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神奈川県箱根町 宮ノ下 富士屋ホテル

Fujiya Hotel,Hakone town,Kanagawa

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Oct.2016 柴田由紀江

                                                                                                       


Aug.27,2015 瀧山幸伸 source movie

                                                                                                                            


Feb.2011 中山辰夫

神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359

明治11年(1878)7月の創業。

とくに第二次世界大戦前は外国人専門のホテルとして、その名は世界中に知られており、国際観光地箱根を代表するホテルであった。

130余年の歴史の中で建築された建物は、近代洋風建築と和風建築の折衷様式で、現在ホテルの本館・一号館・二号館・食堂・花御殿・菊華荘は、国登録文化財に指定されており、さらに近代化産業遺産にも認定されている。

また、レジスターボック「宿帳」は町の指定文化財で、かつて宿泊した著名人を知ることができる。

館内では見事な彫刻や調度品が目を惹く。館内、撮影の制約はない。(客室を除く)

       

国道1号線折れると、すぐホテルのアプローチで、目の前に浮き上がる各建屋の外観は見事で素晴しい。

一日の中でも朝・晩で風景が異なる。さらに四季の変化が加わると様々な景観が手にできる。

        

富士屋ホテル本館:国登録文化財

建築:明治24年(1891) 構造:木造2階建、瓦葺、建築面積706㎡

基準:再現することが容易でないもの

解説:

外国人の宿泊を意識して,全体に洋風の意匠を基調にしながら内外の要所に和風の意匠を加味した特異な建物。

正面中央に唐破風屋根の玄関ポーチ,左右に八角平面の突出部をつくり正面性を強調した左右対称の外観に特徴がある。

工事請負は河原兵次郎。

      

本館屋根瓦の両端に座る唐獅子やその下の花飾り、回転扉すぐ上で羽を広がる白い鳳凰が目に入る。

本館は彫刻が多くある。至る所に菊の彫刻が施されている外、猿、トンボ、蝶、蝉などモチーフは様々である。

        

回転扉のエントランスを抜けると目の前に龍の絡みつく中華風の赤い欄干がある。その上は本館につながる二階である。

        

二階入り口から入るとフロント前に広い階段が目に飛び込む。曲げ木で造られたダイナミックな曲線と気品溢れた佇まいが圧巻である。

結婚式を挙げたカップルの記念写真撮影のスポットでもある。

階段の側板は一枚板で、源頼朝の“富士の巻狩”の様子を描いたとされる大きな彫刻が残されている。

柱には白い尾長鶏の木彫刻がある。かつてホテルいた尾長鶏で、生前、ヘレンケラーと共に写真に納まったこともある人気者だったとされる。今は彫刻となり、ホテルを見守っている。

フロント脇からテラスに抜ける回転扉はかつてあった玄関の名残とのこと。

本館は彫刻の多い建物である。いたるところに菊の彫刻が施されているほか、猿やトンボ、蝶、蝉など、モチーフは様々である。

            

西洋館へ至る廊下途中にあるショッピングサロンの入口には、柱にスズメ捕りをする少年の姿が彫ら

れている。追われて逃げるスズメの姿や追ったスズメを入れる籠を描いたその続きの彫刻があるようだ。

    

フロントの前左側はマジックルーム、右側は売店である。正面はオーキッド(テイ−ラウンジ)で、廊下を右側に行くとダイニングルーム、左へ行くとは西洋館へとつながる。

マジックルーム

その昔、海外からの宿泊客のおもてなしにマジックをしていたことから名前が残った。

    

テイラウンジ「オーキッド」

日本庭園への出入りが出来る。庭園を見やりながらの少休息に最適である。

    

カスケードルーム

テイ−ラウンジの横を通り抜けた先は、宴会場「カスケードルーム」に続く階段である。

欄干には松竹梅の装飾がある。釘隠しで、細部まで手を抜かない職人のこだわりである。

カスケードルームの柱の下部には彫刻した金板がガードのために取り付けてある。

奥の舞台下には松竹梅の彫り物、下部には鳳凰が、天井の梁には昇り龍と下り龍の一刀彫りがある。

温室へ至る通路の壁には金魚や鯉・蛙が散りばめられ「FishAiiey」 と名付けられている。

          

