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京都府京都市上京区 拾翆亭

Shusuitei,Kamigyoku,Kyoto city,Kyoto

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Aug.26, 2016  中山辰夫

京都市上京区京都御苑3

金曜日と土曜日が公開日、満開の百日紅(さるすべり)が映えていた。

江戸時代までは御所の周囲に200もの公家屋敷が建ち並ぶ公家街を形成していた。拾翆亭はその一角の、堺町御門を入った西方にあった。

当時の五摂家の一つであった九条家の別邸として使用されていたもので、江戸時代後期に建てられた。主として茶会や歌会などの社交の場として使われた。

数奇屋風の書院造りで2階建。前面に広がる九条池と相まって、当時をしのぶ遺構である。

拾翠の名は、緑の草花を拾い集めるという意味、翠の字には緑の美しい鳥(カワセミ)という意味もあり、かっては池に多くが飛来していたことからの命名とか。

説明資料

     

アプローチ

        

広間と控えの間

      

最初に入るのは7畳半の控えの間で、左に十畳の広間の茶室がある。襖を外すと17畳の大広間となる。

一階の主室、池に面して広縁を設け、書院造りの趣を残す。広さは十畳、床柱は皮つき丸太、天井は簡素な竿縁天井。壁は土壁。

広縁

九条池に向かって解放されている。幅一間の板敷の床と榑縁「くれ」の部分に分かれる。天井は鏡天井、榑縁部分は化粧屋根裏。

       

小間

三畳中板の小間で、庭から出入りもできる。

       

客席の中央に床を配し、床脇の給仕口は引違の太鼓襖を設ける。床柱は百日紅(さるすべり)の曲が木を使い、相手柱は磨き丸太を使う。ホタル壁が見られる。

二階へ上がる

  

二階座敷

二間半四方の座敷。南西隅に踏込床がある。床材は皮付丸太、落掛は湾曲した雑木を使い、床脇には天袋を吊り、その下に書院風の中敷居窓を開けている。

             

外回りは三方に縁高欄が巡る。見晴を考慮した設計。厳島神社、高倉橋が眼下に見え、木立で見えないが東山の大文字山を借景としている。

         

北側の庭

          

四阿(あずまや)と障子

        

障子の貼り方に趣がある。全ての障子が「石垣貼り」。1枚の紙でなく、小さな紙を何枚も使い、神の継ぎ目は縦桟の間隔を二分の一ずつずらして貼ってある。

高度な技術が必要である。

南側の庭

                 

高倉橋近辺からの眺め 立派な反橋で、1882(明治15)年竣工

          

参考資料≪パンフレット≫

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