福井県おおい町 松ヶ瀬台場跡
The old fort of Matsugase, Oi town, Fukui
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所在地 福井県大飯郡おおい町大島 赤礁崎オートキャンプ場内
国指定史跡 小浜藩台場跡 松ヶ瀬台場跡
松ヶ瀬台場跡は、若狭湾の一部である小浜湾を形成する大島半島東端に位置する小浜藩の台場跡である。
江戸期の小浜藩の海防体制は、幕府の異国船に対する警戒体制の一環として整備された。京都の北部に位置し、京都所司代を何度も務めた酒井氏を藩主とする小浜藩としては、京都の北を守ろうとする意識の上に海防体制を強化したものと思われる。
嘉永4年(1851)には、小浜藩は幕府に台場築造を届け出ており、安政元年(1854)に鋸崎・松ヶ瀬に台場を築造している。
同時期に藩内の川崎・海手浦台場なども築造され、小浜藩の海防体制は整備されていった。
大飯町による小浜藩の台場跡の現地踏査の結果、保存状態の良好な台場と確認された鋸崎・松ケ瀬の両台場については、平成6〜10年度に発掘調査が実施された。そのうち松ヶ瀬台場跡については、以下のとおりである。
松ケ瀬1号台場跡は、6基の土塁と土塁に挟まれた5ケ所の砲眼及び内側の堀状の溝と外周を取り巻く溝等によって構成されている。
土塁の規模は、高さ約0.8〜1.2m、長さ約6〜8m、幅約7〜8.5mである。
堀状の溝は、排水等に利用されたものである。
また、砲眼部分は、砲口幅約1m.、開口幅約3〜4mの規模である。
松ケ瀬2号台場跡は、半円形をした土塁に囲まれており、1号台場跡より海側に立地している。径約80m、土塁の幅約14m、高さ約2.2〜2.4mの規模を有する。
土塁の内側には、中央に半円形の砲座が1基、それを挟むように左右それぞれ2基ずつ方形の砲座が配置されている。
半円形の砲座は、土塁の半円と逆の半円を呈し、径は約16mである。
半円の周囲は高さ約40cmの石積みがあり、南と西に出入口を設けており、西側には石段も設けられている。
砲座中央部には、帯状の幅約90cmで約30cm角の板石が敷き詰められている。
また、半円で帯状の板石の円の中心となる部分から径約35cmの穴が確認された。
このことからこの砲台は、回転式大砲が置かれ、板石は回転移動する軌道敷で、穴は軸穴と考えられている。
なお、方形砲座は、長さ約6m、幅約5mの規模を有し、約40cmの高さの盛土で造られ、一部配石が残存している。
この台場跡には、焼紅弾室跡も良好に保存されている。
このように、2号台場跡の回転式大砲が置かれた遺構が現存していることが確認されたのは、初めてであり、かつ幕末期の異国船到来の海防のための台場が、発掘調査により、その構造とともに解明されたことは貴重である。
なお、当調査の中であわせて実施された小浜藩の他の台場跡の所在・状況調査によっても、当遺跡が極めて良好な形で残されていることが確認されており、当時期の海防体制を見る上で貴重であり、史跡に指定し保護を図ろうとするものである。
(国指定文化財等データベースより)
松ヶ瀬台場跡は小浜湾の西、大島半島の東端に位置する赤礁崎オートキャンプ場の敷地内にあります。
国指定史跡小浜藩台場跡は、松ヶ瀬台場跡と鋸崎台場跡ですが、大島半島北端の鋸崎台場跡は、関西電力大飯原子力発電所の構内に所在するため、見学ができず、松ヶ瀬台場跡だけが見学可能となっています。
松ヶ瀬台場跡は、見学者専用の駐車場が整備されており、専用の出入り口からオートキャンプ場の構内に入って見学します。
見学者駐車場からのアプローチ
見学者専用出入口と案内板
松ヶ瀬1号台場跡
溝に囲まれた6基の土塁が並んでいます。
松ヶ瀬2号台場跡
大規模な半円形の土塁の上に、半円形の砲座1基と方形の砲座2基が残っています。
思ったよりも保存状態がよく、土塁の城跡を見学しているような雰囲気でした。
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