を使って魚の神経を抜く。鮮度を保ったまま熟成をさせることができる

「熟成」

鮮度を保ったまま数日寝かせる。

活け越しで保持した旨味成分がどんどん増し、美味しい『ひるが寒ぶり』となる。

日向の漁師たちは、「価値ある旨い魚を届けたい」という想いで今日も荒れる日本海・若狭湾の海に船を出している。


May. 2007 瀧山幸伸 source movie

潮目

     

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