ダイニングルームへ渡る廊下の欄干には、菱形の菊の釘隠しが、上へ続く階段の梁の上には猿や鳥の彫刻に加え、目を閉じた猫が、その裏側にはスズメの姿が見える。

    

ダイニングルーム:国登録文化財

           

建築:昭和5年(1930) 構造:鉄筋コンクリート造・木造2階建塔屋付,銅板葺一部鉄板葺,589㎡

基準:再現することが容易でないもの

解説:

和風の意匠を基調にした建物で,1階を鉄筋コンクリート造,2階を木造とする。

中央部に2重の塔屋「昇天閣」を設けた外観は特異で,要所に彫刻を配した書院風の豪華な室内意匠も優れている。

設計には,木子幸三郎が係わった。

内部装飾・彫刻

重厚かつ豪壮な折上げ格天井、格間には、日本アルプスの高山植物が描かれている。

壁上部には十二支をはじめとした動物の彫刻が施され、中にはスポーツする人の木彫刻もある。

左手には幾何学模様の組木でレイアウトされた嵌め込み窓、海の輝きと空の輝きを八角ガラスで表現、壁に並ぶ柱の下部には、大きな目玉をギョロつかせた真っ黒い顔をした装飾が目を惹く。

            

食堂棟(ダイニングルーム)の外、天へ聳える塔屋には、空を貫くような木彫りの龍が据え付けてある。

懸魚の奥にも七福人らしき彫り物がある。

  

今夜の夕食

 

「バー」

ダイニングルームの下、一階部分にはバーとグリルがある。

グリルへ至る途中の壁付照明は、ガラスを六角形に切り出したもの。六や八は末広がりを意味し、縁起がよいとされた。

バーの天井は、丸や四角の幾何学的模様で飾られている。

      

紳士用トイレ

鮮やかである。

        

西洋館

明治39年(1906)に建てられた、鎧戸付き上げ下げ窓の外観を持つ、典型的な明治の洋館。

1号館「カムフィ・ロッジ」、2号館「レストフル・コテージ」の2棟からなる木造2階建てで、優雅な明治期の今に伝える貴重な建物とされる。

 

一号館:国登録文化財

写真118〜119

建築:明治39年(1906) 構造:木造2階建、瓦葺、建築面積292㎡

基準:再現することが容易でないもの

解説:

本館の南に客室用の新館として建てられた。

左右対称で正面両端に八角平面の突出部を持ち中央に唐破風屋根の玄関ポーチを持つ特異な外観は本館に似る。

屋根や玄関の意匠を簡略にし,和風の要素を押さえる点に特徴がある。カムフィ・ロッジの異名を持つ。

  

二号館:国登録文化財

   

建築:明治39年(1906) 構造:木造2階建,瓦葺,建築面積292㎡

基準:再現することが容易でないもの

解説:

一号館と同時期に建てられた同一の規模・意匠になる建物。レストフル・カテジの異名を持つ。

鎧戸付きの縦長の上下窓,天井や軒に用いられた繰形状の蛇腹装飾に本格的な洋風の意匠をみることができ,用いられた技術・技能の水準の高さがうかがえる。

一・ニ号館の玄関

「花頭窓」「源氏窓」とも呼ばれる「火燈窓」には唐獅子の木彫刻が施されている。

子連れ獅子や鞠と戯れる獅子も見られる。

   

マーメイドバス

   

花御殿:国登録文化財

       

建築:昭和11年(1936) 構造:鉄筋コンクリート造5階建,銅板葺一部鉄板葺,建築面積1088㎡

基準:再現することが容易でないもの

解説:

