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香川県三豊市  勝造寺

(Shozoji Temple, Mitoyo City, Kagawa Pref.)

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July 25, 2020 野崎順次 source movie

香川県三豊市高瀬町下勝間

勝造寺十三重層塔
(Shozoji Temple Thirteen-storied Pagoda, Mitoyo City, Kagawa Pref.)

他に類例のない特異な形状の層塔、南北朝後期

県指定文化財、指定名称は「勝造寺層塔」。その他、「石の塔」とか「異形十三重塔」とも呼ばれる。

下勝間十三重塔 南北朝時代後期 高819cm 角礫質凝灰岩
小字を石ノ塔とよぶ田畑の中に、類例のない特異な姿を見せている。大きい基壇石の上に低い基礎を据え、その上の第一重から順次上方へ、不揃いながらもだいたいに逓減気味に平面方形の各重を積み上げ、三重目はほぼ宝形屋根になり、相輪はなく、まるいものがのっている。各重の石材は一石もあれば、二つ三つを不規則に合わせているものもある。上方南面に「ウン」、西面に「タラーク」が二重の石にまたがって刻まれるので、金剛界四仏が四方に刻まれたのかも知れない。東面第一重には20cm角に近い奉籠孔がうがたれている。南面第二・一重にかけて「永和二二年(1378)戌午三月六日」と刻まれる。あたかも博塔を見るが如くで、珍しい遺構である。
(川勝政太郎「新装版日本石造美術辞典、1998」より)

勝造寺(しょうぞうじ)十三重層塔 永和四年(1378)  
概 要:: 旧街道より少し北側に入った丘陵緩斜面上に立地する。板状石材を積み重ね、軸部のみを重ねたような特異な形状をもつ層塔である。「石の塔」「下勝間層塔」などの別称も併用きれている。延宝六年(1678)、丸亀藩主京極高豊が周囲に散乱していた部分を集め積み直すなどの修復を実施した。さらに、昭和五三年(1978)に解体修理が行われた。
現状・規模: 基壇・基礎の上に十三重層塔が立つ。相輪は欠失している。高さ約710cm。
形 状: 材質は「三豊石」と呼称される角礫凝灰岩製である。切石を十三層重ねた単純な構造であるが、初層から上方に、逓減されながら各層積み重ねられており、層塔であることは間違いない。各層によって一石の場合と、複数の石材を組み合わせる場合の両方がある。十三層目のみが通有の層塔と同様の屋根になっている。下から四層目から十二層目にかけて梵字が大きく刻まれているが、風化が著しいため判読は難しい。その中で梵字が判読できるのは、南面九層目の「ウーン」が、西面九層目に「タラーク」が、北面九層目に「キリーク」が確認できる。また二層目には納入孔がある。
銘 文: 正面(東南面)一・二層目に「永和〈二二〉年〈戊午〉三月六日」との銘がある。このほかに「延宝六年」の修理銘がある。
伝 承: 弘法大師の一夜建立、あるいは若狭国の八百比丘尼の勧進による建立といわれている。
学史的意義: 最上層の屋根以外は板状石材を重ねており、初層軸部から十二層までの形態的差異は、各部材の幅と厚さのみである。このような形態の中世層塔は類例がない。また、造立年代や補修年代が具体的に判明している事例としても貴重である。
参考文献:: 高瀬町文化財保護協会編『ふるさとのこころ』石造物編、1991。三豊市の文化財編集委員会編『三豊市の文化財』、2009。(海邊)
(日本石造物辞典編集委員会「日本石造物辞典、2012」より)

現地説明板

 

北面、東面

          

南面、西面

             

南面

    

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