兵庫県豊岡市 吉祥寺
Kichijoji Temple, Toyooka City, Hyogo Pref.
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January 23, 2021 野崎順次 source movie
兵庫県豊岡市出石町下谷25
曹洞宗
梵唱山 吉祥寺
歴史と概要
吉祥寺は、天正三年(一五七五)に大坂の地に創建されたのが始まりの、曹洞宗の禅宗寺院である。豊臣秀吉の山陰征伐の後、慶長九年(一六〇四)小出吉英が岸和田から出石城主となり、その菩提寺である吉祥寺も、翌慶長十年、現在地に、吉英侯の母長春院殿を開基に、梵唱山吉祥寺としてこの出石に創建された。
(中略)
その後、仙石氏が宝永三年(1706)信州上田より移封してより、仙石氏から擁護され、「独礼」といって城中で殿様に面会できる待遇も得ている。安政元年(一八五四)の失火により全焼するが、仙石氏の庇護を得て復興する。作庭も仙石氏時代と思われる。
庭園構成と特徴
庭園は、庫裏書院からの観賞を中心とする築山式枯山水庭園であるが、本堂からの景も重視される。庭園の中央に庭井戸が掘られている。実はこの場所は興味深く、石段がついていて下りていくと、湧水の井戸があり、夏はこの中に入って涼をとることができるという。特に藩主が夏にしばしばお出座しになり、この庭井戸で涼をとったとも伝わる。
庫裏座敷から見ると、築山式枯山水庭園となり、庭園内に降り立つと、池泉庭園となる。また視点を変えて見ると、造形が異なるという点も考慮した作庭で、極めて興味深い庭園構成であり、禅寺らしい雰囲気をもっている。
また奥が軽い築山になっており、ここに石組が施されている。枯滝風の抽象的な石組が主景となり、その前に庭井戸が位置しているが、庫裏書院からは見えず、枯山水風の配石となるという構成である。
前面は空間を広くとり、ここにコウヤマキの老樹があり、庭景に遠近感を添える。ほかに飛石が打たれ、タラヨウやドウダンツツジなどが目につく。
文化勲章を受章された伊藤清永画伯は当寺が生家で、一時住職もしていた。近年本堂の天井画などを描いている。
(西桂「兵庫県の日本庭園 歴史と美を訪ねて」2004年より)
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