コの字型平面を持つ鉄筋コンクリート造,5階建の建物。意匠は和風を基調とする。

複雑な屋根や高欄付のバルコニー等に特徴がある特異な外観を持ち,豪華な室内意匠にもみるべきものがある。

設計はホテルの経営者山口正造で,工事請負は河原徳次郎である。

外観は寺社建築風で、大きな千鳥破風の屋根を持ち、校倉造りを模した壁が特徴。

名前の由来は43室全てに花の名前が付けられており、客室のドア、カギなど、細部に花のモチーフが使用されている。

海外では「フラワーパレス」と称され、富士屋ホテルの象徴的な建物である。

1・2階には、校倉造(あぜくらづくり)を模した蛇腹の壁面になっている。

3・4階には、バルコニーとも見られる高欄がぐるりと巡らしてあり、外観上の大きなアクセントとなっている。

    

内部も外観と違わず和の意匠を基調としており、特に特別室は、折上格天井の重厚な意匠で、

ホテルの1室とは思えないほど格調高い。この部屋には、国内外の数多くの著名人が宿泊したそうだ。

また、館内にはオリジナルの照明器具等も多数残されている。

          

各階上の室へ至る階段には、カラフルでモダンな幾何学的なゴムマットが敷き詰めてある。

これは昭和初期の豪華客船に使われていた当時の細心な素材とされる。

    

窓ガラスは半円形を同心円状に重ね、波形を描いた青海波と呼ばれる模様のガラスである。

その他、室内にはオリジナルは照明器具が多数ある。

   

部屋には花の名前が付いて いる。

部屋名であった花が彩り豊かに描かれた当時の鍵である。

   

チャペル

菊華殿の玄関ホールから一つ上がる階段の両側にはイソップ物語を彷彿させるウサギと亀をモチーフにした一枚板の彫刻が続く。さらに、欄干には擬宝珠装飾が施され、豪華な雰囲気を持たせてある。この階段を登ったところに結婚式場がある。

        

フオレストロッジ

昭和35年建築

 

庭園

7000坪とされる日本庭園。さまざまの花が季節を飾る。

春には桜が咲き誇り、本館や花御殿を引き立て、5月にはツツジや藤が、秋にはモミジが真っ赤に色を染める。

温室では、四季を問わず、華やかに花が咲き乱れている。

          

庭園より見る各館

        

菊華荘 国登録文化財

    

建築:明治28年(1895) 構造:木造平屋建,瓦葺,建築面積626㎡

基準:再現することが容易でないもの

解説:

内親王のために建てられた御用邸を別館としたもの。伝統的な書院にならって雁行する配置をとる。

良質の材料を用いて過度の装飾を押さえた瀟洒な姿には,当時の優れた技能が発揮されている。

設計は宮内省内匠寮で,担当は木子清敬,手中千代太郎,広川兼次郎。

       

朝食

 

数奇屋風書院造の日本建築と庭園

屋根瓦、ふすまの引き戸、長押などの菊の紋が見られ、御用邸であった時の名残を留めている。

         

資料館

    

小史

          

富士屋ホテルのパン

ホテル専門のベーカリー“ピコット”。

本館のすぐ横に店を構え、喫茶室として宿泊客以外の人も利用出来る。

ひいき客や宿泊者が土産に買い求めたりするので、すぐに売切れてしまうようだ。

 

富士屋ホテルで出合った照明

             

富士屋ホテルアイリー

:国登録文化財

建築:明治17年(1884) 構造:木造2階建,鉄板葺,建築面積160㎡

基準:再現することが容易でないもの

解説:

敷地南方の斜面に北面して建つ。創業間もない時期の建物で,昭和10年に現在地に移築された。

正面両端に突出部をつくり中央に唐破風屋根を設ける点は,本館,一・二号館と共通する。

現存する数少ない我が国最初期のリゾートホテル施設として価値がある。

(現在は使用されていないようで 省略)

参考資料《国文化財等データーベース、富士屋ホテルストーリー、小史、ほか》


June 2006 瀧山幸伸  source movie

富士屋ホテル

Fujiya Hotel

                      

ホテル周辺

カフェ

   

写真店

        

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