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京都府京都市上京区 京都迎賓館

Kyoto State Guest House,Kamigyoku,Kyoto City,Kyoto

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March 25, 2018 野崎順次

パンフレット

   

建物正面あたり

          

聚楽の間

         

庭園

    

藤の間、夕映の間など

                     

桐の間あたり

                

庭園まわり

                             


August.11.2017 中山辰夫

京都市上京区京都御苑

京都迎賓館は、2005(平成17)年4月17日に開館し、10年目を迎えた。

平成26年より一般公開を実施するようになり、連日多くの見学者に見舞われている。

平安建都千二百年記念事業の一環として、京都に和風迎賓館を建設する要請が平成2年に起こされ、平成6年に建設が決定された。

場所は御苑内饗宴場跡地とされた。外周が京都御所に隣接することから「筑地塀」を踏襲して塀をめぐらし、建物の高さも御所より低くなるよう平屋建とし、緩やかな勾配を備えた「むくり屋根」にするなど、周囲のとの調和、環境維持の配慮がなされている。

建設工事には現代的な和風空間の創出をテーマに、数奇屋大工、左官、作庭、漆など、11分野の伝統的技能の技が活かされ、極めて質の高い施設となっている。

10年が経過し太京都迎賓館の細部を再度見学した。

概要:RC造、地下1階、地上2階、設計監修:国土交通省、設計:日建設計、竣功:2005、施工:JV

正面玄関 

    

入母屋造の外観、むくり屋根、扉は樹齢700年のケヤキの1枚板、礼の心を表わし、白砂を思わせる「真の庭」と称される。

池と建築が触れ合うとされる迎賓館の庭園

庭園は、玄関前の「真の庭」、館内中央の「行の庭」、賓客宿泊室に面する「草の庭」の三面で構成される

「庭園一如 いちにょ」の現代和風の庭園として、尼崎博臣の監修により、佐野藤右衛門を棟梁とする京都の庭師により作庭された。

廊橋より和会食棟を望む

  

屋根はニッケルとステンレスの複合材料で画期的な試みとされる。新潟県山越(今年は台風の被害が大きかった)からきた錦鯉が美しい

庭園一如とは、建物の中から庭園の景色が楽しめる事、即ち庭と建物を一体させることで、構成する樹木や石、水の全てが極めて重要な要素となる。

和舟

  

池の深さを考慮した平底の「くらわんか舟」、人と水の関りをテーマとした重要なランドマーク。前方の建物は水に浮かぶ宮殿を思わせる。

構成する石材

浜洲の小石

 

敷地内を掘削した際に出た1万5千年前のものといわれる、旧加茂川・高野川に堆積した氾濫原の砂利。すべてを池底や石畳などに利用した。

佐治石

 

大海の孤島を表わす

 

旧五条大橋の橋杭と長石でアクセント

「縁」や「広間」廊下より見る水と建築とのふれあい

                    

迎賓館は伝統技能が多く活用され、さらに最近の最先端をゆくハイテク技術も複合され見事な仕上がりが見られる。

迎賓館で生かされている伝統的技能 (たまたま写っていたものを羅列する)

数奇屋大工

     

大広間の竿縁天井は1枚が12m×50cmの一枚板。鴨居や敷居の長さも8m、土庇は18mの北山丸太と桁外れ。鉋(かんな)の使い勝手も

普段とは全く異なったとか。

左官

   

室内の壁は伝統工法による土壁仕上げ。床や床脇は現場から出土した京さび土(聚楽土)で仕上げた。桐の間の大壁面は巾5m、高さ3m

京唐紙

  

桐の間の床壁面に五七の桐紋の京唐紙が貼られ、襖も桐。白地に白の雲母で五七の桐。白に白の雲母文様は唐長の真骨頂と云うべき色使いとされる。目立たないが座敷に深い陰影を造る。

表具

    

襖は座敷の雰囲気を左右する重要な要素.昔からの手法で小判の唐紙をゆがまないように貼ることは表具師の腕にかかる。掛軸、額、屏風、衝立、襖、障子、など、これらはしつらえ具として日本人の生活に溶け込んでいる。京表具はその繊細さ、品格、芸術性で評価が高い。

 

漆の木から取り出した樹駅を生漆という。これに脂・顔料を入れた出来た塗料が漆。日本では縄文時代から見られ中国より古いとされる。

桐の間の黒塗りの座卓は12m、床框、障子框、座椅子にも漆が塗られている。

建具

    

建具は明障子・430枚、竪格子戸・17枚、板戸・約240枚、欄間格子・15枚ある。特別大きなものばかり。空調機の風もポイントだったとか。

    

