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京都府京都市左京区 大原の石造物めぐり

(Stone Pagodas and Buddhist Images in Ohara, Sakyoku, Kyoto City, Kyoto Pref.)

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M4March 9 and 17, 2024 野崎順次  source movie(Mar.9)  source movie(Mar.17) 

 

大原の石造物といえば、勝林院宝篋印塔(国重文)、来迎院三重塔(国重文)、三千院内の大原弥陀石仏((京都市内で最古・最大・最美)がよく知られるが、それ以外にも優品がある。

勝林院受付で墓地に行きますのでと断って北へ。勝林院裏の五輪塔と地蔵石仏。

           

勝林院境内を抜けて、さらに林の路を北へ進むと、墓地が見えてくる。

    

大原北墓地宝篋印塔 鎌倉時代後期 高166cm 花崗岩
勝林院北方にある村の共同墓地の入口に立っている。基礎側面は輪郭を巻き、格狭間を作り、上端は二段。塔身は蓮座上の月輪内に胎蔵界四仏の種子を刻む。笠下端は二段、上は六段、隅飾は二弧輸郭つき。相輪も本来のものであるが、上三分の一ほどで折れていたが、今は失われている。温和な鎌倉後期の形式である。基礎正面の輪郭内両脇と格狭間の中にかけて五行にわたり、「念仏諸衆、為往生極楽、正和二年(1313)十一月日」と刻銘がある。同地の勝林院塔の三年前の造立であるが、彼の卓越に比べると見おとりがする代りに、村の念仏信者達の造立した庶民的風格がある。
(川勝政太郎「新装版日本石造美術辞典」1998.09.30)

               

墓地の最高所に上がってから、入口に戻り、さらに北西に数十m下る。

   

大原北墓地石鳥居 室町時代中期 高106cm 花崗岩
勝林院本堂背後から山道をしばらく行った所に、大原の古い共同墓地があり、入口から西北に当たって小さい石鳥居が立っている。大きい石に左右の柱をかませて固定する。柱は太く、転びをつけて柱の裾はやや開いている。貫と額とを一石で彫成し、貫は柱の外に出さない。笠木・島木はゆるい反りを見せ、両端は垂直に切る。額には連座上に「如法経」、その両側の貫の面に四行にわたり「奉造立石鳥居、寛正二年(1461)
辛巳十一月□□」と刻む。小型ながら時代の風をよく表す佳作である。おそらく如法経を埋納した場所の門として建立したものであろう。
(川勝政太郎「新装版日本石造美術辞典」1998.09.30)

             

同じ路を戻り、三千院前から石段を下りて、呂川を渡ると直ぐに来迎院町集会所があり、その裏に五輪塔が立つ。

      

大原念仏寺五輪塔 鎌倉時代中期 高147cm 花崗岩
今は駐車場の片隅にブロック塀で保護されている。地輪は少しコンクリートに埋められたので、それを見込んでも割合背が低く、水輪の球形は内から押し出すような重量感があり、火輪の軒厚く、その反りはゆるやかである。この三つの部分の正面に、菩提門の梵字が刻まれ、その書体も古風である。風・空輪には梵字がなく、後補のものながら調和している。地輪向って左側面に九行にわたって刻銘があるが、「弘安九年(1286)丙戌六□廿七日……同村合力…乃□法界衆生平□利益、造立畢……塔婆等……」とだけしか読めぬ。鎌倉中期在銘の五輪塔の貴重な一例である。
(川勝政太郎「新装版日本石造美術辞典」1998.09.30)

         

念仏寺から舗装路を南へ、そして西へ下る。

                     

旧街道沿い、Book & Café Apied (大原大長瀬町267)の白壁沿いに小路を入ると、大長瀬町集会所がある。

大長瀬町宝篋印塔 鎌倉時代後期 高157cm 花崗岩
旧街道の民家の横を東に入ると、村の小堂の前に二基の宝篋印塔が立っている。向って右の塔について述べる。基礎側面の三方に、輪郭を作らず格狭間だけを彫りこんでいるのは珍しい。京都府福知山市観興寺塔に例はある。塔身は正面のみに、蓮座上の月輪内に弥陀の種子「キリーク」だけをあらわす。基礎の上、笠の下ともに二段、笠上は六段、隅飾は二弧輪郭つきで、三方だけに梵字「バ」を入れる。相輪は後補。基礎正面に三行にわたり、「元亨元年(1321)辛酉三月十五日、一結衆等敬白」とあり、弥陀の信仰に結ばれた村の人々によって造立されたのである。左の一基は南北朝時代前期ごろの造立で、江戸時代享保一五年(1730))に再興したことを追刻している。
(川勝政太郎「新装版日本石造美術辞典」1998.09.30)

                  

小雨の梅

    

花尻橋のバス停(土井志ば漬本社前)の北に江文神社御旅所がある。鳥居の北側に石仏堂がある。

    
 
阿弥陀石仏 鎌倉時代中期 花崗岩 高さ105cm
二重円光背、厚肉彫りの定印阿弥陀仏
(河合哲雄「石仏と石塔」ウェブサイト)

              

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