最高の畳をとの思いからイグサの栽培から始めた。約250枚の京間畳。1枚の畳は40kg近い重さ。使われたのは備後手織り六配表と呼ばれる広島産のイグサでおった最高級品。

錺(かざり)金物

   

錺金物は弥生時代以来の伝統技術、奈良の大仏の鋳造が開始された747{天平17)年には現在に近い「錺」が存在したといわれる。

迎賓館では、藤の間や和室の釘隠、障子、襖の引手の約600ヵ所に採用されている。

截金(きりかね)

    

「藤の間」舞台を仕切る6枚のヒノキ扉に描かれたもの。人の動きや扉の動きで輝きが変化する。

有職織物

  

奈良時代に伝わった唐織が平安時代に和風化し、今に伝わる有職織物を専門とする「俵屋」は室町時代から続く機屋(はたや)

西陣織

     

西陣の製織手法の中でも特に高度な技術を擁する綴れ織(つづれ)。金銀はじめ様々な色糸を用いる。

藤の間の「麗花」、夕映えの間「比叡月映」、「愛宕夕照」が製作された。「麗花」は1000色もの彩糸で花柄が華麗に織り出された。

竹工芸

 

「聚楽の間」に飾られている「重ね編剣菱紋花籃(かご)

京指物(さしもの)

   

一切釘を使わず、ホゾを組み合せることで板や木を差し合わせる木工芸が指物。奈良時代よりつた合わる。現在は照明器具や茶道具に使われる

蒔絵と螺鈿(らでん)

   

漆塗りの飾台に施された蒔絵は水しぶきをデザインしたプラチナの蒔絵。

螺鈿は青貝を漆器に嵌めたり貼ったりして文様を表現する工芸で、奈良時代に唐から伝来した加飾技法。

参考資料≪京都迎賓館−ものづくり・物語、京都迎賓館、庭≫


July 2009 撮影:中山辰夫

京都迎賓館に生きる伝統的技能迎賓館は京都御苑内に平成17年3月に竣工しました。

海外からの重要な賓客をもてなすために、千年の都で培われた11の伝統的技能を、伝統を継承しつつも、先進的な技術や文化も取り入れ、現代的な感性で表現したとされています。

そこには日本の美しい原風景が創造されているようです。和様建築と花鳥風月の美とが調和した姿をここで見ることが出来ます。

伝統的技能とは、

① 大工 ②左官 ③和建具 ④表具 ⑤錺(かざり)金物 ⑥截金(きりかね) ⑦漆 ⑧竹工具 ⑨畳工具 ⑩作庭 ⑪石造工芸 の11部門です

参観コースは、正面玄関→「聚楽の間—ロビ—溜まり」→「夕映えの間—大会議室」→「藤の間—晩餐室」→「桐の間—和室・大広間」→露 地→廊 橋→正面玄関 でした。

*許可のある場所のみが撮影可能でした。

説明文は配布資料・現場説明より抜粋

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1 築地塀 正門 南門 パンフレット

     

2 「聚楽の間」−ロビー溜りの一部

   

3 「ロビー溜り」の廊下から見る日本庭園

     

4 「夕映の間」−大会議室

最大70名までの会議が可能 比叡山と愛宕山をデザインした綴れ織り (西陣織)の壁面装飾、椅子の背は五七桐の綴れ織り(西陣織)で、国の紋です。

                          

5 「藤の間」−晩餐室

正面の壁面には四季のを描いた幅約16m、高さ3mの綴れ織り−西陣織の装飾「麗花」を施し、天井には指物と和紙による照明(光天井)

「錺金物(かざりかなもの)」が建築各部に用いる補強と装飾を兼ねた金具。

釘隠、襖の引き手など、天井金具に採用。神社やお寺の建具の装飾にもみられる。

                                            

6 「截金(きりかね)」 

純金箔やプラチナ箔を数枚やきあわせたものを貼り付け、種々の模様を描き出す技能。「藤の間」の舞台扉を中心に活用。 

     

7 「夕映の間」より見る日本庭園 

           

8 「桐の間」 

数奇屋造りの手法を取り入れた伝統的な住居建築様式。中央には長さ12mにも及ぶ漆塗りの座卓を設置。

天井板には長さ12mの中杢杉 (なかもくすぎ)の板を使用。

畳には、「中継表(なかつぎお持て)」の技法を採用している。

畳表の材料であるイグサをこの迎賓館のために栽培。

イグサのいいところだけを使うため、真ん中でつなぐ。このため、つなぎ目に縦線が入る。 

                 

9 「桐の間」から眺める庭園 

廊橋が見えます。 

        

      


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